バイオテクノロジー/バイオマス資源

“Bio is the new Digital”――。いまやバイオテクノロジーは医薬品・食料・地球環境といった国民の生命・健康に直結する技術分野であり、デジタルの次の革新的技術としてだけではなく、経済安全保障の観点からも世界的に注目されています。

少資源国である日本においては、バイオテクノロジーは資源不足という課題解決に貢献する、“新資本主義を開く鍵”とも言われています。

バイオテクノロジーはゲノムデータの蓄積、ゲノム解読の高速化、AI技術の進展により大きく革新し、ワクチン・診断薬などの医療関連物質から、ゲノム編集食品・培養肉・腸内細菌などの食農関連物質、バイオプラスチック・繊維などの新素材、バイオ燃料まで、金属以外の物質であればさまざまなものを生成または編集可能となりました。

また、バイオマス資源である森林、農地、海洋、藻場などは、温室効果ガスの吸収源としての重要な役割を担うことがあらためて注目されています。農林水産資源は、環境・社会課題の解決と経済成長の両立に大きく貢献する可能性を有しており、農林水産業は単に食料を生産し、供給するに限らない産業への変容も見せています。バイオテクノロジー/バイオマス資源は、気候変動や食料問題、エネルギー問題、感染症予防といった地球規模の社会課題を解決し得る可能性があります。

2022年9月に米国のバイデン大統領は、バイオテクノロジーおよびバイオマス資源関連産業の国内回帰を図り、サプライチェーンを強化するため「バイオテクノロジーとバイオものづくりの推進に関する大統領令」に署名しました。2030年までに世界の製造業の3分の1がバイオを利用したものづくりに置き換わるとの可能性に言及し、市場規模は世界生産量ベースで30兆米ドルに達すると予測しています*1

PwCは、環境・社会価値が毀損されない持続可能な社会の構築に向け、バイオテクノロジーの先進技術を活用し、環境・社会を取り巻く社会課題(気候変動、エネルギー、水、廃棄物など)の解決に取り組んでいます。

また、バイオマス資源やバイオテクノロジーなどを活用した地域農業の活性化、農林水産資源を活用した新産業や新事業を創出するなど、さまざまなステークホルダーや産業界との有機的なつながりを活かして、農林水産業や新たな原料や素材、エネルギーのさらなる振興に貢献します。

上記の取り組みを通して、日本国内の資源である藻類、微生物、細菌などのバイオマス資源、バイオテクノロジー、IoT/AIなどの先端テクノロジーを活用したバイオ・トランスフォーメーション(BX)を実現することにより、経済合理性のリデザインを目指します。

イノベーションには、技術の新規性だけではなく、既存技術を組合わせることによる価値の新規性の創出も重要です。PwCでは、先端バイオテクノロジーを活用した新規事業の創出支援だけではなく、既存の技術やアイデアを組合わせることによるイノベーションの創出を支援します。

また、イノベーションの源泉は知と知の組み合わせであり、組織の知が多様性に富んでいることが必要です。経営学分野でもタスク型ダイバーシティは新アイデア創出に貢献すると提唱されています。

PwCではグループのネットワークを活用し、スタートアップや大手企業、自治体、大学、官公庁等の多様性に富んだ推進体制を構築することにより、新しい価値の創造をサポートから、ルール形成支援、官公庁向け政策提言/実行までを支援します。

Agri & Food

世界的な人口増や新興国の経済成長、気候変動の影響などにより、グローバル食料サプライチェーンは混乱し、食料安全保障は世界的に喫緊の課題となっています。

国連食糧農業機関(FAO)のデータによれば、食料需要は2050年に2010年比で1.7倍、食肉に限れば1.8倍に達する見込みです。

また、地球温暖化や気候変動により頻発する大規模災害や、新型コロナウイルス感染症の拡大、ロシアのウクライナ侵攻により、グローバルサプライチェーンが断絶され、世界各地で食料価格の高騰や供給不足などが深刻な問題になっています。

食料安全保障や気候変動による影響を低減させ、持続可能な農業・食料システムを実現するための解決策の1つとして、バイオテクノロジーが注目されています。

ロボット、AI/IoTだけではなく、ゲノム編集技術、合成生物学などのバイオテクノロジーを活用したAgri & Food Techが急速に進んでおり、プラントベース、細胞培養、微生物発酵(マイコプロテイン、精密発酵など)、植物分子農法といったバイオテクノロジーを活用した新しい生産方法への転換が進んでいます。

実際、世界のAgri & Food Tech市場はここ10年で急成長しており、2022年の投資額は10年前と比較して約10倍の10.2億米ドルに達し、うちバイオテクノロジー関連は約2.5億米ドル*2に上っています。

PwCは、細胞農業や微生物発酵、精密発酵などのバイオテクノロジーを活用した“新たな食料生産方法の推進”を通して、持続可能な農水産業の発展に貢献していきます。

関連サービス

農林水産・食 ・バイオ

原料・素材・エネルギー

バイオプラスチックや繊維などの新素材からバイオ燃料まで、バイオテクノロジーにより、金属以外の物質であれば多くのものを生成または編集可能となりました。バイオテクノロジーにより、化石燃料由来のあらゆる素材を代替できる可能性があります。

地球温暖化や資源制約といった環境問題に対する解決策として、化石資源を使わず、バイオマスや高度に機能改変した微生物などを活用する「バイオモノづくり」に大きな期待が寄せられています。

最近ではアパレル産業に対して、プラスチック素材を使用することだけではなく、環境・生態系保全の観点から、動物の皮革を使用することに対しても批判の矛先が向けられています。そこで近年では、植物や微生物由来の全く新しいバイオレザーや、ヴィーガンレザー(合成皮革)が誕生しています。

また、バイオマスを原料とするバイオ燃料は、化石燃料に比べて二酸化炭素の排出量が少ないことから、気候変動への解決策として注目されています。また、バイオ燃料の活用はエネルギー資源の乏しい日本にとって、エネルギー自給率の向上や、エネルギー源の多様化といった、エネルギーセキュリティの向上に寄与します。

特に、次世代のバイオ燃料として注目されているのが、食料と競合しないバイオマス原料(藻類や微生物、細菌など)由来のバイオ燃料です。

バイオテクノロジーは、社会全体の資源・エネルギー生産のあり方をも抜本的に変える可能性を有していることから、第4次産業革命と呼ばれたDXに続き、第5次産業革命と言われています。

PwCは、民間企業や官公庁に対する調査・検討、戦略策定、社会実装などの支援を通じて獲得した豊富な知見と経験を基に、新規サービスの創出やルール形成戦略に関するアドバイザリーサービスを提供しています。

バイオテクノロジーとデジタルの融合

バイオ産業のさらなる発展には、バイオテクノロジーとデジタルの融合が不可欠です。研究開発や事業化におけるバイオデータを連携、利活用することによって、微生物やデータの提供者と利活用者のマッチングを促し、イノベーションの創出が期待できます。また、AI技術の活用によって、蓄積されたゲノムデータを活用した新たな価値創造を図ることが可能です。

バイオテクノロジーの革新により、あらゆる産業において生産方法が変わり、既存産業構造やサプライチェーン、プレーヤーが劇的に変化し、社会全体の資源・エネルギーや食糧の確保・利用のあり方も抜本的に変わる可能性があります。

PwCは、これまで培ってきた素材、消費財、製造業、ヘルスケアなど多様な産業・ビジネスに関する豊富なインサイトや経験に基づき、持続可能な社会に向けてバイオ・トランスフォーメーション(BX)を総合的に支援します。

主要メンバー

宮城 隆之

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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齊藤 三希子

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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出来 明日翔

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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草野 秀樹

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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服部 徹

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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近藤 芳朗

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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