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本調査の主な結果は、以下のとおりです。
2019年6月17日
PwC Japanグループ
※以下の内容は、2019年6月5日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
2019年6月5日–近年、エンタテイメントやメディアは、パーソナルなものになりつつあります。PwCの年次調査「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2019‐2023(Global Entertainment & Media Outlook 2019–2023[English])」によると、消費者は自身のニーズに合ったメディア体験を楽しむ機会の拡大を受け入れており、企業は消費者個人の好みに合わせたサービスやビジネスモデルを設計しています。この根本的な変化において、企業は自社の商品を、データや利用形態の蓄積を活用し、数十億人単位の消費者セグメントに対してではなく、数十億人の個々の消費者に対して提供しています。
その結果、かつてないほどパーソナルなメディアの世界が新たに出現しつつあります。消費者が主導権を持ち、オーバー・ザ・トップ(OTT)サービスで自らチャンネルを選び、スマートホームやコネクテッドカーを導入して生活の中に多くのメディアコンテンツを取り込むなど、増加し続けるスマートデバイスを通じてメディア消費を自らコントロールしています。さらに、ますますモバイル化が進む世界となり、その傾向は近い将来、5Gネットワークの導入によってより一層加速されるでしょう。一方で、個人的なつながりが拡大する中、データの安全性とプライバシーへの懸念も、引き続き存在します。企業にとって消費者からの信頼は最重要課題であり、新たなプライバシー対策を講じることが強く求められています。
これらの根本的な変化は、世界のエンタテイメント・メディア業界の収益が継続的に成長しているという背景のもとで起きています。本調査では、14のエンタテイメント・メディア業界に関連するセグメントを対象に、53の国と地域の収益データおよび予測について分析しており、2023年までの今後5年間に、エンタテイメント・メディア業界は年平均成長率(CAGR)4.3%で成長すると予測しています。この成長率により、エンタテイメント・メディア業界の世界市場規模は2018年の2.1兆米ドルから、2023年に2.6兆米ドルへと拡大する見込みです。また、予測対象期間において、6つのセグメントが平均を上回る成長を遂げ、7つは平均を下回る成長となるでしょう(14番目のセグメントである「データ消費」は、収益を創出しないセグメントです)。
エンタテイメント・メディア業界をセグメント別に見ると、バーチャルリアリティ(VR)が引き続き、最も成長著しいセグメントであることが分かります。しかし、昨年は普及率が予想を下回り、本年の調査では2位のOTTビデオとの差は大幅に縮小しました。また、より大きなセグメントの中に含まれるポッドキャストおよびeスポーツは、それぞれ年平均28.5%、18.3%の伸びが見込まれ、収益予測における成長率が極めて高いと言えるでしょう。
一方、成長率が低いセグメントである従来のテレビやホームビデオは、史上初めてマイナス成長となる見通しです。それは、コードカッティングする(すなわち、従来のケーブルテレビを解約してネット視聴に切り替える)消費者が引き続き増加し、DVDの売り上げも減少の一途をたどっていることが要因です。印刷媒体の新聞および雑誌は、2023年までの収益予測が各セグメントの中で最も悪く、年平均2.3%で減少する見通しです。
業界全体を再形成し方向転換させている根本的な変化は、人間の行動も変化させ、パーソナライゼーションへと向かう潮流は顕著になってきています。ある次元では、エンタテイメント・メディア業界のこの新たな世界は、人々が自分で選んだコンテンツの消費に没頭しているだけの孤立を深めた世界のように見えます。しかし同時に、パーソナライゼーションには内在的にソーシャルな側面があります。例えば、人々は音楽ストリーミングサービスの再生リストを共有したり、ソーシャルなプラットフォームで友人に映画を推薦したり、複数人数対戦型のビデオゲームでバトルロワイヤルに興じたりもします。
テクノロジーとサービスの提供内容の進化により、人々はついに、受動的な消費から能動的な消費へと移行が可能になり、個々のメディアをばらばらに消費するだけではなく、メディア全体で楽しんでいます。本調査では、この変化を示す多くの兆候について具体的に述べています。その一つとして、消費者がケーブルテレビや衛星放送事業者が提供するチャンネルセットを拒絶し、代わりにOTTサービスから自らがその時の気分で選択し構成したチャンネル群を鑑賞するという傾向が挙げられます。世界のOTT業界の収益は2018年に382億米ドルに達し、2023年までにほぼ倍増する見通しです。その他の兆候としては、スマートホームの増加が挙げられます。スマートスピーカーの保有は2023年までに世界で4億4,000万世帯と、年平均38.1%で増加する見込みです。
PwC中国法人、グローバルテクノロジー・メディア・テレコムインダストリーのリードパートナーであるウィルソン・チョウ(Wilson Chow)は、次のように述べています。
「5Gは今後10年間、テクノロジー、メディア、通信業界のバリューチェーン全体に影響を及ぼし続けます。携帯電話やその他のモバイルデバイスを通じて、より多くのメディアにより便利で安価にアクセスできるようになり、パーソナライゼーションへと向かう動きをさらに加速させるでしょう。5Gによるエンタテイメント・メディア業界への主な影響としては、スポーツや音楽などのライブ・イベントを含む高画質な動画をより多く再生できるようになること、またAIをより効果的に使えるようになることや、画像の速度や質が向上することでビデオゲームやVR業界にも巨大な機会がもたらされることが挙げられます」
エンタテイメント・メディア業界の企業が、よりパーソナライズされた世界に向けて自らの組織やサービス内容を再構成する中で、以下の4つの優先課題が顕在化しています。
PwCオランダ法人、グローバルエンタテイメント・メディアインダストリーのリードパートナーであるエネル・ヴァン・エデン(Ennèl van Eeden)は、次のように述べています。
「進化する消費者行動に起因するパーソナライゼーションの波は、テクノロジー、規模、積極投資と競争の力によって増幅されるでしょう。これは企業にとって深い含意を持ちます。従来のメディアにおけるサイロ、すなわちセグメント同士を隔てていた壁が浸食される中、企業は自社が事業展開する領域やセグメントに関して、より視野の広い思考を持つ必要があります。同時に、エンタテイメント・メディア業界における全てのプレーヤーが、『自らの顧客を知る』という課題に真摯に取り組まなくてはなりません。マーケティング担当者は、インフルエンサー、ライブ・イベント、アプリ内広告などを含む新たなコンテンツの種類やプラットフォームをより良く理解するために時間を使い注意を払うべきです。最後に、企業は自社のコアケイパビリティおよび地域別市場に注力しながらも、新たな展開や規制の動向、将来予測も引き続き注視し、5Gなどの技術動向にもすばやく対応すべきです。つまり、今や消費者とパーソナルな関係を築く時代が到来しており、対応できない企業は会話から取り残されてしまうでしょう。」
以上
本年で20回目を迎えるPwCの年次調査「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2019‐2023」[English]は、14のエンタテイメント・メディア業界に関連するセグメントを対象に今後5年間の消費者支出と広告収入に関する動向を53の国と地域についてグローバル分析した包括的なデータソースです。
書籍、B2B、映画、データ消費、インターネットアクセス、インターネット広告、音楽・ラジオ・ポッドキャスト、新聞・雑誌、OTTビデオ、屋外広告、従来のテレビやホームビデオ、テレビ広告、ビデオゲーム・eスポーツ、バーチャルリアリティ。
本レポートは、「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2019‐2023」に記載されたデータをもとに作成されています。PwCは「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2019‐2023」のオンライン上のデータの更新に努めています。そのため、本レポートに記載のデータがオンライン上のデータと相違する可能性があることをご了承ください。「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2019‐2023」は消費者支出と広告収入に関する最新のデータを記載しています。
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