PwC、オックスフォード大学との共同調査をベースに、働き方の未来予測「Workforce of the future 2030」を発表

翻訳版にPwCコンサルティングによる日本独自調査を付加した特別編を作成。4つのシナリオから、将来への備えが出来ていない88%の日本の労働者に警鐘を鳴らす

2017年11月9日
PwCコンサルティング合同会社

PwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:足立 晋)は11月9日、PwCが英国オックスフォード大学との共同調査をベースにまとめた働き方の未来予測レポート「Workforce of the future 2030」の日本語翻訳版を公開しました。日本の労働者6,000人を対象にアンケート調査を実施し、日本における「働き方改革」の取り組み状況や日本の将来への洞察を追加した特別編となっています。

線形シナリオの限界

PwCは、将来の働き方について、激しい競争環境下で複雑な変化をすることは予測できるが、どのような変化をするかを予測することは難しいと指摘しています。その理由は、規制や法律、消費者でも労働者でもある国民の意向や感情が、テクノロジーの導入に影響し、将来の働き方を大きく左右する可能性があるからです。このように非常に多くの複雑な力の作用が確認された場合、一つのシナリオ(線形予測)では不十分であり、企業、政府、国民(個人)は、多くのシナリオを検討し、あらゆる可能性やそこから生まれる結果について準備する必要性があると、PwCは訴えています。

4つの未来予想(世界)

PwCは検討可能な全てのシナリオの基礎部分について定義しました。将来の働き方は、それらシナリオの中での挑戦(姿勢)や機会に対する反応(態度)によって決まると想定されます。

2030年の世界には以下の4つのシナリオ(世界)が存在します。

Red world

消費者重視の競争が激化し、規制よりもイノベーションが先行する。デジタルプラットフォームは、優れたアイデアを持つ組織や個人に活用され、大きな影響を与える。スペシャリストやニッチビジネスが市場に溢れる世界。

Blue world

組織の拡大に応じて、大企業の資本論理により市場がルール化され、個人の欲求は、社会的責任よりも重要視される世界。

Green world

社会的責任や信頼が、人口動態変化、環境やサステナビリティを含める企業理念の中核となり、企業のキードライバーとなる世界。

Yellow world

ソーシャル(社会)ファーストとコミュニティビジネスが繁栄し、クラウドファンドも倫理的かつ道徳的な価値を持つビジネスに資金が集中する。社会に対する思い、意味・意義を追求し、職人やモノ作りの職業、また「あたらしい労働者組合」が注目され、人間性に重きが置かれる世界。

変化に対する日本の労働者の意識

それに対し、働き方に大きな変化を求められた場合に、日本の労働者の48%は、「やや心配だ」と感じることが分かりました。

オートメーション(自動化)については、56%が仕事を失うリスクとしてとらえ、一方で86%が10年以上の長期雇用ないしは終身雇用が続くと回答しています。

「働き方改革」への期待については、「生産性向上(32%)」「多様な人材活用(ダイバーシティ、30%)」、「リスク対応力(BCP、21%)」を大きく引き離して、71%が「ワークライフバランス(生活の安定や充実、自己実現)」が一番高い結果となりました。

「働き方改革」を実現するために大切な施策は、「社員の意識改革(56%)」「人事制度改革(45%)」「経営戦略(42%)」「コミュニケーション改革(39%)」と続き、「人工知能(AI)の活用(10%)」「RPA(ロボティクスによるオートメーション)導入(4%)」となり、「働き方改革」は経営、人事、意識やコミュニケーション改革と捉えており、デジタル革命による環境変化についての実感が薄いことが分かります。

実際に、将来の変化に対する準備が出来ていないと回答したのは88%となり、その内、変化への準備を全くしていないと回答したのは44%となりました。

調査結果を受け、PwCコンサルティング パートナーの佐々木亮輔、ディレクターの藤田通紀は次のように述べています。

「日本の労働者はワークライフバランスで仕事以外に価値を見出す傾向にある一方、革新的な技術には感応度が低く、準備できていない現状が認識できました。多くの経営者は、働き方改革を実行しているのに生産性が向上しないことに疑問を感じています。私たちが支援する働き方改革プロジェクトにおいても、経営者と従業員の期待値の乖離が大きな課題となっています。乖離があるままプロジェクトを進めても消化不良で終わってしまいます。経営者と従業員の価値観の共有は働き方改革の大きな第一歩です。ワークライフバランスの『ライフ』が多様化し、『ワーク』の概念の急速に変化する現代だからこそ、重要なプロセスだと考えています」

以上

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