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PwC Japanグループ アニュアルレビュー 2023

相手を受け入れ、知り合うことから始まる、壁を超えるための仕組みとインクルーシブカルチャー

多様な働き方を実現しながらも
精神的な距離は離さない

梅木 オフィスサポートチーム(以下、OST)は、各法人・各部門が効率的に業務を推進していくためのサポート業務を担っています。 2016年3月の設立当時は障がい者を受け入れる方針や体制ができていない状態でしたが、「まずは採用して受け入れに慣れていこう」という考えで始まった点にPwC Japanらしさを感じます。 インクルージョンファーストのカルチャーから生まれたチームと言えますね。

桐野 そうですね。 OSTは3名の採用から始まり、現在は150名を超えました。 ここまで組織が成長した背景として、社内にインクルーシブなカルチャーを大切にする土壌ができていたこと、コロナ禍によってリモートワークが浸透したことが大きいと感じます。

髙木 私も完全在宅で働いています。 自分の体調を管理するにあたってリモートで働ける環境はありがたいですし、障がいの特性は人それぞれですので、自分らしい働き方が選択できる環境は、OSTメンバーのみならず、PwC Japan全体の働きやすさにもつながっていると感じます。

梅木 私たちは法定雇用率を達成するために障がい者雇用に取り組むのではなく、障害のある方々が自らの強みを発揮し、ファームに貢献する組織を目指しています。 その違いが働き方にも表れていますね。

髙木 OSTメンバーもその差を実感しています。 OSTの入社説明会で「スキルよりも、他者への配慮や思いやり、相手の立場に立つ姿勢を大切にしている」というインクルーシブカルチャーについての考え方を知り、入社を決意したメンバーも多くいます。

桐野 プロフェッショナルとしてスキルを磨き続ける責任を持つことはもちろん重要ですが、入社後に身につけられるスキルは入社後に身につければいい、というのが私たちの基本的な考え方です。 リモートでも精神的な距離は離れないよう、いつでもオープンな姿勢を大切にしています。 PwC Japanにおける障がい者雇用の定着率が約94%と高いのは、お互いを気にかけながら働く環境に安心と快適さを感じている人が多いからだと思います。

遠慮や偏見の壁を超えるために
当事者でなくても「知る」機会を

桐野 2023年度は、地方の特別支援学校からのインターンや、寝た姿勢で業務に従事する方も採用しました。いずれも私たちとして初めての取り組みで、働く人の居住地や障がいの種類の面で採用の範囲を広げることができたのは、大きな成果でした。 地方では働き先の選択肢が少ないことを理由に就労を諦めている人もいますが、テクノロジーを活用したリモート勤務により活躍の機会を拡大することができます。 私たちの活動を通じて、そのことを周知していきたいですね。

髙木 OSTメンバーが増えたことで、既存のメンバーが新しいメンバーに業務を教えたりフォローしたりする機会が増えました。 メンバー同士のケアの精神の発揮や言動が、仕事のやりがいや自信の強化につながっている、といった声も多く聞かれます。

桐野 OSTメンバーの活躍という点では、簡単な業務の一部を切り出して担当してもらうだけでなく、全体を把握しての業務や、より責任のある仕事を任せ、成長を実感してもらうことも重要ですね。

梅木 PwC Japanでは、誰でも参加できる「アビリティネットワーク」を通じて、障害のあるメンバーとないメンバーがお互いを知る機会が生まれています。 障がい者雇用は当事者のみを対象とする制度と捉えられがちですが、組織の中には障害者手帳を持っていないけれども障がいがあるメンバーや、身内に障がい者がいるメンバーもいます。 また広く捉えれば、「障がい」とは人や環境との間で起こるバリア・障壁のことだと言えます。アビリティネットワークでの交流は、目に見えるものに限らない、人のニーズと環境との間に生じるギャップという意味での障がいについても知る機会になっています。

桐野 「知らない」ことが原因で遠慮や偏見が生まれます。 その壁を超えていくためには「障がい」を感じる人の考えを知ってもらうことや、まず関心を持ってもらうことが大事ですね。

髙木 日々の業務でも、依頼者が「ここまで頼んでいいのだろうか」と迷ったり、OST側が「こういった配慮を求めても良いのか」と悩んだりするケースがあります。 アビリティネットワークのような場を活用して、まずは私たちが自己開示を行い、依頼者にはフィードバックを求め、お互いに遠慮しない関係づくりをしていきたいと思います。

梅木 こうしたPwC Japanでの推進について他社から聞かれることが多くなってきました。 今後も他社に参考にしていただけるような取り組みを続け、日本全体の障がいに関するインクルージョンを広めて、社会のスタンダードそのものを進化させることに寄与していきたいですね。