10年後のデジタル社会の職業と仕事に必要なスキルを考える「未来のしごとワークショップ」をオンライン開催

2021-01-26

社会のデジタル化が進み、仕事のあり方や働き方が大きく変わろうとしています。生徒の皆さんが大人になり、社会で働き始めるころには、今は想像もつかないような新しい職業が誕生しているかもしれません。中学校ではこれまで職業体験として実際に働く現場を見学・体験する学習活動がありましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で全ての生徒が職場に出向くことが難しい状況となりました。

そこで、PwC Japanグループは特定非営利活動法人みんなのコードと協力し、10年後の社会で必要とされる職業と、その職業に就くために必要なスキルを考えるというテーマで、「未来のしごとワークショップ」の公教育現場への提供を開始しました。これは、PwCのグローバルプログラム「New world. New skills. 新たな世界。新たなスキル。」の一環であり、次世代を担う人材がデジタル世界への知識と理解を深め、スキルを習得することを目的とした取り組みです。

第1弾として、2020年12月7日に鳥取県岩美町の町立岩美中学校で2年生84名を対象に実施したプログラムの様子をお伝えします。

自由かつ柔軟な発想で「未来のしごと」を考え出していく中学生たち

はじめに、教室のスクリーンを通してPwCコンサルティングでテクノロジー部門をリードする桂 憲司から未来の仕事を考えるためのヒントとして、デジタル化の加速について今起こっていることを紹介し、「自分のやったことが誰かに感謝されること、誰かの役に立つことはとても重要です。そのためには身近にいる仲間、新しく出会う人を大切にし、好奇心を持って自分がやりたいこと、好きなことを見つけて自分を鍛えていってください」と激励のメッセージを送りました。

ワークショップでは、「スポーツ選手」「医療従事者」「エンターテイナー」「教師・保育士」「小売・飲食」の職業分野から、関心のあるテーマごとに5つの教室に分かれ、PwCの社員とオンラインでつながって対話をしながらアイディエーションを進めました。

「自由な発想でこんなのがあったらいいな、誰かがもっとハッピーになりそうだな、というアイデアを考えてみましょう」というPwC社員の言葉でワークショップはスタート。

4-5人で1チームを組成し、自分たちが将来なりたい職業と複数のテクノロジーに関するキーワード(顔認証技術、GPS技術による位置情報の取得、ドローン撮影の技術など)を掛け合わせて新しい「未来のしごと」を考え、考えたアイデアをふせんに書いて模造紙に貼り付けます。次に、チームで出した多くの新しい職業から自分が将来就きたい職業を選び、その理由をチーム内で発表し合い、質疑応答を繰り返しながら、言葉やイラストをどんどん書き足して模造紙に新しい未来の職業像を作り上げていきます。

初めての体験に緊張した面持ちの皆さんでしたが、ディスカッションを進めるうちに、次第ににぎやかな雰囲気になりました。オンライン会議システムを用いたPwCメンバーとのやり取りも次第に活発になり、アドバイスを受けてアイデアを深堀りしたり、違う視点で考えてみたり、と双方向にコミュニケーションを取り、新たな授業の形にもすぐに慣れて、積極的に学ぶ姿勢が見られました。

「あ、そういうことか」「こんなこともできるんじゃない」…皆で顔を突き合わせてアイデアを検討しているうちに、あっという間に模造紙はふせんでいっぱいに。最後には、どのチームもカラフルで個性あふれる未来のイメージを作り上げました。

なりたい職業×デジタルキーワード=「まだ見ぬ未来の仕事」に心躍らせる

最後は、全ての教室をオンラインでつなぎ、職業分野のテーマごとに発表を行いました。

人の表情などから感情を読み取り、落ち込んでいる時には気持ちが明るくなるようなメークをする「メークアップカウンセラー」、顔認証の技術を活用して店の常連さんの顔や好みを覚えてサービスを提供する「AIレストラン」、ドローンを活用して子どもたちの安全を見守るシステムを作る「公務員プログラマー」など、自由な発想の新しい職業のアイデアがたくさん生まれました。

ワークショップに参加した生徒からは、「今日考えたことが本当に未来の職業になっているかもしれないので、未来が楽しみです。自分たちでアイデアを出して未来の道具を使っていくことが大切だと思いました」「たくさんアイデアが出てきて、こんな未来が実現するときのことを考えるとワクワクしました」「未来のしごとについて考えることで、将来の自分の仕事が楽しみになりました」など、テクノロジーを活用した未来の世界で働くことについて前向きな希望に満ちた感想が多く聞かれました。

社会で求められるのは、テクノロジーを使って何をするのか自ら考える力

「未来のしごとワークショップ」を終え、2年生の学年主任である松岡 利至先生に、苦労したことや実際に開催してみての印象、今後の教育のあり方について聞きました。

「初めての試みでしたので、教員がきちんと対応できるだろうか、生徒がどんな反応を示すだろうかという不安もありましたが、想像以上に子どもたちの適応力が高く、子どもの力は無限だと改めて思いました。子どもたちが自由に発想を膨らませている様子や、普段はおとなしい生徒が積極的に発言している姿が見られて、教師としてとてもうれしかったです。今回の機会を通じてテクノロジーを活用して“こんなこともできるんだ“と教育の新たな可能性を感じられたことは、学校としても大きな財産になりました。テクノロジーはこれから欠かせない要素になると思いますが、それを使いこなすための技能だけでなく、それを使って何をするのかという柔軟な発想をすることが大切だと感じました」

PwC Japanグループで「New world. New skills.」プログラムをリードする佐々木 亮輔は、本プログラムの意義と目的をこう述べています。

「ロボットやAIが仕事を奪うのでは――。このような悲観的な捉え方をするのではなく、テクノロジーをどう活用すればより人々の役に立つことができるのか、という発展的でポジティブなマインドセットを持つことが重要です。子どもたちには知的好奇心を持って自ら課題を設定し、いろいろな考え方を持つ人と関係を作り、協働・協創することで新しい世界を前向きに生き抜いてもらいたいと思います。これからの世界ではAI・ロボティクスの導入によって反復的な作業が減る一方で、人間にはゼロから1を生み出す右脳的な発想が求められるでしょう。そのようなスキルは、知識の積み上げではなく経験によって得られるものです。私たちは今後も教育現場の先生方、みんなのコードの皆さまと協力し、子どもたちに今回のプログラムのような学びの場を提供していきたいと考えています」

PwC Japanグループは今後もクライアント企業や教育機関、自治体などとのコラボレーションにより、地域コミュニティにおける人々のスキル格差是正に取り組んでいきます。

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