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鳥取市の子ども食堂からスタートした「麒麟のまち地域食堂ネットワーク」は、約40カ所の地域食堂と支援企業などとのハブとして重要な役割を担っています。
今回の支援プロジェクトでは、より安定した運営とさらなる発展のために寄付を募るパンフレットの制作を支援しました。この支援に取り組んだPwC Japan有限責任監査法人(以下、PwC Japan監査法人)のプロボノメンバーは、多様なバックグラウンドを持つそれぞれの強みを発揮し、互いにサポートし合いながらプロジェクトを推進しました。運営団体のニーズを引き出すと同時に、第三者の視点から活動の意義を整理し、重要性を幅広い観点から訴求して作成したパンフレットは、周囲から高い評価をいただいているといいます。「プロボノ活動を通じて、コミュニケーション力の向上やチームワークの大切さを学び、社会課題解決に携われる喜びを実感しました」と語るメンバー達が、その取り組みを語りました。
(左から)PwC Japan監査法人 アソシエイト 児玉 愛、マネージャー 大谷 寛子、アソシエイト 森 俊了
――最初に現在の担当業務と、プロボノに手を挙げた理由を教えてください。
大谷:
私は現在、企画管理本部に所属しています。以前はアドバイザリー業務を行っていましたが、産休・育休を経て、復帰後は主に人財に関する仕事をしています。プロボノ参加のきっかけは、休職中に子育て支援をするNPO団体と一緒に子ども食堂を運営したことです。
児玉:
私はRisk Assurance(RA)部でシステム監査などを担当しています。今回のプロボノに参加してみようと考えたのは、前職のテレビ局勤務時代に子ども食堂のプロジェクトに関わって、興味を持っていたからです。PwC Japan監査法人に入社してまだ1年足らずなので、日常では与えられた仕事をこなすことが多いです。もちろん、それはとても重要な役割なのですが、自分で主体的に進めるプロジェクトにも挑戦したいと考え、メンターやコーチからの勧めもあり、迷わず手を挙げました。
森:
私もRA部でサイバーセキュリティ関連の評価業務を担当しています。普段の業務と子ども食堂に接点は全くありません。参加を決めた理由は、「外部への情報発信やマーケティング、資料作成」という作業が好きだったからです。前職ではシステムエンジニアとして働く傍ら、技術系の広報や情報発信といった役割も自主的に行っていました。そのため今回の「資金集めを目的としたパンフレットを制作する」というプロボノは、自分自身が楽しみつつ、かつスキルを活かした貢献ができると思い、参加を決めました。
――大谷さんはご自身が子ども食堂に携わり、継続して運営していく難しさもご存じだったと思います。子ども食堂にもう一度チャレンジしたいというモチベーションは何だったのでしょうか。
大谷:
子ども食堂はとてもニーズがある場所だと思いますが、運営していくためには食材や場所の確保、衛生管理、広報などやるべきことがたくさんあります。運営の大変さと大切さを知っていたからこそ、頑張っていらっしゃる団体を応援したいという気持ちがありました。
もう1つの理由は、お客さまに価値を提供できる仕事にもう一度チャレンジしたいと思ったからです。現在はクライアント業務から離れていますが、休職中の経験も含めて、今の自分にできることを試してみたいという気持ちがありました。
――次にプロジェクトの内容を教えてください。具体的にどのような活動をしましたか。
森:
プロボノの内容は、鳥取市の官民が連携する団体「麒麟のまち地域食堂ネットワーク(以下、地域食堂ネットワーク)」が企業や支援団体に対して寄付を募るために利用するパンフレットの作成です。地域食堂ネットワークは、企業などから寄せられた寄付や食材を域内に40カ所以上ある地域食堂に分配する中間支援団体です。
大谷:
地域食堂を運営するうえでは食材の確保が大きな課題ですが、個人の寄付だけでは限界があります。そこで、企業等からの安定的な支援を募るためのパンフレットを作りたいという要望をいただきました。
プロジェクト開始当初、「どんな内容を盛り込むのか」「どういった構成にするのか」といった点が具体的に決まっていなかったため、まずは「どんなパンフレットにしたいのか」という要望を掘り下げることから始めました。
――各自の役割はどのように振り分けたのですか。
森:
最初のキックオフ時点では何も決まっていませんでした。「そもそもプロボノって何をするんだろう」から始まったと記憶しています。ただし、地域食堂ネットワークとの打ち合わせ日程は決まっていたので、基本的なアジェンダと当日ファシリテートする人を決めなければいけないということは認識していました。
役割分担は誰かがトップに立って采配を振るうのではなく、メンバーが主体的に「私はこれが得意なので担当します」「資料を作ります」と自然に役割が決まっていきました。
――ファシリテーターは児玉さんが担当したのですよね。
児玉:
はい。プロボノ活動もファシリテートも初めての経験でしたが、クライアントとの打ち合わせでは最初に何をするかは理解していました。といっても最初は経験のあるメンバーから段取りや確認事項など、プロジェクト全体を円滑に進めるためのアドバイスをいただき、それを基に進めていきました。
森:
私たちは職階やバックグラウンドだけでなく、普段担当している業務内容が異なっていました。それが逆に功を奏し、自由闊達な議論ができたと思います。また、志を同じくして集まったメンバーですので、皆さんお互いの利害や評価はあまり気にしていなかったと思います。「こんなツールを作りましょう」や「他のプロジェクトではこんなことをやっていましたよ」とアイデアを出し合い、各メンバーが持っているスキルや経験を気軽にチャットグループの中で共有しながら役割分担を決めていきました。
児玉:
メンバーそれぞれの忙しい時期がずれていたので、ある人が忙しいときは別のメンバーがカバーするなど、うまく調整ができました。部署が違うからこそ、そのような柔軟な対応ができたのだと思います。
――なるほど。チームメンバーが協力しながらプロジェクトを進めていったのですね。
大谷:
そうですね。森さんが早い段階で「デザインやイラストレーションには自信があります」と言ってくれたので、私はパンフレットの構成案や図案をざっと手書きのラフ画にして写真に撮り、森さんにチャットで相談しました。私もパワーポイントを使った作り込みは好きですが、森さんがやった方が遥かに速く、良いものになりました。
実はもともと自分で手を動かしたいタイプなのですが、時間の制約が大きくそれができませんでした。でも、チームメンバーを頼ることができたからこそ結果として良いものができました。全部自分でやろうと思ったら絶対うまくいきません。「任せる」ことの重要性を学びました。
児玉:
私は日常業務ではファシリテーターを経験する機会がなかったので、今回はとても勉強になりました。実を言うと最初は緊張して上手く話せなかったのですが、そういう時は大谷さんや他のメンバーが適宜フォローし、足りない視点を補ってくださいました。「自分ができるところはやって、できないところは助けてもらう」という感じで心強かったです。
大谷:
会議中、説明者は自分が話すことに集中するため、聞き手に注意を払えないことがあります。オンライン会議では特にそうです。そんな時は他のメンバーが聞き手の反応を観察して補足説明をしたり、不明点を確認したりすれば良いと考えていました。それをできるのがチームで取り組むメリットの1つだと思います。
でも、児玉さんがしっかり会議を進めてくれたからこそ他のメンバーが全体を俯瞰して見ることができたのだと思います。
――チームメンバーの多様な強みを活かし、状況に応じて互いに助け合えるような関係を築けたことが、プロジェクトの円滑な進行に大きく貢献したのですね。
――パンフレットを作成する際、どのような点を重視して作業を進めましたか。
大谷:
読み手の視点を意識するということは重視していました。今回のパンフレットのゴールは「寄付をお願いしたい企業や支援団体に地域食堂ネットワークの活動を知ってもらい、継続的に寄付をしてもらうこと」だったので、地域食堂ネットワークの思いを伝えるだけでなく、企業や支援団体の方が寄付を検討する際に感じる疑問点や懸念点などを予測し、その点も踏まえて必要な情報を掲載するということを意識しました。
また、実際に企業や支援団体を訪問してパンフレットを使う際に「どのような構成であれば説明しやすいか」「どのようなビジュアルであれば見る側に"刺さる"か」ということを想像して「この視点も盛り込みませんか」といった提案をしていました。
――地域食堂ネットワークの皆さんとのコミュニケーションで工夫された点を教えてください。
児玉:
最初のミーティングはオンラインだったのですが、今振り返るとお互いが緊張していたと思います。メールだけのやり取りでは状況がよく分からないこともありました。そうした関係性が一変したのは、私や森さんが鳥取市を訪れ、「お互いの顔が見える関係」になってからです。地域食堂ネットワークの皆さんも気さくに接してくださり、頻繁に電話できるような関係性が構築できたと思います。
大谷:
確かに変わりましたね。最初の頃は、オンライン会議ということもあり、こちらからの説明について「はい、良いと思います」とはおっしゃっていただけるのですが、本音をちゃんと言ってもらえているか不安もありました。それが直接会ってからは「もうちょっとこうしてほしい」というような要望もいただけるようになったと思います。
森:
週1~2回の頻度でミーティングを行い、私たちが作ったイメージを地域食堂ネットワークの皆さんに提示して、コメントをいただくということを繰り返しました。最初は完成度の高いものではなく、ラフなイメージのすり合わせから始めて、先方の反応を確認しながら徐々に品質を上げていくという作り方を心がけました。
――今回のプロボノ活動を通じてPwCが地域食堂ネットワークに提供できた価値は何だとお考えでしょうか。
児玉:
地域食堂ネットワークの皆さんが気付いていない強みや魅力を、私たちが第三者の視点から見つけてパンフレットに盛り込めたことだと思います。
大谷:
そうですね。私たちのような第三者を使っていただくことで、これまで以上に地域食堂ネットワークの魅力を伝えていくことができると感じていただけたら嬉しいです。
――今回のプロジェクトは皆さんにとってどのような糧になったと感じますか。
森:
私はコミュニケーション力が鍛えられたと感じています。クライアントの本音を引き出すスキルは、普段の業務においても非常に重要です。今回、地域食堂ネットワークの皆さんと直接お会いし、雑談も交えながら話すことで、活発なコミュニケーションが生まれたと感じています。今回のプロボノで学んだ「傾聴」と「提案」のバランス感覚を、他の場面でも発揮できるように努めていきたいです。また、リモートでの打ち合わせは非常に便利ではありますが、直接会って時間と空間を共有することが、本音を引き出し、良好な関係を築く上でとても大事だということを再認識しました。
児玉:
今回のようなファシリテート役を担当できたことは、貴重な経験でした。今後もクライアントの思いを引き出すために、質問の仕方を工夫したり、事前に団体について調べて話題に織り交ぜたりすることで、相手に「(自分たちのことを)分かってくれている」と信頼していただけるよう努めたいです。
また、(クライアントに)不安を与えないようなプロフェッショナルとしての姿勢や、相手の反応を見ながら分かりやすく伝えることを学び、コミュニケーションの引き出しが増えたと実感しています。これらのコミュニケーション術は、今後の業務でも活かしていきたいですね。
もちろん、チームで1つの目標に向かって取り組むことの楽しさも改めて実感しました。メンバー同士の信頼関係があるからこそ、互いの強みを活かし合いながら、弱点を補完し合えるのだと気付かされました。
大谷:
私もチームで動くことの楽しさを再認識しました。マネージャーだからといって全部自分で決断しなければいけないということはなく、むしろ自分の経験を生かしつつ、メンバーの力を信じて任せることが大切だと改めて気づかされました。
チームで何かを作り上げる楽しさは、次の仕事へのモチベーションにもなりましたし、これからもチャレンジしていきたいと思えるようになりました。
――ありがとうございます。今後もプロボノ活動に参加したいです。
森:
今回手応えを感じたこともあり、実はすでに別の子ども食堂を支援するプロジェクトへのプロボノ参加を予定しています。
児玉:
プロボノは私にとっては、社会課題の解決に直接アプローチできる貴重な機会です。地域食堂の現場に触れ、運営側の思いに寄り添う中で、自分自身も成長することができました。私も継続して参加したいです。