【PwCのプロボノ活動】NPO法人おっちラボの活動支援

2021-06-10

PwC JapanグループはPurpose(存在意義)である「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」を体現するため、社会のさまざまな課題解決に取り組む自治体・非営利団体に対して無償でコンサルティングを提供するプロボノ活動を実施しています。

PwCコンサルティング合同会社(以下、PwC)は2020年9月から2021年2月までの期間、NPO法人おっちラボへのプロボノ活動を実施しました。おっちラボが新たに開始する山林活用事業に対して私たちが行った取り組みの内容を紹介します。

NPO法人おっちラボとは

「地域の暮らしをよくする本気のチャレンジがあふれる雲南市」を目指して活動を展開する、島根県雲南市を拠点とするNPO法人です。おっちラボは「人の可能性を解き放つ」ことを使命とし、幅広い活動を通じて雲南市民のチャレンジを促進し、持続可能なまちづくりに大きく貢献しています。

雲南市の「山林活用の自治」を目指して

雲南市は、7割以上の面積を山林が占めています。しかし、林業の衰退や不十分な山林管理のため、山林の有効活用に課題を抱えていました。そこでおっちラボは、山林所有者、森林組合、行政、市民をつなぐハブの役割を担う中間支援組織を立ち上げ、山林の可能性(商品価値、環境価値)を最大化する「山林活用の自治」実現を目指しています。

PwCのプロボノ活動

1.「山林活用の自治」を実現する雲南版フォレスターの人材像の明確化

「山林活用の自治」を実現する上では、林業の担い手がいないことが大きな課題の一つです。担い手がいなければ山林の整備ができず、有効活用の方法を考えることもできません。そこでおっちラボは、林業先進国ではなりたい職業として人気が高いと言われている「フォレスター」をロールモデルに、「雲南版フォレスター」という、新たな林業従事者の人材像を考案しました。フォレスターは自然環境保全と林業経営の両立のために活動する森の専門家のことで、スイスやドイツなどでは国家資格となっています。

PwCは今回、おっちラボへの支援として、PwCのグローバルネットワークを活用した各国へのヒアリングを行いながら、「雲南版フォレスター」に求められる人物像を定義・設定しました。

フォレスターの人材像 - 役割、スキル、モデルの定義
フォレスターの人材像 - 役割、スキル、モデルの定義
フォレスターの人材像 - 役割、スキル、モデルの定義

2.おっちラボが中間支援組織として果たすべき役割の明確化

また、PwCは山林活用の促進における「中間支援組織の役割」について、国内の林業先進地域に対してベンチマーク調査を実施し、おっちラボが中間支援組織として果たすべき役割についても提言しました。

ベンチマーク調査対象

ベンチマーク 調査対象

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のため現地に赴いての活動は叶いませんでしたが、オンラインツールを最大限に活用。雲南市、国内の林業先進地域、そして海外の林業先進国のさまざまな関係者をつなげることで、地域が抱える課題解決に向けたディスカッションの機会を持つことができました。

今後に向けて

おっちラボとPwCによる今回の取り組みは、林業に限らず、地域の課題解決につながると考えています。山林の空間や木に関するデータをもとに、山林の価値をさらに追及していくことで、防災やヘルスケアなど、あらゆる住民サービスの向上に役立てていきたいと考えています。

PwCは今後もPurposeを体現する活動としておっちラボへのプロボノ活動を継続し、雲南市の持続可能なまちづくりに貢献していきます。

おっちラボ代表 小俣 健三郎氏コメント

おっちラボ代表 小俣 健三郎氏コメント

チャレンジする人の支援をしてきた当法人として、初めて自ら課題解決の切り口をデザインして調査/プロジェクト設計をするというチャレンジでした。PwCコンサルティングの皆様が高度な情報収集・編集力で伴走してくださったおかげで、林業という複雑な問題解決の糸口がとてもクリアになり、たいへん感謝しております。ご提言の内容を踏まえて、雲南版フォレスター育成のための活動を始動できました。成果に結び付けられるよう、全力で取り組んでまいります。

PwCコンサルティング合同会社 コメント

今回のプロボノ活動をとおして、山林の可能性や魅力に取りつかれていきました。日本は国土の約7割が森林に囲まれています。一方で、木材自給率は3割程度であり、この豊富にある資源を有効活用できているとは言えません。国内の森林を有益な資源として捉え、山林の可能性を追求していくことが、地域創生だけでなく日本経済の活性化にもつながっていくと信じています。今回、島根県雲南市を舞台にその方向性や仮説について議論してきましたが、今後は仮説の検証をとおして、山林活用による地域創生のモデルの一つを提示していければと考えています。

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