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旧来、消費財・小売・流通業界のビジネスモデルは、メーカー⇒卸⇒小売という流通システムを通じて全ての消費者にモノを“普及”させることを目的としていました。しかし昨今では、消費者一人ひとりが自分の嗜好性・価値観に合うブランドや商品、およびそれらの購買チャネルを自らの意思で“選択”するようになってきています。この傾向はコロナ禍によりさらに加速しており、「外出先の店舗で、広告宣伝されていた見覚えのある商品を何気なく手に取る」のではなく、「愛着がある、信頼できるブランドの商品を自宅でECサイトから選んで購入する」というのが、消費者の典型的な購買行動となりつつあります。
このように消費者の購買行動が激変する中で、消費財・小売・流通業界の企業が生き残るための重要なキーワードは、「Diversity(多様性)」「Agility(機敏性)」「Sustainability(持続可能性)」の3つであると考えます。
同じモノを同じ方法で“普及”させるだけのビジネスモデルから脱却し、消費者に“選択”されるブランドになるためには、多様化する消費者の価値観を理解した上で、多様な要求を満たす体験価値を自社ブランドの商品に付加することが必要不可欠です。その体験価値をサブスクリプションサービスなどにより消費者にダイレクトに提供することで、より高単価、かつ長期的な安定収益を実現することが可能となります。
社会環境は今後ますます不確実性と複雑性を増し、それに伴い消費者の価値観・購買行動も多様化、変化し続けます。その中で企業は社会、消費者のニーズの変化に追随し、ビジネスモデルを変化させ続けるために、機敏性および柔軟性の高い事業、組織、テクノロジー基盤を整備する必要があります。
消費者の価値観が多様化する中で、「エシカル消費」という言葉にも表れるように、社会・環境の持続可能性に対する消費者の意識は飛躍的に高まっています。経済性に対して社会性・環境性がトレードオフでなく、トレードオンの関係性になりつつあることを理解する必要があります。
このようなチャレンジングな状況にある業界に携わる上で、特に大事にしているのは、「ライフワークインテグレーション(Life/Work Integration)」という考え方です。日常生活の中でも、自身が望む消費体験、購買体験はどのようにもたらされるべきかを常に意識し続けることが、クライアントに価値ある提案をする上で有意義であると考えています。また、自分がひとりのコンサルタントとして、この厳しい業界の中でクライアントの差別化を支援することは、ひとりの消費者でもある自分が理想とする生活の実現にも間接的に貢献している、というやりがいをもって日々の仕事に取り組んでいます。
経営コンサルティングファームにおいて20年以上のコンサルティング経験を有する。現在は主に小売業、消費財メーカーに対して、業務改革、IT/デジタル化構想立案などのコンサルティングサービスに従事。
経営管理の高度化、および業務改革の手段としてのシステム化構想立案、デジタル技術(AI、IoT、ビッグデータ)の活用構想立案を得意領域としている。