矢澤 嘉治(Yoshiharu Yazawa)

PwC コンサルティング合同会社 パートナー

現場の経験を生かして製造業のデジタル化を支援

私はものづくりへの憧れから自動車メーカーに入社し、工場を管理する生産管理部で社会人としてのスタートを切りました。当時の製造現場はQC活動やTPM(Total Productive Maintenance)活動、JIT(Just In Time)への取り組みなどで活気にあふれていました。諸先輩方から非常に多くのことを学びましたが、さらなるものづくりの発展には、製造現場における体系的なITの活用が重要と考え、コンサルタントに転身しました。以来20年ほど製造領域のIT活用に関わっています。

そのように取り組んできた製造領域にも、デジタルトランスフォーメーション(DX)の大きな波が訪れています。ドイツのIndustry4.0、中国の中国製造2025などに代表されるデジタルを活用した製造領域の高度化が進展し、大きな成果を上げています。一方で日本企業の製造領域におけるデジタル化については、先進的な取り組みにより成果に結びつけている企業もありますが、苦戦している企業も多いのが実情です。

DXの取り組みにおいては、デジタルの活用にあたって、トップからの明確な戦略と現場の具体的なイメージの両輪が必要です。単にデジタル活用の専門組織を立ち上げ、欧米のソフトウェアを導入すれば実現するものではありません。特に製造領域においてはIoTのプラットフォームを導入するだけでなく、これまで日本が得意としてきた製造現場と設計者の共同作業、階層を越えた知恵の共有、業界間の横の連携、ノウハウの伝承など、人とデジタルを融合させることこそが、日本の勝ち技になっていくことでしょう。

そのためには、デジタルの専門部隊がリードするだけでなく、業務に関わる全てのメンバーがデジタル活用の意識を持って取り組む必要があります。デジタル活用を誰かの特別なものにせず、自らが実践するという意識改革と行動が必要です。PwCコンサルティング合同会社では、デジタル活用の意識改革と行動を促進するための体験の場として、実際の製造現場を模したミニチュア工場を配備しました。われわれは戦略や構想の立案だけでなく、クライアントが行動し、成果が出るまで寄り添うコンサルティングを目指しています。

矢澤 嘉治(Yoshiharu Yazawa)

日系大手自動車メーカー、外資系コンサルティング会社を経て現職。製造業における業務改革や業務標準化に20年以上従事、特にITを活用したソリューション提供に強みを持つ。PwCコンサルティング合同会社では、工場領域におけるIoT活用に関するプロジェクトを多く手掛ける。IoTを絡めた戦略立案、組織改革、データ収集・蓄積・活用の構想策定、実証実験からシステム導入まで、幅広く支援している。


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