
N. Ogino ビジネスリスクコンサルタント
地方公共団体のセキュリティ対策を支援し、安心安全な社会づくりに貢献する
私たちリスク・アシュアランス部(RA)は、クライアントである企業のシステムやIT領域において想定されるリスクがどこにあるのかを特定し、そのリスクに対応するコントロールの十分性を監査の観点に照らして判断するシステム監査業務を行っています。財務監査領域に限らず、クラウドセキュリティなど新しいテクノロジー領域においても社内統制が十分なものであるかどうかを評価し、リスクを適切にコントロールするための現状分析、対策を一緒に考えていくことが主な仕事です。
リスクコンサルティングはよく「守りのコンサルティング」と呼ばれますが、入社して感じたのは、リスクコンサルタントはお医者さんのような存在だということです。企業として新しい戦略を立てて、業務を拡大し、売上を伸ばしていくことも大事ですが、そのためには企業自体が健康である必要があります。その健康とは何かという部分を担保するのが企業にとっての“かかりつけ医”であるRAなのだと思います。
リスクマネジメントに関連したサービスを提供する会社は多数ありますが、ビジネスで想定されるリスクを識別して、課題解決に結びつけられるようコントロールしていくというリスク・ベース・アプローチは監査論から始まっています。リスク・ベース・アプローチの基礎を学ぶのに最適なのは監査なので、RAでは新卒で入社したら監査業務を十分に経験してから、アドバイザリー業務を担当します。監査法人とリスクコンサルティングが結びつかないと思われるかもしれませんが、リスクとコントロールの関係を強く意識したリスクコンサルティングを提供できるのは、監査法人だからこそだと思います。
入社2年目、アソシエイトの時に初めて現場責任者を任されました。クライアントの組織内の会計にかかわるシステム管理状況が十分かどうかを検討するシステム監査のプロジェクトです。アソシエイトという現場の実務者という今までの立場と、業務の全体感や進め方、関係企業まで理解したうえで推進することが求められる現場責任者の立場に、それまで気づかなかったギャップを感じました。
そのギャップを埋めようと試行錯誤しながらも、新しい役割を務めようとするものの、どうしても慣れないことが多く精神的にも肉体的にもとても厳しい思いをしました。クライアントからの質問に対して、不安や自信のなさから歯切れの悪い返答をしてしまうなど、後から後悔することもありました。しかし、そうした苦境においても、チームリーダーのマネージャーや他チームの先輩からの手厚いサポートを受けて何とか乗り越えることができました。途中で何度もくじけそうになりながらも、このプロジェクトをやりきったということが自分の成長を実感するきっかけとなりました。
その経験から学んだことがたくさんありますが、中でも大きい気づきは、私たちの仕事に教科書通りの回答はないということ。抽出された一つの課題であっても、クライアントの置かれている環境やそれぞれの考え方によって、その解決策は全く異なります。だからこそ、クライアントとの密なコミュニケーションを図りながら、その状況を適切に把握することが大切です。クライアントとの信頼関係がベースにあるからこそ、表には出ない本質的な課題を抽出することができ、結果として最適な解決策を導くことができるわけです。
コンサルティング業務というとビジネスライクな付き合いが想像されますが、やはり人対人の仕事なので、お互い本音で話し合うことが信頼関係を築くことにつながるんだと思います。
マネージャーになったことで仕事の幅が広がっただけでなく、責任も大きくなりました。職階が上がることはモチベーションにもなりますが、プレッシャーがないわけではありません。しかしこのプレッシャーが決してネガティブなものに感じられないのは、RAの先輩やチームメンバーが常に一緒に乗り越えてくれるという強い信頼があるからです。
RAでは先輩・後輩関係なく、何か疑問があったらお互いに相談し合うのは当たり前。コンサルティング会社に対する一般的なイメージにあるかもしれない、社内競争が激しく個人主義というような雰囲気は一切ありません。この違いは、チームで楽しみながらプロジェクトをもっと良いものにしていきたいと思っているメンバーが揃っているからだと思います。
プロジェクトごとに柔軟にチームを編成して業務に当たるので、自分がやりたいことに自由に挑戦できる機会も多いです。私は海外志向が強かったので、グローバルプロジェクトにかかわりたいと上司に伝えたところ、コミュニケーションだけではなく求められる成果物も英語という外資系のクライアントを担当させてもらえるようになりました。自分がやりたかったことを実現するためのプロジェクトや環境を積極的に与えてもらえるのはPwCのカルチャーといえます。そのカルチャーのおかげもあって、入社当時に抱いていた目標は達成してきました。そして今胸に秘める新たな目標は、いつかPwCのグローバルな環境で世界を駆け巡りながら働くことです。
※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時のものです。