
R&D/PLM(Auto)CoEは、変革期に直面する自動車産業のエンジニアリングチェーン業務の課題と向き合い、解決に向けた実行運用につなげるために上流から下流までの工程を一貫して支援することを目指しています。
R&D/PLM(Auto)CoEの特長、コンサルタント未経験だった事業会社出身者たちの成長と活躍について紹介します。
左から川端 祐樹、曹 文俊、川添 健太郎
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS マネージャー 川添 健太郎
川端:
私たちが所属するR&D/PLM(Auto)CoEは自動車OEMやTier1サプライヤーなど自動車業界の企業を対象にエンジニアリングチェーンの変革支援を行っています。そのため、事業会社からの転職者が多いことが特徴の一つだと思います。
今回はコンサルタント未経験の事業会社出身者たちがどのように成長していったのか振り返ってみたいと思います。
まずは曹さんから経歴の紹介をお願いします。
曹:
私は、日系SIerで製造業向けにPLM関連のソリューション開発や導入などを約7年担当し、2017年にアソシエイトとしてPwCコンサルティングに中途入社しました。
前職ではソリューションの実現方法、何かを実現する手段に関してはそれなりに知識を取得できたのですが、より根本的なユーザーニーズや業務そのものに関して理解を深めたいと思い、ソリューション知識を活用しながら業界横断で見識を深めるのにコンサルティング業界が最適だと思ったため転職を決意しました。
PwCコンサルティングに入社後は、PLM領域関連の業務全体改革やコスト管理などのプロジェクトに参画しました。
川添:
私は機械工学系の大学院を卒業後、自動車用のトランスミッションを開発・製造するサプライヤーに入社しました。約15年間開発部門に所属し、先行開発から量産開発までエンジニアとして幅広く経験した後、2021年にPwCコンサルティングへ転職しました。
新卒から一つの事業会社に在籍していたので、40歳で初めての転職であり、しかも事業会社からコンサルタントへの大きなキャリア変更でした。
事業会社ではマネジメントも経験しましたが、PwCコンサルティングにはシニアアソシエイトとして入社しました。
コンサルタントへ転職した理由は2つです。1つ目はエンジニアとは異なる人生も歩んでみたかったこと、そして2つ目は自動車業界にさまざまな変革が起きている中でその最先端で仕事をしてみたかったからです。
PwCコンサルティング入社後は、調査プロジェクトや技術開発戦略策定支援、そして開発プロセス策定支援などを担当し、まさに自動車業界の変革を支援する仕事ができていると実感しています。
川端:
私は大学卒業後、外資系の自動車部品サプライヤーに入社しました。ほぼすべての自動車部品の設計・開発を行っている企業だったこともあり、国内外のOEM向けのさまざまなシステム開発に携わることができました。本配属では、ブレーキ関連のシステム開発部署に配属され、そこで約4年間をかけていわゆるV字開発の全工程に一通り携わりました。日々の開発プロジェクト業務を進める傍ら、自身の担当業務の進め方を整理して標準化することや、業界内の技術検討委員会に参画し有識者とともに特定の試験に関する業界標準を策定することなどを経験し、それらを通してモノづくりの仕組み/プロセスを整備・改善していくことにもっと関わりたいと思ったことがきっかけで、転職をすることを選択しました。コンサルタントを選んだのは、これまでの標準化業務の経験が活かせると思ったことに加えて、さまざまな企業の取り組みを支援する中で、自身としてもより良いモノづくりを突き詰めていけると思ったからです。2022年にアソシエイトとしてPwCコンサルティングに入社してからは、車両のソフトウェアアップデートに関わる法規対応支援のプロジェクトに参画し、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーと知見を互いに共有しながらクライアントの支援を行ってきました。
曹:
私たちの組織内には、自動車OEMの開発、生産、調達出身者などさまざまなバックグラウンドをもつ人たちがいます。総勢70名弱の中で事業会社からの転職者は約70%を占めていると思います。
川添:
コンサルタントになると多くの面で事業会社と異なるため初めは戸惑うことも多かったと思いますが、皆さんはどんな思い出がありますか。
川端:
私が感じた一番の違いは、日々のタスク推進を自身で設計することです。事業会社にいた頃は、ある程度決まった日程感の中で役割に応じた担当範囲のタスクを粛々と進めていましたが、転職後はコンサルタントとして課題を整理し、クライアントに対して対応方針を提案して、提案内容への合意を得てタスクを推進することが基本です。
初めの頃は、クライアントの要望や方向性を十分に理解しきれず、お話を伺いながら課題を整理することに難しさを感じていました。
心掛けているのは、クライアントの業務内容をしっかり把握することです。自身が経験したことのない分野に話が及ぶことも多々あり、そもそも何をやっているのか/何をやる必要があるのかを把握した上で対話することで、クライアントの要望をより高い解像度で理解できるようになったと思います。クライアントの標準文書などで記載されている内容を表面的に理解するだけではなく、PwCのネットワークを駆使するなどして自身で積極的に関連情報を得るようにしています。
曹:
タスク推進に関しては確かにそうですね、個人の裁量が増した分、臨機応変な対応が求められるところがあります。
私はクライアントの実情や文化に合わせて推進方法を柔軟に変えることを求められるのも違いの一つだと思います。例えばシステム開発における方法論を検討することがありましたが、転職初期では前職の経験に基づき業務を推進しました。しかしチームやクライアントと方向性のずれがしばしば発生し、なぜそのやり方がよいのか自分でも説明が難しいことに気づきました。
そこで、業界の知識を広く取り入れて自分の知識を一般解として整理し、その上でクライアント業務に適したカスタマイズを行うやり方に変えました。
川添:
私の場合は、自らゴールを定めてそこに至るアプローチを考えることに初めは苦労をしました。もちろん大きなゴールは存在するものの、そこに至るために途中のゴールをどう定めるのか、そこに向けてどのようなアプローチで進めるのが良いのか、誰かが答えをくれるわけではないので自分で考えて構築する必要があります。この会社では相談できる人が周りにたくさんいますし、短いサイクルで何回も経験を積むことができるので、徐々にコツをつかめてきたのを覚えています。
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS マネージャー 曹 文俊
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS シニアアソシエイト 川端 祐樹
曹:
コンサルタントの仕事に慣れ始めてくると、面白さやまた違う難しさが出てくると思います。
私は裏方として物事を推進するのが好きなのですが、あまり前に出たくないところが裏目に出ることが多く、難しさを感じたことがありました。海外チームとの連携時にクライアントの代わりに説明する場面があったのですたが、周りにフォローしてもらいながら、必死に原稿を書いて緊張しながら臨んだのを覚えています。
川端:
難しさと言えば、プロジェクトの中で自身の専門以外の領域に関する知識も必要とされることが多くあります。その都度、自身でインプットする必要があるのが、コンサルタントの特徴の一つだと思いますが、限られた時間の中でそれを行う難しさは日々感じています。最近では社内のネットワークを駆使できるようになってきました。プロジェクトでタスクを推進する中で、方針や進め方に悩むことがありますが、類似したプロジェクトに参画するメンバーと繋がっていることで情報共有ができるので、より良い方向性が見えたりします。メンバーの知見を活かして課題解決を考えられるようになってきた点は、自身が成長したなと思えるポイントです。
事業会社から転職してこれまで取り組んできたことを振り返ると、こういったネットワークを広げておくことが大切だと感じます。この分野はこの人に聞けばよい、と頼れる人がたくさんいるので非常に助かりますし、勉強にもなります。私もそういった存在になっていこうというモチベーションにもつながっています。
川添:
私は、クライアントの期待値を正しく把握し、その期待に応じるだけでなく、それを超えた提案や成果を出すことが、難しさでもあるし面白さでもあると感じています。
コンサルタントになるとクライアントが私たち自身に対価を支払ってくださることを強く意識する必要があると思います。だからこそ、クライアントの期待値を正しく把握することが重要であり、できることとの間に乖離が生じる場合には適切に調整を行う必要があります。エンジニアだった頃には全く経験のないことだったので、ここがコンサルタントになってから直面した難しいところです。ただ、それが徐々にできるようなってくると、新規プロジェクトの提案活動にとても活きてきます。マネージャーに昇格後は自ら提案活動を行う機会も増えてきており、新規プロジェクトを獲得できることも増えてきました。
川端:
私たちが所属するCoEはソリューション開発も重要な活動の一つですよね。ソリューション開発について紹介してください。
川添:
ソリューション開発とは、クライアントの変革支援や課題解決を行うための知見やノウハウづくりです。自動車業界は変革期が続いており、電動化やライフサイクルアセスメント(LCA)/カーボンニュートラル対応、ソフトウェアアップデートによる継続的な価値提供、DX化・AI活用による業務効率化や開発期間短縮など、さまざまな観点で変革が求められています。このような変革を推進する上でエンジニアリングチェーン上の各所に課題が存在し、その解決のために専門的な知見やノウハウが必要です。未経験の課題だからこそクライアントには知見やノウハウが十分でない場合が多く、外部に支援を求めるケースが多く存在します。こうしたニーズに応えるべく、私たちはクライアントを支援するためのソリューションを開発しています。
曹:
ソリューション開発の取り組みは大きく3つに分けられており、自動運転など技術テーマに関する動向調査や戦略立案を支援する「技術を強みとした新規事業開発」、SDV/電動化などに向けたプロセス改革を支援する「業務改革」、PLM/ALMなどを代表とした「デジタル改革」における支援を行っています。それぞれに関して社内で開発されたソリューションを、提案やプロジェクト推進に活用しています。
(リンク:R&D/PLM(Auto)CoE・ソリューション紹介ページ)
川端:
ソリューション開発にも私たちのような事業会社出身者の知識や経験が活かされていると思いますし、それを通じた成長もありますね。
川添:
時代の潮流とともに変革のテーマは次々と新しくなりますが、変革の対象は従前から存在するプロセス、組織、ITシステムなどです。
事業会社出身者は実体験として開発などを行っていた経験があるので、その知見に基づきクライアントの状況を理解し、課題を特定していくことができます。これが事業会社出身者の強みだと思います。
また、取り組むテーマが新しいので、ソリューション開発の過程でそのテーマについて深く勉強・研究することになります。結果的にそのテーマに詳しくなることで、自分自身の強みが増えていくことがソリューション開発を通じた成長だと思います。
曹:
事業会社出身者同士の交流によって生まれるものも多いですね。特に中途入社のメンバーは最前線での業務経験があるので、最新のニーズや実現手段に関するノウハウを持っています。さらにPwCコンサルティングという環境の中で、異なる業界、異なる視点の人たちとの情報交換や議論を通じて新たなアイデアが生まれることが多くあります。自分自身が持っている知識や能力に関して自信や実感も生まれると思います。
川端:
R&D/PLM (Auto) CoEではさまざまな領域の“現場”を理解したプロフェッショナル同士で連携する機会が多くあり、事業会社で培った経験を十分に活かすことができる環境なのだと改めて感じています。
プロジェクトやソリューション開発などを通じて自身が成長するとともに、さまざまな知見を持ったプロフェッショナルとのネットワークを構築・拡大することで、企業/業界/社会が抱えるより大きな問題を解決に導くことができるようになるのだと思います。これからさらにさまざまなバックグラウンドの人材が増えていくと良いなと思います。
川添:
R&D/PLM(Auto)CoEは、自動車業界の変革テーマに対してエンジニアリングチェーン全体を対象としたソリューションを開発しており、そのソリューションを活用してクライアントに寄り添いながらともに変革を進めています。電動化、SDV、DX化・AI活用など最先端テーマのど真ん中で変革を進めていくことは大きな魅力だと思います。そしてソリューション開発や変革支援においては、事業会社でエンジニアリングチェーンに携わった経験が非常に大切です。このような経験を活用してソリューション開発や変革支援を行ってみたいという方々を私たちは求めています。ぜひ一緒に働きましょう。
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS マネージャー 川添 健太郎
大手自動車サプライヤーにてパワートレイン開発に従事。技術開発戦略、製品企画、先行開発、量産開発を担当し、開発領域の上流から下流まで幅広い経験を有する。PwCコンサルティング入社後は、自動車OEMやサプライヤーの開発領域向けに開発プロセス策定支援、各種ベンチマーク調査、技術開発戦略策定支援、新規ビジネス市場調査などを行う。
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS マネージャー 曹 文俊
日系SIerで、製造業向けに技術情報管理システムのパッケージ導入・システム開発業務に従事したのち、PwCコンサルティングに入社。BOM、PLMなど基幹システムに関する業務(要件)分析、業務改善、ソリューション開発、適用支援など一連の業務の実施・支援経験を有する。
PwCコンサルティング合同会社 ET-IS シニアアソシエイト 川端 祐樹
外資系自動車部品サプライヤーで国内外のOEM向けにブレーキ関連部品のシステム・ソフトウェア開発に従事したのち、PwCコンサルティングに入社。UN R156(SUMS:ソフトウェアアップデートマネジメントシステム)法規対応に関する業務プロセス構築、認証取得支援などの経験を有する。