第1回:Technology Laboratoryの現在と今後の展望

2025-01-22

最先端のテクノロジーを活用し、産官学の連携を支援することで社会課題の解決を目指しているTechnology Laboratoryでは、多様な専門性を有するメンバーたちが活躍しています。そこで、本連載では、チームに所属する女性メンバーが、これまでのキャリアや先端領域に取り組む仕事の魅力とやりがい、Technology Laboratoryの現在と今後の展望について語り合います。

座談会参加メンバー

Technology & Digital Consultingチーム/Technology Laboratory所属

マネージャー
齋藤望

マネージャー
吉田杏奈

シニアアソシエイト
紺谷彩

シニアアソシエイト
山本彩加

※役職およびインタビュー内容などは掲載当時のものです。

左から 齋藤、紺谷、山本、吉田

(左から)齋藤、紺谷、山本、吉田

さまざまな専門性を持つメンバーが活躍するTechnology Laboratory

――自己紹介とキャリアの概要、Technology Laboratoryに参画した経緯について教えてください。

齋藤
私は大学院まで有機化学を専攻し、博士課程修了後は大学教員としてアカデミアの道に進みました。基礎研究や教育分野に対する興味・関心は高かったのですが、テクノロジーやサイエンスを社会とつなぐ役割を担いたいと考え、コンサルティング業界に転職することにしました。その後2社ほど渡り歩きましたが、「自分の専門性やバックグラウンドを生かす機会をより多く持ちたい」と新しい環境を模索していたところ、Technology Laboratoryの存在を知り、参画することを決めました。

山本
私は法学部出身でPwCコンサルティングに新卒で入社しました。当初はDigital Trustチームに所属し、サイバーセキュリティやプライバシー保護など、セキュアなデジタル世界の構築を目指すクライアントの取り組みを支援させていただきました。入社から数年後に、Technology Laboratoryが設立され、その趣旨や活動に魅力を感じ、異動を決めました。

紺谷
私は工学系で修士を取得後、研究開発のサポートやテクノロジーの社会実装をする側に回りたいと考え、研究開発費をファンディングする公的機関に入職しました。そこでは産学連携プロジェクトや社会課題起点のイノベーションを推進する業務に携わり、アカデミアで経験した後、コンサルティング会社でビジネスの経験を積みました。産官学を一通り経験したことで、より全体を俯瞰してプロジェクトを進めたいという思いに駆られ、自分の新しいキャリアを実現できる場所を探していたところ、Technology Laboratoryと運命的に出会いました。

吉田
私は人の心を可視化する技術に強い関心を持ち、大学院まで脳科学や人間科学を学んでいました。中でも、生体情報工学を専攻し、脳波や眼球運動、心拍などから心理状態を推定する研究をしていました。学生時代に脳科学に魅了されて、この技術を生かした業界に就職したいと考え、広告業やマーケティング業などさまざまな職種を模索しましたが、決め切れず。さまざまな業界の支援も可能なコンサルティング企業に新卒で就職しました。その後、ご縁があってPwCコンサルティングに入社し、現在に至っています。

――Technology Laboratoryについて教えてください。また組織全体としてどのような領域に取り組んでいるのでしょうか。

齋藤
Technology Laboratory は、世界各国にあるPwCメンバーファームの複数のラボと緊密に連携し、先端技術に関する幅広い情報を集約しながら、各産業・ビジネスに関する知見・インサイトを豊富に蓄積しています。また先端技術の知見と未来予測・アジェンダ設定を組み合わせ、企業の事業変革や大学・研究機関の技術イノベーション、政府の産業政策を総合的に支援しています。

領域としては、PwCが250以上のテクノロジーを分析し、現在最も大きなビジネスインパクトを持つテクノロジーとして絞り込んだ「ESSENTIAL 8」(エッセンシャルエイト)、すなわち3Dプリンティング、AI、AR、VR、ブロックチェーン、ドローン、IoT、ロボティクスにフォーカスしています。また3次元空間情報、WEB3、コラボレーション技術、材料情報、高齢化対応・健康技術など超スマート社会を支える次世代技術や、脳科学、量子技術、食品変革、宇宙関連技術、エネルギー変革など革新的テクノロジーの社会実装および普及もテーマとして掲げています。

多くのコンサルティング企業はすでに社会実装されている技術の応用に取り組んでいますが、Technology Laboratoryではシーズ段階の技術も積極的に取り扱っています。専門性を武器に現実的なプロジェクトを複数立ち上げており、他部署やクライアントの皆様からも魅力的な領域を扱っているとの評価をいただいています。

Technology & Digital Consultingチーム マネージャー 齋藤

Technology & Digital Consultingチーム マネージャー 齋藤

Technology & Digital Consultingチーム シニアアソシエイト 紺谷

Technology & Digital Consultingチーム シニアアソシエイト 紺谷

産官学をブリッジし最先端テクノロジーを社会実装する

――幅広い領域を手がけているTechnology Laboratoryにおいて、皆様はそれぞれどのような専門領域に取り組んでいますか。

紺谷
私のバックグラウンドはエネルギーや材料系ですが、現在は次世代通信分野でコンソーシアムの立ち上げに従事しています。コンソーシアムのコンセプトは、学術的な研究開発を進めるというよりは、産学官連携により社会実装を目指すというものです。私自身が取り組んできた専門領域とは異なりますが、セクターをつなぎ、テーマをつくって人を集めるというプロセスは共通しています。専門領域と社会の共通言語を生み出したり、セクターごとに異なる文化を翻訳して伝えたりすることが私の役割の1つだと考えています。

吉田
私は脳科学チームに所属しています。具体的にはBrain Healthcare Quotient(BHQ)という脳の健康指標を有効活用して、脳の健康を増進する各プロジェクトの支援に取り組んでいます。BHQは国際的に認められた指標であり、その指標を活用して、特定の商品やサービスが脳の健康に与える効果の検証や、脳の健康を推定するアルゴリズムの開発を支援しています。最近は、脳科学の知見を認知症予防に役立てるプロジェクトも多く、産官学で連携しながら社会課題の解決および脳科学の産業利用の拡大によるウェルビーイングの実現に貢献することを目標としています。

山本
私も吉田さんと同じく脳科学チームに所属し、BHQを活用した取り組みを支援しています。アカデミアの知見や先端技術を社会実装していくためには、社会側のフィールドに関する知見が重要となります。また、新たなルールづくりや技術周知のための「官」「公」との連携や、大学研究者とのコミュニケーション、ステークホルダーをつなぐエコシステムづくりも欠かせません。私の役割は「産」が「学」を支援する体制づくり、そして「学」「官」の連携を強化する取り組みを通じて、産官学が互いに実証成果を分析・共有できるサイクルを生み出すことです。

齋藤
私が取り組んでいるのは介護・ウェルビーイングの領域です。この業界はあまりテクノロジーに馴染みがない部分や拒否感が根強い部分もあると感じます。私も皆さんと同様に、産官学の連携によって推進していくことが重要と考えており、そのために介護業界のステークホルダー全体のメリットを最大化する仕組みを設計し、多様な立場の人を巻き込みながら先端技術の実装・普及を目指しています。

それぞれの専門性を掛け合わせてステークホルダーの価値を最大化

――それぞれの専門性やこれまでの経験をベースに業務に取り組んでらっしゃいますが、新しい専門性はどのように身につけているのでしょうか。

山本
私は脳科学や心理学の知見を持ち合わせていなかったので、最先端の知見を持つ先輩、同僚などメンバーから教えてもらうことが多いですね。また個人的に大学に再入学し、基礎的な知識は週末に自習しています。一方で若手研究者のコミュニティにも参加させてもらい、最先端のトレンドを主体的に吸収するように心がけています。

吉田
山本さんはDigital Trustのチームにいたので、セキュリティや情報の取り扱いについて高い専門性があります。私は脳科学のコンサルタントとしてキャリアをスタートさせ、今も変わらずその専門性を活かして働いています。一方で、セキュリティは勉強中であり、チームメンバーである山本さんから学ぶことも多いです。

紺谷
私のチームにも最先端の専門性を持った方が多く在籍されていて、直接聞くことはもちろん、読むべき本や勉強会など推薦してもらい、効率のよい勉強方法を教わりながら知識を得ています。技術分野が違っても勉強方法は共通している部分が多く、また技術が社会に出てくるまでのプロセスは似通っています。そのため自分が培った専門性は新たな領域の学びにも生かせると思います。

齋藤
Technology Laboratoryでは技術的な専門性だけでなく、プロジェクトを円滑に成功に導くマネジメント力も求められています。また、大学の先生たちと円滑にコミュニケーションを取り、意見を引き出すような力も必要です。人を巻き込むことができなければ未来はつくれません。そういった能力も専門性の1つだと私自身は捉えています。

他の仕事の経験や個々人の経験・知見を掛け合わせて、より良い価値を生み出していくことを私たちは大事にしており、どのような経験でも活かせる環境があります。テクノロジーに興味はあるけど、専門性にはあまり自信がないという方でも、ぜひ一緒にチャレンジしていきたいです。

Technology Laboratoryで仕事に取り組むやりがいや魅力について教えてください。

山本
最先端をつくっていく領域ですので、ある意味、仕事のフォーマットが定まっていません。難しくもありますが、新しいアプローチを模索して道を開拓していけるチャレンジングな環境は魅力的だと思います。また、周りの方々も応援してくれますし、好奇心や探求心の強い方には特にオススメです。

吉田
アイデアを拾ってくれるし、「ダメ」と言われない。むしろ、「やってみなさい」と。困ったときも、誰に相談すべきかなどアイデアを昇華させていける前向きな環境が整っていると感じますね。そもそもPwC自体に連携や協力に対してインセンティブが与えられる仕組みが整っていますので、新たな領域にトライする上でとても心強いです。

紺谷
長期的な視点で物事を考えることができるのも、Technology Laboratoryの魅力ではないでしょうか。コンサルティング企業は一般的に、クライアントが考える未来をどうサポートするかという視点が基本になります。一方、ここでは未来を見据えた上で今必要なことを提言し、新たなイノベーションの種を育てることができます。ひいては、短期的なビジネス目線よりも、より大きな成果でクライアントを支援できるというやりがいがあります。

吉田
社会全体やクライアントもどう生かしたら良いか分からない先端技術について、業界をリードし、10~20年後の望ましい未来を自分たちが描いていけることはとても魅力的です。いわば、未来をつくるコンサルタントとしての実感が持てます。「コンサルティングは机上の空論」と言われることもありますが、Technology Laboratoryのオフィスは実証拠点にもなっています。先端技術を駆使した機材や設備も充実していて、実際に手触り感があるものを提供できるのも特長です。

Technology & Digital Consultingチーム シニアアソシエイト 山本

Technology & Digital Consultingチーム シニアアソシエイト 山本

Technology & Digital Consultingチーム マネージャー 吉田

Technology & Digital Consultingチーム マネージャー 吉田

女性だからこそ活躍できるテクノロジーの最先端領域

―Technology Laboratoryにはまだ女性メンバーが少ないと伺っています。今後、チームに合流したいと考える女性メンバーにお伝えしたいことはありますか。

吉田
私は先端技術の社会実装を進めていく上で、女性ならではの視点も非常に価値や需要が高いと考えています。フェムテックという言葉もメジャーになりつつありますが、技術に対して女性ならではの新たな切り口で、ぜひアプローチしていただけたらと思っています。女性だからこそ活躍できる場もたくさんあると思います。

山本
私の場合、過去に「官」「学」のカウンターパートの重役や役職者とコミュニケーションを取ることに苦労した経験があります。その際、チームメンバーがアプローチの相談に乗ってくれたり、アシストしてくれたりしことが今でも忘れられません。PwC、そしてTechnology Laboratoryには性別・年齢を問わず、互いにケアしながら支え合うカルチャーがあり、働き方や個々の状況に悩みがあれば、誰もが丁寧に寄り添ってくれる印象です。

齋藤
私も仕事上で性別を意識することは特にありませんが、ふとした時に気軽に語り合えたり、女性ならではの視点を共有できたりするメンバーが増えるとうれしいです。また、フェムテック関連など、女性を対象とするプロジェクトもありますので、専門性に加えて独自の目線を生かしていただきたいと思います。

――最後に読者にメッセージをお願いします

山本
Technology Laboratoryには未来をつくるという、ワクワクできる環境が整っています。また、未来を一緒につくりたい企業や関係者、応援してくれる方々などステークホルダーの皆さんとの距離も近しいチームです。しかも、その未来を絵に描いた餅で終わらせるのではなく、規制やビジネスの在り方などを踏まえ、先端知識や成功例をお持ちの方と一緒に議論し、プロジェクトとして前に進めています。働き方もフレキシブルで、自分たちにとって働きやすい環境を前向きにつくろうというカルチャーも醸成されています。今後、自分たちにはない新たな専門性や知見を持ったメンバーと出会い、一緒にTechnology Laboratoryの価値を高めていきたいです。

齋藤
日本の教育において、学生時代に社会やキャリアパスに対して情報を得る機会は多くないと感じています。私自身も、研究職の先にTechnology Laboratoryのようなキャリアがあると知りませんでした。しかし今では、先端技術と社会実装をブリッジする人材として活躍できることに充実感を感じています。私と同じように「研究が好きで専門性を生かしたいけど、アカデミアでのライフスタイルが自分に合っていないのでは」と感じる方も少なくないでしょう。そんな時、Technology Laboratoryを選択肢の1つとして考えて活躍の場を広げていただければうれしいです。

紺谷
日本は特に、まだまだセクターごとの壁が厚い国です。人材の流動性が低く、社会人になって学び直す制度もあまり整備されていません。私たちは産官学を俯瞰してそれぞれの良いところを引き出し、その壁を取り除いて相乗効果を高めることを目指しています。Technology Laboratory自体も、新たな人と交わることで進化することを求めていますし、私自身も自分にはない専門性や好奇心のある方々と刺激し合うことで、自らを高めていきたいです。

吉田
未来をつくるということは、すなわちその道の第一人者になるということだと思います。テクノロジーの専門性はもちろん、プロジェクトマネジメント力なども専門性の1つです。それぞれがさまざまな領域での専門性を活かしながら、失敗を恐れず楽しんで、駄目でもまた這い上がっていける人たちと一緒に、未来をつくり第一人者へと成長できる道を歩んでいけたらうれしいです。

本日はありがとうございました。