アドバイザーとしてDXを推進する意義とは?

コロナ禍において社会のあり方は一変し、これまで以上にデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が叫ばれるようになりました。しかし国内では、「デジタルツールを導入することがDX」との誤解もまだまだ多く、抜本的な事業プロセスやビジネスモデルの変革にまで踏み切れている企業は多くありません。本稿ではデータ分析やシステム開発などのスキルを生かし、DXの観点からクライアントの価値向上に寄与している4人のメンバーに話を聞きました。

R.I.
Infrastructure & Urban Renewalチーム。ドイツの建築設計事務所、国内コンサルティングファームなどを経てPwCアドバイザリーへ。官民問わず、スマートシティ分野にて街づくりや新規事業開発支援に従事。

H.O.
Valuation & Modelingチーム。国内でSIerを経験したのち、2019年にPwCアドバイザリーへ。データアナリストとして、主にPMIフェーズにあるクライアントの価値向上を目的とした提案を行っている。

K.M.
Valuation & Modelingチーム。メガバンクで法人営業、市場リスク管理などの業務に従事し、2019年にPwCアドバイザリーへ。現在は社内外に対してデータ活用を推進するサービスを提供。

A.A.
Forensic FTSチーム。海外の国家機関や日本のIT企業などで幅広い経験を積み、現在はPwCアドバイザリーでデジタルフォレンジック業務に従事。さまざまな企業の不正調査支援にあたる。

PwCアドバイザリーにおける、DXとの多様な関わり方

R.I.
私が担当しているスマートシティと呼ばれる領域には、大きく2つの業務があります。1つは、都市開発事業における戦略立案や新規事業開発などのビジネス支援。もう1つは、具体的な地域の将来のあり方をクライアントとともに考え、推進していく業務です。スマートシティという考え方そのものが「街づくりのDX」「エリアマネジメントのDX」などと呼ばれるように、街の運営方法をDXによって変えていこうという動きがある中で、官民問わずあらゆるクライアントに伴走し、実現に向けた支援を行っています。

H.O.
私はR.I.さんのように特定の領域に携わっているわけではなく、クライアントに対してどのようにバリューアップをしていくかという観点から、M&Aの統合プロセスにおけるデータ分析を主に担当しています。業界や業種を問わず、クライアントの戦略的な成長に寄与するためのデータを幅広く収集・分析し、改善策を提案しています。

K.M.
私もH.O.さんと同様、クライアントに対するデータ分析・提案が主な業務となりますが、同時にPwCアドバイザリー社内に向けて、データ活用を推進するためのサービス開発も担当しています。例えば、機械学習のロジックを用いてM&Aの買い手企業を予測したり、企業価値の算出を精緻化したりするような取り組みにも携わっています。

A.A.
私は3人とは違い、デジタルフォレンジックと呼ばれる業務を担当しています。PCやスマートフォンなどの電子機器に残った記録を収集・分析し、法的な証拠性を明らかにすることで、国内外における不正調査を支援する業務です。メディアに取り上げられるような大きな案件を担当することも多く、緊張感のある仕事ですが、弁護士をはじめとした外部の専門家と協力しながら案件を進められることにやりがいを感じます。

H.O.
K.M.さんと私は同じプロジェクトにアサインされることもありますが、R.I.さんのスマートシティ、A.A.さんのデジタルフォレンジックなど、一口にDXと言っても本当に多様な業務がありますよね。

K.M.
そうですね。PwCアドバイザリーは積極的に社内外でDXに取り組んでおり、さまざまな業務においてデータ活用を推進していこうという意識が高いように感じます。一方で、PwC Japanグループ全体ではDXへの目線はまだまだそろっていません。目線をそろえていくためには、DXについてのコミュニケーションが必要だと考えています。DXを目的化することなく、実際の業務でどのように活用すれば、クライアントに価値提供できるのか。もっともっと社内で議論していきたいです。

PwCアドバイザリーがDXに取り組む意義

R.I.
 2021年9月にデジタル庁が設置されたことからも分かるように、DXの重要性は官民問わずどの業界でも認識されつつあります。しかし、順風満帆に取り組めている企業は決して多くないのが現状です。

H.O.
マネジメント層の方々がDXを推進する必要性を感じつつも、事業レベルでどのような取り組みをしていくべきなのか、まだつかみきれてない企業は少なくないと感じますね。

R.I.
そういった状況で、PwCアドバイザリーはどのような価値を発揮できるのか。その答えの1つが、アドバイザリーとしての知見にデジタルの視点を掛け合わせることで、クライアントのビジネスモデルそのものを変革していくことだと考えています。

K.M.
そうですね。DXを推進すべきだと分かってはいても、これまでの慣習や制度を変えることには、誰しも少なからず抵抗があるものです。そういったことも加味しながら、アドバイザリーファームとしての知見を生かし、クライアントにとって価値あるアドバイスをしていくことが私たちの使命だと考えています。

H.O.
データアナリストの立場としては、経営者も現場の方々も同じようにデータを確認し、目線を合わせられる環境をつくることが何よりも大切です。それがあって初めて、どのようなデータを活用し、どのような課題に、どのようにアプローチしていくべきかという議論につながるのです。

A.A.
私が担当しているデジタルフォレンジックの領域では、本質的にはそもそも不正が起こらないことがベストであると考えているため、不正予防のための税務や法務など、幅広い知識を必要としています。しかし、クライアントが自社のケイパビリティだけで不正を防止する仕組みを構築するのは容易ではありません。そのため、PwCアドバイザリーが不正対策システムを構築し、クライアントに活用を提案することで不正を未然に防ぐという、DXによる新しい価値づくりにチャレンジしているのです。

それぞれが思い描く、DXの未来

R.I.
スマートシティの領域では、従来型の街づくりにデータ利活用の仕組みを実装することで、フィジカルとデジタル、リアルとバーチャルを融合させていこうという壮大な仕掛けづくりを進めています。持続可能な街の運用やデジタルに対する知見だけでなく、収益化の仕組みだったり、官民の役割分担だったり、多岐にわたる議論が必要になってくるため、海外においてもまだまだ成功事例は多くはありません。そのような状況であるからこそ、当社がプロジェクトの指揮者的な立場を担い、さまざまな専門家と協調しながら、日本独自の事例をつくっていきたいです。

A.A.
私たちはクライアントのデータを扱う立場である以上、サイバーセキュリティにも高い意識を持つ必要があります。海外に比べると、日本はまだまだサイバーセキュリティへの関心が低く、「うちは大丈夫だろう」と漠然と考えている人が多いと感じます。そういった人も当事者意識を持てるよう、積極的にセミナーやイベントなどを開催していきたいです。

K.M.
グローバルの連携はますます重要になります。PwCのグローバルネットワークが持つ海外事例の中には、日本では見られないような最先端のテクノロジーを活用したものもあります。そういった事例を素早くキャッチできるのもPwCアドバイザリーの強みなので、クライアントにもより多様な可能性・選択肢を提案し続けたいですね。

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