PwC's Alumni #1

誰もがAIを自由に活用する未来に向けて
「AIの民主化」を掲げるベンチャーを起業

PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)でキャリアを積んだ後、新たな道を切り拓いて活躍している卒業生がたくさんいます。どのようなスキルや経験が、その後の仕事に生かされているのでしょうか。株式会社aiforce solutions(以下、aiforce solutions)のCEOとして活躍する西川智章氏は、PwCコンサルティングで事業の立ち上げやデータアナリティクスに携わった後、それらの経験を生かして起業しました。卒業生という外部からの視点で、PwCコンサルティングの特徴やキャリアの考え方について語ってもらいました。
 
※所属、役職およびインタビュー内容は掲載当時のものです。

西川 智章 氏
株式会社aiforce solutions CEO
東北大学 データ駆動科学 AI教育研究センター 特任准教授(客員)

起業の経緯

コンサルティング業務を通して感じた課題意識が、起業につながった

私がCEOを務めるaiforce solutionsは、日常生活において誰もがAI(人工知能)を自由に活用できる未来の実現を目指す、AIの普及と教育を軸としたサービスを提供するベンチャー企業です。2018年の起業以来、専門知識やスキルがなくてもAIモデルを構築できるツールや、AIを現場で生かせるようにするための教育サービスを展開してきました。

私は新卒でITベンダーに入社し、エンジニアとして10年ほど勤めた経験があります。PwCコンサルティングに転職してからはインダストリー部門で幅広い領域のプロジェクトを担当。コンサルティングスキルを習得した後はテクノロジー部門に移り、企業のデータ活用やAI導入などを支援しました。そうした業務を通じて課題に感じたのが、AIを活用する土壌が不足しているということ。AIを使いこなせるのは専門家だけで、導入には莫大なコストがかかります。日本のビジネスにおける生産性を向上させるため、資金が潤沢にある大企業だけではなく、そうではない中小企業でもAIを使える環境を整えたいという思いが膨らみました。

また、PwCコンサルティング在籍中に中国の企業と連携する機会があったのですが、その際に中国では高校でAIを学ぶカリキュラムがあることを知り、AIを専門とする人材の質と量が日本と圧倒的に異なっていることに驚きました。

人口の減少が続く日本が世界を相手に戦うためには、AIを活用できる人材を育成していく必要があるのではないか。そういった思いで、「AIの民主化」をビジョンに掲げるaiforce solutionsの起業を決意したのです。

印象的だったPwCでの経験

新サービスの立ち上げ、AIとの出合い。PwCコンサルティングでのかけがえのない経験

コンサルティング業界に興味を持ったのは、エンジニアとして働く中で沸き上がった課題感からです。クライアントのニーズをシステムに落とし込むには、ビジネスの専門家とITの専門家が、お互いの領域に対する理解を深めるところから始まります。そのためにはクリアなロジックとフレームワークによる橋渡しが必要であり、そのスキルを伸ばすためにはコンサルティング業務に携わることが最適だと考えていました。

複数のコンサルティング会社を見ていく中で、面接でお会いしたPwCコンサルティングの方々のクリアな思考や話し方、人間的な魅力に引かれ入社を決意しました。

PwCコンサルティングの組織はインダストリーとソリューションに大きく分かれていますが、私は途中で部門異動を行ったため、両方の視点で起業につながる成長経験を得ることができました。

インダストリー側のチームでは、統合型リゾート(カジノを含む複合観光集客施設)事業向けのコンサルティングサービスの開発に携わりました。これまで日本にはなかった新しいマーケットの立ち上げであり、一から調査する必要がありました。そのために、業界関係者や顧客、有識者へのヒアリングのほか、海外のPwCネットワークとのディスカッションを何度も実施。最適なコンサルティングサービスを導き出し、クライアントに提案するというサイクルを納得できるまで繰り返しました。新しい事業を立ち上げるという感覚を、自分の経験として積むことができたプロジェクトでした。

また、テクノロジー側の業務では、アナリティクスチームの立ち上げに参画し、起業へのイメージをより深めることができました。ちょうどビッグデータというワードが浸透し始めた頃です。データや技術をどのように業務に活用していくべきか、関係各所にリサーチし、ブラッシュアップする中で、今のAIにつながる領域の重要性を強く感じました。自分が良いと思った提案であっても、クライアントからの評価はまちまちだったのですが、それもクライアントのニーズに合う事業をつくる上で、とてもよい実践の場となりました。

 

起業家として必要なこと

最前線で経験を積み重ねて得られた、成長と自信。社会課題に対する明確なビジョン

親族に起業家がいたことから、小学生の頃からおぼろげながら「自分も何かしらの事業で起業したい」と考えていました。ただし物理的に起業することは簡単でも、その後、会社を成長させていくことは難しいものです。

私は起業するにあたって、成功するには3つの要素が必須だと考えました。それは、特定の領域で人から圧倒的な信頼を得ることができる専門性、実績に裏打ちされた自信、その領域のビジネスとしてのポテンシャルです。そのためには「クライアントからの信頼を自分自身でも実感できる」という状態になる必要があるのだと考え、それを目標に各プロジェクトに挑んでいました。

私がその状態を実感できたのは、AIという概念がなかった時代からデータ活用の可能性を模索し、新サービスの立ち上げまでを身をもって体験できたからこそです。起業前に短期的にAIベンチャーに勤めたことも、ビジネスとしての可能性を確信するのに役立ちました。

また、人脈や資金を集めるためには、従業員、投資家、協業先などに共感してもらえるビジョンが重要です。私の場合、データ活用のコンサルティングを通してとにかく場数を踏み、全体像を俯瞰できるようになったため、社会課題とのつながりを実感が伴う形でビジョンとして明確化できるようになりました。

もちろん自分の成長のためには、PwCコンサルティングで培った、イシュードリブンな思考方法も重要だったと感じています。イシューとは「今、話すべき論点」のことで、目的に対して全体の中でフォーカスすべきことを明確化し、解決策を検討する思考方法になります。これはコンサルタントとして不可欠なスキルですが、さまざまな意思決定が必要となる会社の起業・運営にも大いに役立ちました。

一方で、起業に際して新しいチャレンジもありました。一番はリソース面での制約、不安定さへの対応です。この肌感覚はベンチャーの現場でしか養うことができないと思います。

外から見たPwC

PwCコンサルティングならではの、ブランド力と自由なカルチャー

PwCコンサルティングを卒業して実感したのは、そのブランド力の大きさです。PwC出身であることと、そこでのプロジェクト実績は、起業後も周囲からの信頼を得る大事な要素であったと思います。また、卒業生が幅広い分野で活躍しているため、協業先でも多くのPwC出身者とつながることができました。全体的にモチベーションが高く、人間的にも魅力のある人が多いのですが、私は特に当時のメンターに助けられました。厳しさと優しさの両面があり、常に成長のためのアドバイスをもらえる環境は、かけがえのないものでした。

また、各自の自由な考え方を評価するのも、PwCコンサルティングならではの大切なカルチャーです。その裏側には、PwCの看板を背負うことで常に結果が求められるという重責も伴いますが、若手のうちから経営層を相手に提案するような経験は、他の企業ではなかなかできません。果敢にチャレンジして、胆力を鍛えてほしいと思います。

今後の展望

「AIの民主化」を進めるために。今後の展望と、就活生へのメッセージ

私が思い描く「AIの民主化」とは、AIが生活の中に当たり前にあるものとして存在する状態です。AIの“部品”をプラモデルのように組み立てて、例えば「ペットの体調に合わせてペットフードを選択し、最適な分量を特定時間に配分するロボット」や「人間の言葉で操縦できるドローン」などを自分で作ることのできる未来を目指しています。

AIを動かしているのは全て、これまでに蓄積したデータです。今後、日常生活からさまざまなもののデータ化が進み、新たなデバイスも生まれていくでしょう。それらを使いこなすためにもAI人材の育成は必須であり、国家戦略として文部科学省の指針にも挙げられています。

最先端技術は日々進化し、今や人々の生活を根底から変えるようなインパクトを及ぼすようになりました。就職活動中の皆さんにも、こういった新しい技術に興味を持ってもらいたいですね。同時に、このような技術を活用しながら社会課題の解決にあたる現場のコンサルタントに積極的に話を聞いて、理解を深めてほしいと願っています。

西川 智章 氏
株式会社aiforce solutions CEO
東北大学 データ駆動科学 AI教育研究センター 特任准教授(客員)

PwCコンサルティングやAIベンチャーにて主に日本ならびに東南アジア地域の金融、製造、農業インダストリー向けにAIビジネスコンサルティングやビックデータ解析サービス、先端技術を活用したビジネスモデルの構想・計画策定などを支援。これまで、事業会社などにて中国事業の立ち上げ、ビッグデータ事業部の立ち上げ、AI事業の立ち上げなどに従事。米国公認会計士(ワシントン州)、人工知能イニシアティブ会員、データサイエンティスト協会会員。日本語・中国語・英語のトリリンガル。

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