<インタビュー>
中島 朋子 氏 UNICEF教育コンサルタント
杉本 匡章 氏 MAP U株式会社 代表取締役
※所属、役職およびインタビュー内容は掲載当時のものです。
中島 氏
私たちはともに、2011年にPwCコンサルティングに新卒入社した同期です。新卒研修を受けた後、同じ金融部門に配属されました。
私はそこで基礎的なコンサルティングスキルを学び、関心のあった新興国支援のプロジェクトに従事。入社後、丸4年が経ったタイミングで外務省の職員派遣プログラムを通してUNICEFに転職し、フィリピン事務所で教育と平和構築担当官(UNV)を2年務め、ウガンダ事務所でも2年間、教育担当官として主に難民の教育支援に従事しました。その後、結婚を機に帰国し、現在は主にUNICEFや世界銀行などの国際機関のコンサルタントとして、途上国の教育計画の策定や教育セクター分析の支援をしています。
杉本 氏
私はPwCコンサルティングに3年弱在籍した後、同業他社に転職しました。その後、2016年に独立し、主に戦略人事領域や組織・人材開発のコンサルティング業務に従事しています。現在はコンサルティングをするかたわら、自分が設立した会社を含めて4つの会社で取締役を務めています。中島さんはどういった経緯でPwCコンサルティングに入社し、UNICEFへ転職されたのでしょうか。
杉本 匡章 氏
MAP U株式会社 代表取締役
中島 朋子 氏
UNICEF教育コンサルタント
中島 氏
私はUNICEFの仕事に小学生のころから憧れをもっていました。幼少期の6年間を米国で過ごし、英語を使った仕事、また子どもに関する仕事をしたいと考えていました。大学、大学院では国際比較教育学を専攻し、在学中に1年間の英国留学も経験しました。その時に参加した就職フェアでPwCのブースが圧倒的な盛況であったのを見て驚きました。PwCは英国で国連の仕事を数多く手がけており、将来的に国際機関の仕事に携われるのではないかと思い、PwCコンサルティングに入社しました。
杉本 氏
私がPwCコンサルティングを意識したのも大学時代です。当時の私は文学を専攻し、純文学の作家になることを夢見ていました。しかし、とあるシンポジウムで純文学の市場規模と展望を知り、市場衰退への危機感からビジネスに興味を持つようになったんです。文学一筋だったところから視野を広げてみると、業界を発展させたり、人々の精神的な豊かさを創造したりする道は作家だけでないと気付き、まずは人々の営みの基盤を支えるビジネスのプロになりたいと考えました。
PwCコンサルティングに入社したのは、社員の方との面談が決め手です。コンサルティング業界は華やかなイメージがありますが、その方は「地味で泥臭い仕事が多く、自分の最初の仕事も資料をきれいに整えることだった。でも、こうした仕事でも細部まで妥協せずにやり遂げることで価値を生み出すんだ」と話されたんです。私自身、小説を執筆するときには「神は細部に宿る」という考えを重視しており、そのこだわりにとても共感したんですよね。
中島 氏
入社後すぐ、新卒研修で衝撃を受けました。現場のコンサルタントの講義やケースワークが刺激的で、熱意のある指導に愛を感じました。また、杉本さんの妥協しない姿勢は、入社時から印象に残っています。向上心も人一倍で、研修中にも「これ、面白い!」と思ったことを周りにどんどん発信するリーダー的な存在で、他の人を巻き込みながら皆で成長しようという姿勢にとても刺激を受けました。他の同期も含めて、相互にフィードバックし合った時間も、とても学びが多いものでした。
杉本 氏
中島さんのイメージは、海外組のエリートでした。英語が流暢だし、物事を論理的に突き詰めていくタイプで、徹底的に議論するのがとても楽しかったんですよね。お互い議論をあきらめなかったから、突き詰めて考えて学び合うことができました。同期たちと一緒に切磋琢磨できることをうれしく思っていました。研修でこんなに成長できるんだというのも印象的で、この同期たちと研修を受けただけでPwCコンサルティングに入った価値があったなと思いました。その後に私自身が研修の企画や講師を多く務めるきっかけともなっています。
中島 氏
研修後は2人とも金融部門に配属になり、金融機関の統合支援やコスト削減、システム更改などのプロジェクトに携わりました。そこで身につけた汎用的なコミュニケーションスキルやプロジェクトマネジメントの手法は、その後のキャリアでも非常に役立つものでした。例えば、途上国の教育計画を策定するための調査・分析、課題の洗い出しや解決策の検討、予算獲得のための提案書の作成や交渉。そうした業務にはコンサルティングと同じようなプロセスや考え方が適用できます。
世界中からプロフェッショナルが集結する国際機関では、スキルがあることが前提とされ、その中で仕事を獲得していく必要があります。能動的に仕事を進める姿勢も、PwCコンサルティングでの経験で培ったものです。
杉本 氏
私が特に印象に残っているのは、初めて携わったERP(基幹システム)導入プロジェクトです。新人ながらも1人のコンサルタントとして、課題抽出から提案まで一連の流れを体験することができました。提案資料の作成においては、「書体、配置、配色などはもちろん、句読点に至るまで全ての要素に意味をもたせること」に徹底してこだわる姿勢を学びましたね。クライアントの期待を超える提案内容が価値を生み出しますが、その価値を届けるために細部に至るまで品質にこだわり抜く習慣が身につき、それがクライアントからの信頼につながり、現在の私のキャリアを支えてくれています。
中島 氏
転職して改めて感じたのは、PwCコンサルティングは人間的な魅力にあふれ、チャンスを求めれば与えてくれる組織だということです。
杉本 氏
手を挙げればチャンスがあるというのは、その通りですね。私もプロジェクト業務とは別に、会社の採用プログラムづくりに手を挙げて得た体験が、現在のキャリア教育に関する事業に生かされています。採用に関わること自体も面白かったのですが、まだキャリアの浅かった私に仕事を任せてくれ、自発的な取り組みを尊重する組織風土が個人の成長を促進するんだと感じました。
中島 氏
私は金融系のプロジェクトを担当している際も、自分のやりたいプロジェクトにアサインしてもらうためのアピールするように努めました。例えば、新興国支援チームのメンバーになるために、オフィス内で担当パートナーを待ち伏せて直接掛け合いました。また、自分宛ではないメールにも全て目を通し、気になる会議があったら最初から呼ばれていなくても参加できるよう、交渉していました。
杉本 氏
実は私も、パートナーに直接掛け合ったことがあります。入社当時から、戦略チーム(現Strategy&)への配属を希望しており、新卒研修中にエレベーターで乗り合わせた担当パートナーに30秒間のプレゼンをしたんです。その時は配属が叶わなかったのですが、真剣に気持ちを受け止めて検討してくださったと伝え聞いています。
自発的な行動が求められるというのは厳しい世界に聞こえるかもしれませんが、転職してから新卒入社の自分がいかに会社に守られていたかも感じました。育成目線で厳しくも温かいフィードバックを根気強く頂いたこと。大きなミスをしても成長材料として前向きに支援してくれたこと。新卒を育てる風土や体制が整っているからこそ、自由にチャレンジすることができたんだと思います。
中島 氏
私は新興国支援チームにアサインしてもらい、1年間、中南米やアジア地域の調査案件事業に携わったのですが、その中でおよそ1カ月間、中南米4カ国に出張する機会に恵まれました。アポ取りから移動の手配に始まり、出張中は主にインタビューと議事録作成を担当。自分で希望したものの、膨大な仕事量に毎日寝不足で正直つらかった部分もありましたが、この経験を通して途上国の現実を肌身で感じることができ、以前から憧れていた「途上国の子どもたちの教育支援にチャレンジしてみよう」と決意が固まりました。
ただし、転職時は不安もありました。そもそもUNICEFへの就職は難易度が高く、世界中から応募が殺到する高倍率のポストです。また、国際機関は正社員でも期限付きの雇用で、契約が終わったら基本的には無職になるんです。生活面や安全面、心配する家族の存在やお給料など、あきらめる理由はいくらでもありました。それでも私は、「ここで挑戦しなかったら将来絶対に後悔してしまう」と思い、思い切って飛び込みました。
杉本 氏
私は経営者だった父の影響もあって、入社時には「35歳までに起業しよう」と考えるようになっていました。ただ、それ以前は作家を目指しており、大学には中退期間も含めて10年間在籍していたため、PwCコンサルティングに入社したのが28歳。人より3倍のスピードで成長しなければという意識があり、さらなる成長機会を求めて入社3年目で別のコンサルティングファームに転職しました。
転職後はスキルや結果ありきで評価される厳しい環境でしたが、それまでの経験値を試せる場でもありました。2つのコンサルティングファーム勤務を通して社会的インパクトの大きいプロジェクトを多く担当し、一つひとつが知識や経験として実になっている感触を得ることができました。一方で、周囲に起業した友人も増えたことから、大企業だけでなく、彼らの会社を含む中小企業やベンチャー企業なども支援したいという気持ちが芽生え、起業を考えるようになりました。ちょうど私のいた金融部門でも、フィンテック市場の成長からデジタル分野の組織・人材開発が盛んになり、人事領域のコンサルティングに携わる機会が増えたため、戦略人事領域を専門的にやりたいという思いが募ったことも起業を後押ししました。
中島 氏
私はPwCコンサルティングがすごく好きだったので、転職するときはかなり迷いましたが、「これからの人生は、子どもたちの教育のために使おう」と決意をして退職しました。途上国ではエビデンス(根拠)に基づいた教育計画や政策を策定するために外部の専門家の助けを必要とする場合があります。大前提として国づくりはその国の人が担うべきだと信じていますが、私は助けを必要とする国の人たちの、最高の伴走者でありたいと思っています。そのために今後も必要とされるスキルを磨いていきたいです。
杉本 氏
最初のキャリアとしてPwCコンサルティングを選んだことは、私のキャリアで最も幸運なことの一つです。自発的な取り組みを尊重することが個人と組織の可能性を広げること。仲間と学び合う組織風土が個人の成長を促すこと。細部の品質への徹底的なこだわりが価値を届けること。私がPwCコンサルティングで学んだことはたくさんありますが、その全てが今の私のキャリアを構築しており、現在提供している組織・人材開発のコンサルティングサービスにつながっています。
PwCコンサルティングを含め、これまでご縁を頂いてきた仕事仲間やクライアントの皆さまに自分を育てて頂いたという思いが強いので、引き続き皆さまと学び合いながら、それを今度は若手に、そして社会に還元していきたいと考えています。最近、人間同士がうまくやっていけるのは当たり前という気もしているので、今後は人間と自然環境がうまくやっていけるように支援する活動もやっていきたいです。
中島 氏
最後に。就活生の皆さんは、将来の道を選択するにあたり、迷われることが多いと思います。選択の方法は人それぞれだと思いますが、私は迷ったら大変そうな道を選んだらいいのではないかと思います。その方が成長のチャンスが広がるし、逃げずに立ち向かったという自信にもつながりますから。
また、社会課題に関心を持つ方からよく質問を受けますが、「誰かの役に立ちたい」という思いを大切にしながら、その先に一歩進んで、「その誰かのために何がしたいのか」というところまで落とし込むことが大事だと考えています。PwCコンサルティングでは、それを考える機会と、したいと思ったことを実行できる力の基礎を得られたと思っています。
杉本 氏
コンサルティング業務では、苦しさや悔しさを味わうときもあります。でも、PwCコンサルティングには、そんなときにも励まし、気持ちを奮い立たせてくれる先輩や同期がいます。支え合える先輩や同期は一生の宝。大切にしてほしいと思います。
中島 朋子 氏(#businessconsultant)
UNICEF教育コンサルタント
大学院修了後、プライスウォーターハウスクーパースに新卒で入社。日本企業の海外進出支援や、経済産業省、外務省などの政府機関の海外調査案件の業務に従事。2015年から外務省の平和構築人材育成事業の一環として、UNICEFフィリピン事務所に派遣。紛争の影響下での子どもたちの教育支援を行う。その後、外務省の国連職員への派遣事業採用試験に合格、2017年からUNICEFウガンダ事務所にて、南スーダン難民への教育支援や、教育政策策定支援を担当。2019年に帰国後も、青森を拠点として、世界銀行やUNICEFのコンサルタントとして、中所得国・途上国の教育計画策定や資金調達の支援を行っている。
杉本 匡章 氏(#businessconsultant)
MAP U株式会社 代表取締役
経営コンサルタント
大学卒業後、プライスウォーターハウスクーパースに新卒で入社。別の外資系コンサルティング会社での経験も含め、幅広いコンサルティング領域に従事。特に経営戦略、組織改革、人材開発に強みを持つ。現在はMAP U株式会社 代表取締役として、一人ひとりが自律して才能に輝く組織作りを目指し、企業の戦略人事領域のコンサルティング、マネジメント層および新規事業開発部門向けの教育研修、起業家支援、コーチング、キャリア教育などに従事。自社を自律分散型の経営システム(ホラクラシー)で運営しながら、日本流の進化型組織を探求。複数の事業会社の経営にも携わる。
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