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※法人名・役職などは掲載当時のものです。
「社会を変える」と聞いたら、途方もない話に感じるだろうか。その道筋は、イメージできるだろうか。PwC Japanグループの「サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス(サステナビリティCoE)」に所属するサステナビリティ・ストラテジストは、そこにChange Makerとしての使命感を湧き立たせている。サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)という「ジャーニー(終わらない旅)」のなかで生まれる到達感とは、どのようなものか聞いた。
世界152カ国に拡がるPwCのグローバルネットワークは、「Build trust in society and solve important problems(社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する)」というパーパスを掲げている。いま、世界に数ある課題のなかでもより重要とされ、緊急かつ長期的対応を求められているのが、「サステナビリティ」だ。
2020年、PwC Japanグループは「サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス(サステナビリティCoE)」というチームを立ち上げている。14年から日本の企業に向けて長期的なサステナビリティ戦略策定を行ってきたPwC Japanグループが各法人を横断して課題解決にさらに強くコミットし、そのケイパビリティを最大化するためのハブ組織だ。
このチームは、SX推進の専門家集団であるPwCサステナビリティ合同会社のメンバーを中心に編成されている。上田航大とオルガ チューニナもサステナビリティCoEの一員だ。
上田航大(以下、上田):私は政治哲学を専攻し、社会や経済がどうあるべきかということについて深く考えていた大学時代に、PwCサステナビリティ合同会社でインターンとして働き、この会社を知りました。その際に「これからは、『サステナビリティ』が社会と経済のあり方を規定していく思想になる」と確信したのが入社の動機です。サステナビリティとは、環境や社会とビジネスの関係性を考えていくこと。いま、哲学で培ってきた思考力が生かされていると感じています。
オルガ チューニナ(以下、チューニナ):私はロシアから日本の大学院に留学し、環境政策を軸にしながらサステナビリティの問題について学んできました。サステナビリティについて考えるとき、企業活動がもたらす影響を除外することはできません。実は、私も上田とほとんど同じ時期に、PwCサステナビリティ合同会社でインターンとして働いています。その際に「研究対象として日本の企業を観察するのではなく、コンサルタントとしてかかわることで企業と社会を変えていきたい」と決意しました。
ふたりが所属しているPwCサステナビリティ合同会社のカルチャーについて、本人たちはどのように実感しているのだろうか。
チューニナ:会社に限らず、「日本の組織は上下関係が厳しい」というイメージがありましたが、PwCサステナビリティ合同会社で日々交わされているコミュニケーションは、とてもフラットでした。私も入社後にチームの一員として温かく迎え入れてもらえたのを覚えています。「とても働きやすい場所」というのが最初の印象でした。それは、いまでも変わりません。
上田:同時に、新卒1年目であっても、言うべきことはきちんと言わなければいけません。自分の意見を表明できなければ、価値を生み出していけないからです。そうした自覚があれば、いろいろなことにチャレンジできる、チャレンジさせてもらえる環境があります。私は、新卒1年目にかつて上司がかけてくれた「こけてもいいから前のめりにいろいろとチャレンジしてごらん。責任は取る。それが、あなたの引き出しを増やすことにつながるから」という言葉をいまでも大切にしています。
上田航大 PwCサステナビリティ合同会社/PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス サステナビリティ・ストラテジスト
いま、ふたりはサステナビリティCoEで「サステナビリティ・ストラテジスト」として働いている。職務を遂行するなかで抱えている課題感・使命感とは、どのようなものか聞いてみた。
上田:日本の社会全体の価値観を変えていく。企業のSXを支援することで、企業を変えて、市場を変えて、社会を変えていきたい。私は、そのような使命感のもと働いています。私の「前のめりなチャレンジ」は伝播するものだと信じているのです。最初は懐疑的ですらあった経営者が、プロジェクトの終盤には前のめりな姿勢でサステナビリティ経営に取り組んでくださる。そうした光景に出会い、価値観が変わっていく場面に立ち会えたと感じるとき、私は自分の仕事に大きなやりがいを見出しています。
チューニナ:私は大学院時代のフィールド調査で有機農業の生産者にインタビューしたことがあります。そのときに「日本の消費者は有機農業に対する関心が低い。有機農業の素晴らしさ、その裏にある大変さをわかってもらえていない」という悩みがあると知りました。これは食品に限らないことです。そのような消費者の意識を変えるためには、企業の取り組みが必要です。サステナブルな手法でつくられた商品を手に取りやすくする仕組みづくりなど、自分たちにできることを進めていかなければなりません。企業が戦略を変えてサステナビリティを事業に落とし込んでいくなかで、私は状況を変えていきたいと考えています。
上田:誰かが変わらなければ、日本は変わっていきません。企業は「自分たちが市場を変えていく」という強い意識をもって、サステナビリティを価値に、機会に変えていく必要があると考えています。サステナブルであることが価値として認められる市場に変えて、社会をよくしながら、自らも利益を得る。そのような企業を日本に増やしていくために私たちは働いています。
オルガ チューニナ PwCサステナビリティ合同会社/PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス サステナビリティ・ストラテジスト
サステナビリティCoEは、チームとして「SXを通じて、新しい価値をスケールをもって生み出し、ビジネスや社会のChange Makerになる」というミッションを掲げている。この文言は上意下達ではなく、チームにおける議論から生まれた成果物だ。いま、このミッションは単なるステートメント(声明)ではなく、アティテュード(態度)やアクション(行動)としてチームに根づいている。
また、サステナビリティCoEは上記のミッションを果たしていくために、「Be」で始まる5つの行動規範も掲げている。
Be idealistic 夢を見よう。仲間と一緒に未来を描こう。
Be brave and strategic チャレンジをしよう。大胆に、でもちゃんと頭を使おう。
Be professional プロフェッショナルとして価値を生み出そう。
Be tenacious 変化が起こるその日まで、諦めずにやり続けよう。
Be collective 多様な才能と連帯し、1人ではできない変化を起こそう。
ふたりは、これらの行動規範についてはどのような想いを抱いているのだろうか。普段から自身が特に留意している「Be」について、その想いを語ってもらった。
上田:私は、「Be professional」を挙げたいと思います。私たちは、常にプロフェッショナルとして価値を生み出し続けられるかどうかを問われています。そうしたなかで働く楽しさとしては、ふたつ挙げられると感じています。ひとつは、自分たちが提供するものが「企業から期待されている価値に届くのだろうか」という緊張感です。もうひとつは、「企業の当初の期待値を超えていけた」という到達感です。私たちがコンサルタントという立場で「Change Maker」になるためには、”Professional”としてこの緊張感と到達感を繰り返していくことが必要なのだと思います。
チューニナ:私が挙げたいのは「Be collective」です。サステナビリティ経営で取り扱う領域は幅広く、かつ動きが速いために、日々のキャッチアップが大変な側面もあります。そうしたなか、さまざまなバックグラウンドをもったプロフェッショナルであるサステナビリティCoEのメンバーが、それぞれの強みを生かすことでクライアントに対して価値のあるソリューションを提供できています。
上田:私は、入社したばかりの時期にチームのリード・パートナーである磯貝から言われた言葉を忘れていません。それは「私は、(新入社員の)皆さんがPwCという組織に貢献することを期待しています。しかし、それだけではありません。自分自身の人生におけるミッションやウェルビーイングのために、PwCという場を生かしてください」というものです。自身のミッションと組織のミッションを重ね合わせ、自身のミッションを起点にしながら組織としてのゴールに向かっていく。いま、そういう働き方ができていることにも喜びを感じています。
チューニナ:月に1回、私たちはクライアント業務を離れてチームミーティングを行っています。そこではチームのミッションなど全体の方針についての議論を重ねる以外にも、「なぜ、自分はこの仕事を選んだのか」や「個人として目指している未来像」といったパーソナルな想いを語り合う機会があります。他のメンバーの話を聞いていると毎回のように新しい発見があり、仕事に対するモチベーションを高め続けることにもつながっています。
上の言葉からは、サステナビリティCoEがメンバーの働き方を尊重する姿が浮かび上がってくる。
SXへの注目度が高まり続けているいま、サステナビリティ・ストラテジストに必要とされている資質や能力とは、どのようなものだと考えているのだろうか。あるいは、ふたりが共に働きたいと考えるサステナビリティ・ストラテジスト像とは、どのようなものになるのだろうか。
上田:私たちに必要とされている資質や能力は、自身の資質や能力におごらないことだと思いますね。いまある資質や能力は、生まれ落ちた家庭環境や、偶然に出会ってきた人たちによって育まれたところが大きいと、私は考えています。そうした恵みを認知し、感謝したうえで、自分に与えられたものをどのように生かしていくのかと真摯に考えられる人でありたいと思うのです。これはサステナビリティの基本思想ではないかと思っています。そのような意識をもてば、自分が生み出す価値の方向性をしっかりと見出したうえで、自分に対するフィードバックもニュートラルに吸収しながら、よりしなやかに成長していけるのではないでしょうか。
チューニナ:一緒に働いていきたい仲間として、3つの特質を挙げたいと思います。ひとつめは、「好奇心があり、変化に敏感で、新しいことを学ぶのが好きな人」。そういう人であれば、絶対的な正解がない問いと向き合い続けながら、楽しく働くことができます。ふたつめには、「ユニークなバックグラウンドをもっている人」。クライアントとは人的資本などの観点からダイバーシティやインクルージョンについて話をする機会があります。私たち自身が多様性や包摂性のあるチームでなければ、私たちの言葉は空虚なものになるでしょう。そして、「サステナビリティというテーマを通じて世界をよりよくしたいとの想いを抱いている人」です。あえて最後に挙げましたが、この想いこそが私たちのチームを結束させて、クライアントとの絆を深める力にもなります。
上田:私たちは、チームが掲げるミッションをみんなでつくりました。同じように、これから先は多様なメンバーのそれぞれが目指している未来を重ね合わせながら、理想とする未来像をみんなでどんどん進化させていけたらと考えています。いままでの私たちでは描けなかったような未来が、新しいメンバーの参画によって生み出されていくことにも期待しています。
チューニナ:時代の流れを先読みしながら、目指す未来像を新しくしていけるのが、この仕事の醍醐味ではないかと考えています。現実的には、ひとつの課題が解決したとしても、また新しい課題が現れるなど、終わらない旅を続けているような感覚もあります。
上田:確かに、サステナビリティの先進企業にインタビューすると、皆さんが同じことを言われますね。「サステナビリティはジャーニーだ」ということです。先進的な企業が野心的な目標を掲げられるのは、そう簡単には終わらない旅だという認識・信念・覚悟があるからです。
目標を高く掲げる者ほど、遠くまで行ける━━。ひとりではなく共創する者ほど、遥かに遠くまで行ける━━。サステナビリティCoEに所属するサステナビリティ・ストラテジストの旅は、これからも続いていく。