自動車販売のDX支援

自動車・モビリティ産業のバリューチェーン全体で、デジタル化が進んでいます。開発・生産などの川上バリューチェーンでは自動運転開発やコネクテッド開発、工場IoTなどが進み、販売・利用などの川下バリューチェーンではEC(eコマース)販売や運転データを基に保険料を算定するテレマティクス保険、ドライバーと顧客をマッチングする配車サービスなどが拡大しています。

上記のようなデジタル化を実現するために、自動車・モビリティ産業の主要プレーヤーは川下領域で顧客・車両・市場データ利活用/サービス基盤提供やD2C(Direct to Consumer)化を加速させています。D2C化はEC展開をきっかけに各自動車メーカーが強化しつつあり、自動車販売において避けては通れない取り組みとなってきています。また、データの利活用も不可欠です。顧客・車両データは、新車購入やアフターメンテナンスにおけるCX(カスタマーエクスペリエンス)・EX(エンプロイーエクスペリエンス)向上に活用されています。市場データは取引データなどに基づく中古車のAI価格設定に利用可能です。

川下バリューチェーンにおける戦略とPwCのソリューション

PwCは自社データや外部データを活用したビジネスプラットフォームをもとに、ディーラーの既存ビジネスの顧客体験最適化、店舗業務効率化、中古車下取り・販売価格適正化、および新しいビジネススキームであるD2Cの実現にむけた新車/中古車EC展開、シェアド整備工場運営などを支援します。

川下バリューチェーンにおける 戦略とPwCのソリューション

CDP(統合顧客データ基盤)構築

顧客データは、オンライン販売やO2Oなど既存ビジネスにおける顧客体験の最適化に寄与するだけでなく、モビリティ新事業などを検討する上で、最も重要な競争資源となってきています。しかし、国内では全ての顧客データが統合的に保持・管理しきれなかったり、販売会社への情報連携機能はあっても利活用できる状態に整理されていなかったりするケースが散見され、CDP(統合顧客データ基盤)の構築は多くの企業にとっての経営課題となっています。

CDP構築による 既存バリューチェーン最適化
ビジネス プラットフォーム

PwCはCDPにデータを集約し、データ分析・デジタルツールにより顧客体験(カスタマーエクスペリエンス:CX)の最適化を支援します。これら全体をプラットフォーム化することにより、地域を横断した展開も可能となります。

CDP活用例

O2O(Online to Offline)

見込み顧客をオンラインからディーラーに送客することで、既存顧客への早期アタックと新規顧客とのシームレスな会話が可能になります。OEMとディーラーのデータを単に統合するに留まらず、顧客行動を詳細に分析し、有用な情報をディーラーへ連携することが肝要です。

CDP活用例1:O2O(Online to Offline)

顧客パイプライン管理ダッシュボード

エンドツーエンドで顧客行動を把握することで、ディーラーはデータに基づいて顧客体験における課題を特定し、改善へとつなげることができます。

CDP活用例2:顧客パイプライン管理ダッシュボード

アフターセールスのDX

アフターセールスにおいては、「さらなる利益拡大」「デジタル顧客体験提供によるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上」「整備士業務の効率化」が求められています。

アフターセールスDX
自動車アフターセールスDXのソリューションマップ

PwCは「自動車アフターセールスDXのソリューションマップ」を策定しています。これは、より便利で快適な「顧客体験」、顧客体験を実現するための「販売会社オペレーション」、全てのデジタルトランスフォーメーション(DX)の土台となる「データ管理・活用」の3つのレイヤーで構成されます。各レイヤーは相互に連携するため、全体感を持って進めることが肝要です。

自動車のアフターセールスにおけるDXを進めるうえで、最初の一手として最適なソリューションは、売上拡大と業務効率化の効果が大きく見込める以下の3つです。PwCは長年のコンサルティング経験を通じて獲得した知見やナレッジをもとに、クライアントのアフターセールスにおけるDX実現を支援します。

アフターセールスのDXの活用例

パーソナライズドオファー

マス的、または属人的な来店オファーを行うのではなく、データにもとづいて一人ひとりに最適なオファーを行うことで、コンバージョンを向上させることが可能です。

特長
  • アフターセールスに特化した顧客セグメントにもとづくターゲティング
  • アフターセールスに最適化されたサービス・商品のレコメンドロジック
  • 走行距離や消耗度合いなどの具体的な数値を併記した、顧客に”刺さる”メッセージの設計
想定検討期間:計10カ月
  • 構想策定:3カ月
  • システム構築:4カ月
  • パイロット:3カ月
想定効果
  • 来店率:約10%向上

パーソナライズド見積作成

パーソナライズド見積システムにより、担当者のスキルに依存しない顧客に合わせた最適なメンテナンス提案が可能になり、単価向上が狙えます。また見積作成にかかる工数も削減できます。

特長
  • 販売会社ごとに異なる作業コードを標準化(OEMでデータを一元管理・分析可能に)
  • 非常に煩雑な車両と部品の適合も、部品表システムと連携し、正確に特定
  • 消耗部品の交換だけでなく、ボディコートなどの付加価値品も併せて見積作成
想定検討期間:計12カ月
  • 構想策定:3カ月
  • システム構築:6カ月
  • パイロット:3カ月
想定効果
  • 単価向上:約500万円/店・年
  • 工数削減:約200万円/店・年

タブレット作業支援(整備士業務DX)

整備士業務のうち、約20%は事務作業に充てられています。タブレットを活用することで業務の効率化が可能です。また入力データを二次利用することで、顧客体験向上へ繋げることも可能です。

特長
  • タブレット入力情報を連携・計算して、あらゆる関連書類の自動作成が可能
    (車検・点検記録簿、メンテナンスノート、作業指示書、メンテナンスカルテなど)
  • ワンストップサービス(OSS)連携した車検適合判定も視野に入れた検討が可能
想定検討期間:計12か月
  • 構想策定:3カ月
  • システム構築:6カ月
  • パイロット:3カ月
想定効果
  • 工数削減:約100万円/店・年

OEMから顧客への直販(D2C)

従来、自動車販売はディーラーへの来店を前提としていましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を契機に、24時間どこでも購入可能なオンライン販売(EC)が現実になってきています。また国内の新車販売台数が落ち込む中、地方を中心に売上の低い販売店舗を存続させるのが難しくなってきています。

新車ECにおけるOEMから顧客への直販は、OEMによる一貫した顧客情報管理と顧客体験企画により可能となります。また、アセットライトなバリューチェーンを整備することで新規市場への参入難易度を下げることもできます。

D2C(Direct to Customer)
図表 D2Cモデルにより創出される顧客価値

D2Cモデルにより創出される顧客価値

データを活用したビジネスプラットフォームを強化し、OEMがEC以外でもD2Cに進出することで、バリューチェーン効率化だけでなく顧客価値の創出も実現できます。

D2CによるOEM収益改善

オンラインでのOEM直販モデルは、販売バリューチェーンが効率化されるため、コスト削減という観点からも大きな利点があります。

ディーラー販売⇒OEM直販シフトにおけるOEMの収益改善イメージ
エージェントモデルの概要と移行に必要な配慮

エージェントモデルの概要と移行に必要な配慮

D2Cの商流は、エージェントモデルなどの現実案の検討に加えて、ディーラーに過度な不利益が生じないよう各種配慮が肝要です。

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主要メンバー

小倉 栄治

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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細井 裕介

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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金子 多希

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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