金融業界向けテクノロジー・トランスフォーメーション~サービス型組織~

1 金融各社が抱えるIT子会社・関連会社の課題

デジタル化の進展により、新たな成長源泉の獲得を目指した取り組みが金融各社で行われていますが、抜本的な変革には至っていません。基幹システムをはじめとする既存事業への取り組みにいまだ資源を集中させていることが要因と考えられます。基幹システムは金融機関におけるコア事業そのものであり、必要なコストをかけてサービス品質やセキュリティー面で常に最良の状態に維持しておくことが重要ですが、新たな成長源泉の獲得を狙った取り組みが進まない背景には、金融各社が抱えるIT子会社・関連会社側の課題もあります。

2 サービス型組織を立ち上げる必要性

これまで国内金融各社のIT子会社・関連会社は、業務の遂行に必要不可欠なシステムを維持することや、IT人材育成の場として大きな役割・貢献を果たしてきました。しかしデジタル化の進展も相まって、ニーズの増加、多様化に応えきれていないのが現状です。企業グループとして組織転換が遅れると、IT子会社・関連会社を保有する意義やソーシング手段の使い分け方に懸念が生まれかねません。中長期的にはITサービス会社として自立した組織を目指さなければ、価値のある存在ではなくなるという危機感を持つべきです。

3 サービス型組織立ち上げにおける課題

既存の基幹システム(大規模レガシーシステム)の受託開発ではなく、デジタル技術を活用した新たなサービス開発を行う際の課題として、事業目標や実施サービス内容を曖昧にしたまま、まずは既存人材を異動させて体制のみを作ってしまうケースが挙げられます。また、基幹系人材のヒューマンリソースをデジタル領域に転換する際も、人材タイプの相関性が高くない場合があり、生産性が上がらない可能性があります。

4-1 取り組み:サービス型組織のミッション・目標策定

サービス型組織立ち上げにあたり、組織ミッションをもとに、中長期に達成すべき売上目標などを明確にしていくことが必要となります。

サービス型組織のミッション・ 目標策定

4-2 取り組み:新規サービス企画およびサービス具体化推進

サービス型組織の肝となるサービス企画だけでなく、企画したサービスを黒字化するためのロードマップ策定や、適切に黒字化していくための価格設定・クライアント戦略などまで考えていくことが肝要となります。

新規サービス 企画およびサービス具体化推進

4-3 取り組み:サービス型組織の人材育成―人材要件定義

受託開発時とは異なった、サービス開発を行うために必要なスキルセットを人材要件として定義します。そのうえで、サービス開発に必要なアジャイル型プロジェクトの推進・デザインシンキング・アナリティクススキル向上を行うことが必要となります。

サービス型組織の人材育成 人材要件定義

5 PwCのサービス:金融ビジネスが求めるスピードに応えるIT組織再編

金融各社のデジタル化は今後もますます進んでいきます。その過程で、企業グループ内のIT部門やIT子会社・関連会社のあり方にも目を向けて変革を起こし、デジタル人材の育成や既存IT組織の強靭化を図っていく必要があります。PwC Japanグループは、国内外の幅広い事例と情報の収集力、戦略策定から実行までの一貫した推進力で、金融ビジネスが求める要求スピードに柔軟に応えられるIT組織再編をご支援します。

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主要メンバー

陀安 信法

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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斉藤 隆之

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