内部監査業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展をはじめ、経営環境の変化が著しい現代において、金融機関における内部監査はリアルタイムに、そして継続的にデータを活用することが重要となります。

PwCのサービス

1.データアナリティクスの導入・高度化

PwCは金融機関各社の実状に合わせて、内部監査におけるデータアナリティクスの導入や高度化をサポートします。

導入ステップの 例

①継続的なモニタリング

主要な測定指標(リスクおよびKRI、KPI)を設定し、継続的にモニタリングします。

例えば、基幹系システムや情報系システムから抽出した多量の定量データ(各種経済指標、財務データ、取引データなど)をETLツール※1、BIツール※2などを用いて集計・分析・可視化することで、自社全体としてのリスクの高低を常時把握することができます。

②継続的なリスクコントロール評価

継続的なモニタリングの結果に基づいてリスクアセスメントを自動で実施し、監査結果にも適時に反映します。BIツールによりリスクヒートマップをダッシュボード形式で適時に可視化することで、全社的なリスクの高低が容易に把握しやすくなり、マネジメントに対して付加価値のある説明も可能となります。

継続的モニタリング、リスクコントロール評価におけるテクノロジー活用のイメージ
継続的モニタリング、 リスクコントロール評価におけるテクノロジー活用のイメージ
テクノロジーを活用したリスク評価結果の可視化の事例(BIツール)
テクノロジーを活用したリスク評価結果の可視化の事例 (BIツール)

③アジャイルなプランニングとスコーピング

継続的なモニタリングやリスクコントロール評価に基づいて監査の範囲を特定し、リスクの高い領域に焦点を当てることができます。

テクノロジーを活用した継続的なモニタリング、リスクコントロール評価を通じて常時把握されるリスク情報に基づいて、監査の対象範囲やテーマ、監査計画を適時に見直すことで、機動的な監査の実現が可能となります。

アジャイル型監査のイメージ

アジャイル型の内部監査はスクラム型であることが一般的です。

作業を2週間程度のスプリント(小単位)に区切り、計画・検証・報告・振り返りを繰り返しながら作業を進めます。

アジャイル型監査の イメージ

④データ主導の往査の実施

往査時におけるテクノロジーの活用(ETLツール、BIツール)

多量のデータを効率的に分析できるETLツールの活用により、従来のサンプリング手法による目検での確認の代わりに、全量の取引データを対象とした分析が可能となります。

例えば、次に示すような取引モニタリングなどのリスクシナリオをあらかじめ設定した上で、システムから抽出した全量の財務データや経費データなどを対象にETLツールで分析し、その結果をBIツールで可視化します。その上で、異常値が識別された場合には、往査(ヒアリングなど)で検証します。

取引モニタリング 顧客別、商品・サービス別の損益状況や取引状況をさまざまな観点からある程度自由に分析し、リスクが高いと思われる領域(他よりも利益率が著しく高い/低い、取引量の変動が大きい)を特定し、その取引や顧客との関係の合理性を検証。
債務者格付監査におけるデータ活用

債務者区分・格付判定に用いている情報あるいは付加的(定量・定性)な情報を用い、次の分析を実施。

  • 債務者格付などに用いている手法と異なる手法(例:機械学習情報を用いた非線形モデル)で評価を行い、差異が生じている集団の特性を確認
  • 債務者区分を判別する(例えば正常と要注意以下)モデルを作成し、格付評価との差異について確認
往査時におけるテクノロジーの活用(テキストマイニングツール)

テキストマイニングツール※3により、従来行っていた抽出作業や高度な数理的な分析を、全量データに対して自動的に実施することが可能です。

内部監査においては、例えば、苦情を含むVoC(Voice of Customer:お客様の声)や社員満足度調査、インシデント報告などを対象に、発生頻度の高い単語間の相関分析を行うことで、問題事象の背景・原因について仮説を立て、これを基に往査(ヒアリング)の際に検証するといったアプローチが考えられます。

また、往査を通じて識別された課題の背景や原因をさらに詳しく分析するためにテキストマイニングを活用することも有効です。

往査時におけるテクノロジーの活用 (ETLツール、BIツール)
⑤動的なレポーティング

リスク評価・計画策定時にBIツールを活用して作成したダッシュボード(リスク評価結果の可視化)を、往査結果を踏まえて更新します。これにより、最終的なリスクの高低をタイムリーに把握することができるため、短期間で成果を求められるアジャイル監査では特に有効です。

また、フォローアップ監査やモニタリングといった後続の作業時にも参照することを見据えて、ダッシュボードの構成を工夫することが重要です。

往査時におけるテクノロジーの活用 (テキストマイニングツール)

2.監査システムの導入支援

監査システムの円滑な導入を支援します。監査システムの導入により、監査データの一括管理、進捗管理が可能となります。

過去の導入実績を通じて培った知見とPwCのナレッジに基づき、各ステップにおいて必要な検討および成果物の作成を支援します。また、導入プロジェクト全体にわたり、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)機能の支援も可能です。

要件定義工程における支援

特に、上記Step2の要件定義工程では、内部監査業務に関する深い知見と情報システムに関する高度な技術的専門性が求められます。標準的な支援メニューとして、あるべき業務プロセスを検討した上で、課題を抽出し対応方針を策定します。なお、スクラッチの開発、既存パッケージソフトの活用のいずれのケースでも対応が可能です。

要件定義工程 における支援
プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)支援

監査システム導入の各工程において、プロジェクト管理、プロジェクト推進、ステアリングコミッティ報告などを支援します。

プロジェクトマネジメントオフィス (PMO)支援

※1:ETL(Extract, Transform, Load)ツールとは、データの抽出・加工を行うツールです。表計算ソフトによるデータ加工作業を、アイコンのドラッグ・アンド・ドロップで容易に行うことができ、また繰り返し使える加工フローを作成することが可能です。

※2:BI(Business Intelligence)ツールとは、大量のデータをビジュアライズし、データからインサイトを得ることができるツールです。

※3:テキストマイニングツールとは、メールやウェブ情報などの非定型な文書からインサイトを得ることができる分析ツールです。

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主要メンバー

駒井 昌宏

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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山口 太郎

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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小林 康宏

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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山本 真一

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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