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近年、自身の健康状態を把握することに対して前向きな人が増えてきました。同時に、患者が自らの治療法を選択するにあたり、より主体的な役割を担うことの重要性が増しています。
患者およびその家族が治療に関与する度合いが増す中で、予防的な健康管理、疾患を認識してからの診断、確定診断に基づく治療を経て、その後の生活に至るまでに患者がたどる「ペイシェント(患者)ジャーニー」の重要性がクローズアップされるようになりました。診断の弊害や、治療や病気との共存に関するアンメットニーズ(満たされていない医療、治療ニーズ)を明らかにし、多様化するペイシェントジャーニーに沿ったケアの実現が求められています。
患者の健康はウィルスや細胞変異のみに左右されるわけではなく、さまざまな社会的な要因によっても変わってきます。そのためペイシェントジャーニーの対象は、医療従事者や患者家族にとどまらず、患者を取りまくあらゆるステークホルダーに及びます。
患者に関わる全てのステークホルダーが連携し、患者の声を反映しながらQOL(生活の質)向上に寄与する包括的なサポートを提供する必要性が高まっており、このような中でPSP(Patient Support Program:患者支援プログラム)が注目を集めています。これは、患者の本質的なQOL向上を最優先課題とし、患者の心身の健康状態の維持・改善、治療に対するアドヒアランス、最終的な治療アウトカムなどの向上を目的として、ヘルスケア業界が患者中心主義(ペイシェントセントリック)のサービスを提供するものです。
患者が治療法の選択などでより主体的な役割を果たすことの重要性が高まっている背景には、下記の要因が大きく影響していると考えられます。
PwCの考えるペイシェントセントリックなPSPにおいては、確定診断がついている患者のみならず、未病や予防という観点から、不調を訴える人や健常者もサービスを提供する対象に含まれています。また、治療のみでなく、生活を送る上で必要なサポートも対象としています。直接治療にあたる医師、薬剤師、看護師などの医療従事者にとどまらず、必要な医薬品を供給することで投薬治療を支援する製薬企業、生活を支える介護職、行政機関などもステークホルダーの一員として位置付けています。その上で、治療効果の向上やステークホルダー間の情報共有を実現するテクノロジー企業やデータサイエンス企業も加われば、より価値あるヘルスケアエコシステムを構築するプラットフォームとしての機能を有すると考えます。
PSPの支援に際しては、疾患ごとにペイシェントジャーニー上の課題抽出や、患者像(ペルソナ)の特定、ライフステージごとの課題の明確化を行い、患者および生活者のニーズにより即したソリューションの提供を支援します。
患者はPSPを通じて治療中の状態を記録することで、自身の治療計画により主体的に関わることが可能になります。また、治療効果が表れるまでに時間を要する患者に対しては、可視化された治療効果を提供することで、アドヒアランスの向上が期待できます。加えて、治療の導入時および継続期間中に起こり得る感情的・潜在的な不安に対し、患者は専門家やサポートグループから容易にアドバイスを受けることができるようになります。適切かつ十分な情報が得られることで患者の不安は解消され、治療意欲の高まりが期待できます。さらに、不必要な治療への切り替えを防ぎ、最終的には治療成果とQOLの向上につながると考えます。
また近年、製薬企業は、これまでにも増して治療のアウトカムを高めることが求められています。そのためには革新的な治療薬を開発、提供するだけでは十分ではなく、医療従事者やエンドユーザーである患者とのコミュニケーションの質を高め、薬剤価値の最大化をはかることが必要です。患者や医療従事者のフィードバックをリアルタイムで収集し、適正使用の促進を通じてアドヒアランスを高め、確実に治療効果を上げることが、製薬企業にとって差別化につながります。さらには、PSPを通じて得られるデータを用いて自社製品の課題や改善点を把握することで、そこから得たインサイトをよりよい医薬品開発につなげることが可能になります。
医療機関や医師などの医療従事者は、患者に向き合うにあたり、ステークホルダー間で情報を共有することで、各々の役割に十分な時間を費やすことが可能となります。例えば、PSP内で蓄積されたデータをグラフ化することで、患者が前回来院した時以降の状態を把握することが可能になり、注意すべきポイントを見落とすことがなくなります。また、患者とのコミュニケーションを通じてUMN(Unmet Medical Needs:満たされていない医療)ニーズの収集や、データに基づいた治療方法の選択が可能になります。
PSPは患者の行動や問い合わせに関するデータを収集、蓄積しており、医療従事者はそれらを利用することで、患者のケアサイクルや価値観、治療計画を容易に把握できるようになります。これにより、それまで情報収集に費やしていた時間を治療や診断、研究に充てることが可能になります。さらに、これらのデータから得られるインサイトは、医療従事者が提供するケアのレベルをより一層向上させるのに役立ち、効率的かつ効果的なエコシステムの実現へとつながります。
PSPは欧米を中心に発達してきた取り組みで、もともとは患者に正しい薬の服用を促し、アドヒアランスを向上させ、病気をよりよく管理することを目的に進化してきました。近年では、ペイシェントジャーニーの最も初期の段階から患者に寄り添い、心理的かつ社会的なサポートを提供するようになってきています。
医療や技術の進歩により、今まで病名が特定されていなかった症状に対して診断名が付くようになり、それに伴ってさまざまな治療法が新たに確立されています。しかし、インターネットやSNS上にはさまざまな情報があふれているため、患者や患者家族が、自身に有効な情報や、正しい治療法を判断するのは容易ではなく、情報に振り回され、疲弊しているケースが散見されます。このような状況下においては、例えば製薬企業が幅広い視点に基づいて正確かつ分かりやすい疾患情報を提供するなど、患者や患者の家族に対して疾患啓発を行うことの重要性が増しています。
上記の具体例を含め、PSPには以下のような要素が含まれます。
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PwCは、独自の問題解決アプローチである「BXT」に基づいて構築されたフレームワークを活用することで、PSPのデザインおよび確立を支援します。BXTは、ビジネス(Business)、エクスペリエンス(eXperience)、テクノロジー(Technology)という、真の変革をもたらすために必要な3つの視点を融合したアプローチです。多角的な視点から人々の体験を分析することで、患者、医療従事者、製薬会社、協働するステークホルダーをつなぐ新たな体験の創造と価値の創出をサポートします。
How we build value
ビジネスに対する洞察力
What people will remember
人間を中心とした考え方とアプローチ
How we make it real
技術的な知識とノウハウ
PSPは、それだけでは患者や医療従事者との信頼やエンゲージメントを高めたり、差別化を促進したりする要因にはなりません。プログラム自体を十分に設計すると同時に、患者が自らのニーズや好みに合わせてカスタマイズできる柔軟性を兼ね備える必要があります。また、プログラムを成功させるためには、その利点を患者、介護者、医師、医療従事者に適切に説明し、理解してもらう必要があります。
PwCのPSP支援は、プログラム設計の初期段階から全ての主要なステークホルダーを巻き込み、彼らのエンゲージメントを高め、関係者全員のニーズと期待を満たすアジャイルソリューションを構築します。PwCが提供するPSP Platformを用いることで、2~3カ月といった早い段階でプロトタイプを作成し、フィードバックループを短期間で高速にまわしていきます。
PSPは、医薬品・医療機器の使用に係る患者の安全性データを有害事象も含めて収集するため、製薬会社にとっては関連するインサイトを得るための貴重な機会になり得ます。そのためには、患者をよりよく理解し、そのエクスペリエンス改善に必要なデータの追跡、収集、分析を多角的に支援するとともに、プログラムの継続的な進化を図りながらスケーラブルかつ汎用性の高いシステムを構築することが求められます。PwCは、グローバルネットワークを通じて培ったPSP分野における豊富な経験と、日本の医療業界に関する深い知識をかけあわせることで、最適なデータモデルとシステム構築を支援し、規制の厳しい日本の製薬業界に適した高い付加価値をもたらすさまざまなソリューションを提供します。
パートナー, PwCコンサルティング合同会社