観光関連業界の課題解決支援

これからの日本の社会や経済において、観光業は重点産業であり大きな可能性に満ちた成長領域です。特に諸外国から見ると、訪問地としての日本は、自然・文化・風習・食などさまざまな観点で深い魅力を持つ有数のデスティネーションです。観光はそれ自体が目的にも手段にもなる幅広い可能性を持ち、個別企業や業界の収益源になるだけでなく、宿泊・交通・小売・飲食などの多岐にわたる関連産業との繋がりにより、エリアの課題解決の切り口としても存在しています。

一方で、観光業を取り巻く課題は複雑であり、個別の企業が解消できることは限られているのが現状です。現在の観光業は労働集約型であるため、社会全体の労働人口減少の影響が強く、ビジネスの持続可能性が脆弱です。また、エリア一体での取り組みが求められる反面、その活動主体が曖昧になりやすいという構造的課題も抱えています。

さらには、近年の個人のライフスタイルや旅に求める意義の多様化に伴い、従来通りのサービス提供では、価値の提供や安全性の担保、ひいてはそれらによる収益化とその維持が困難な場面も多く見られています。

こうした状況下では、企業の事業継続やエリアの観光資源維持は難易度を増し、ひとたびオーバーツーリズムなどで予期せぬ環境棄損が起こってしまうと、エリアの訪問価値とともに旅行者が減少するだけでなく、幅広い観光関連企業の存続も危機に瀕することが予測されます。

観光関連業界が有する可能性と課題に対し、PwCコンサルティングは、個別の事業者の経営力向上による事業持続性の確保に加え、自然環境や歴史文化と観光を掛け合わせによる付加価値創出、エリアでの観光を起点としたビジネスエコシステムを組成することでの収益モデルの創出・展開や、エンドユーザーの社会的変化を踏まえたデマンドドリブンでの新規事業創出、デジタルやエマージングテックなどの新たな技術活用による業界革新やエリア安全性の担保などを通じ、観光を通じた社会健全性モデルの確立を目指します。また、PwCグローバルネットワークが持つ総合力を活用し、グローバルレベルでの先進事例の日本へのカスタマイズ転用、企業・組織とのビジネスエコシステム構築による連携などでシナジーを実現して、観光関連業界全体の収益構造の変革と観光価値の維持向上を支えます。

図表1:PwCコンサルティングが支援の対象とする観光関連領域の全体像

図表1 PwCコンサルティングが支援の対象とする観光関連領域の全体像

観光業界の重点課題とソリューション

PwCコンサルティングが注目する観光業界の重点課題とソリューションは以下の4つです。

図表2:観光業界の重点課題とソリューション

図表2 観光業界の重点課題とソリューション

PwCのサービス

PwCコンサルティングは上記の重点課題に対応すべく、部門横断的かつ企業の単位を超えた取り組み体制を有しているほか、世界各地のPwCの観光チームとの連携により、オーバーツーリズムや観光推進・DXなどの課題解決に関する多くの先進事例ノウハウやナレッジを蓄積しています。川上の調査・戦略方針策定領域から、川下のビジネス現場である事業者の経営力強化領域まで、当社が保有する業界知見と改革領域知見(ブランディング、マーケティング、デジタル、テクノロジーなど)を掛け合わせることで、業界に関連する幅広い民間企業・組織や、中央官庁・地方自治体等を支援します。

市場調査・戦略方針策定フェーズ

インバウンド・MICE、ムスリム・ベジタリアン対応、サステナビリティ、街づくりなどをテーマに業界動向や社会情勢に関する調査を数多く実施し、PwCならではの知見・実績を蓄積しています。特に、他国・インバウンド視点で訴求力の高い日本の魅力の在処やその魅せ方、日本にはない慣習やルールを有する旅行者をどのような機能・設備をもって受け入れる必要があるかといった環境整備にかかる重要要素を的確に把握しています。

PwCコンサルティングではPwCグローバルネットワークに蓄積された幅広いナレッジや業界内外の知識・知見を活用し、社内のさまざまな領域におけるプロフェッショナルが密に協働・連携しながら多面的に成果創出にアプローチすることで、観光業界の更なる発展・振興に貢献します。

図表3:フェーズごとの提供サービス

図表3 フェーズごとの提供サービス

ソリューション・事例紹介

1.人材・組織

観光産業の盛況と人材不足の中、成長戦略に応じた組織設計や、人材の獲得・リテンションに繋がる人材マネジメント改革がますます重要視されています。PwCコンサルティングでは、採用競争力に資する組織構造や機能、人材のキャリアパスや処遇(評価・登用・報酬など)の見直しについて、特に宿泊業界のビジネス構造や人材特性に基づいた設計と導入を支援します。

2.ロボティクス・DX

ホテルをはじめとする観光業界において、ロボティクスやIT/DXの導入は、専門人材や投資余力の不足により、他業界と比較して大幅に遅れている状況です。PwCコンサルティングはエマージングテック専門チームを擁し、業界を超えた最新テクノロジーの導入やビジネス場面での有効活用事例を多数有しており、ホテル・観光チームの業界知見と最新テクノロジーの可能性とを掛け合わせたソリューションを展開しています。

3.エリアにおける観光エコシステム組成・推進

PwCコンサルティングでは、特定エリアをビジネスフィールドとし、観光と他ビジネス領域とを掛け合わせたビジネスエコシステムの組成も推進・支援します。「エリア×観光」というテーマでの取り組みは、ともすると多様な関係者が具体的な動きを取りづらいプロジェクトになることも多いですが、PwCコンサルティングでは「顧客体験価値」に加え「ビジネスとしての持続性」や「安心・安全」をベースとしたビジネス設計を行い、かつ、推進を担う運営組織・企業の設立支援なども行うことで、地域・企業・旅行者への還元を包括的なモデルと具体的なアクションに落とし込んでデザインします。

4.新規テーマのビジネス化(サステナビリティ、ネイチャー、アートなど)

サステナビリティ推進が世界的な重要事項となった現代において、脱炭素やネイチャーポジティブといった思想に基づく購買行動や、観光にこれまで以上に「深い意義」や「本物との繋がり」による「自己発見」「成長」などを希求する旅行者の台頭などが新たに見られています。このような大きなテーマを観光ビジネスの成長に織り込んでいくために、PwCコンサルティングでは各テーマに特化した専門チームを有し、世界的なルールメイクの動向や社会的トレンドと、企業の動向を把握したうえで、これらと「観光」を掛け合わせた事業戦略の策定や、ビジネス創出・拡大の支援を行います。

5.業界トレンドや参入に際する分析・示唆導出

観光業界はその将来性から、昨今、他業界からの参入事例が多く見られますが、観光業界のマーケットや競争環境は、世界的な変化の中で急速に展開・変容しています。PwCコンサルティングは、観光業界を俯瞰的・構造的に整理する分析・リサーチの提供はもちろん、参入企業側の業界動向や、業界内で培われたケイパビリティが観光業でどのように競争優位たりうるのかといった観点での可能性の導出など、事業進出や成長にかかる深い示唆を出すことが可能です。特に海外マーケットへの展開の際には、PwCグローバルネットワークとの連携が有効です。海外のメンバーファームと連携し、現地の商習慣や法制、社会情勢、トレンドなどに関する広範なナレッジを活用するほか、多彩な有識者・関係者などへのアクセスによるインタビューやリサーチなども提供します。

主要メンバー

南出 修

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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澤田 竜次

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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石井 麻子

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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