航空・防衛産業向けコンサルティング

パラダイムシフトを迎える航空・防衛産業

航空機産業は、世界的に高い成長率を有する、工業製品では数少ない成長市場です。その厳しい参入障壁ゆえに特定少数企業による寡占市場であることも事実ですが、日本の航空機産業に今、好機が到来しています。売上規模では欧米に比べ極めて小規模に留まるものの、世界経済を牽引するアジアにおける地政学的位置付けや、安全性確保に求められる綿密な思考とすり合わせ技術に優れていることから、次の基幹産業の候補として、国内では大きな期待が寄せられています。

業界全体を見渡せば、無人化や電動化といったエマージングテクノロジーが驚異的な進歩を遂げており、航空機産業においても無人航空機の開発や航空機電動化が進んでいます。また業界全体に押し寄せるコモディティ化により、競争のさらなる激化が予測されます。航空機産業ではまさに新しいパラダイムシフトが起きており、これを飛躍的な発展の機会にするか否かが問われています。

民間航空機産業の今

日本の民間航空機産業は、第二次世界大戦後の各社の解体と研究・製造への制限による活動停止や、朝鮮戦争勃発に伴う部品修理・供給を契機として、米国航空機メーカーのライセンス生産により再起動を果たしました。その後、米国航空機メーカーのTier1サプライヤー(メーカーに直接納入する1次サプライヤー)としてその業容を拡大し、これまで一定の成功を収めてきました。

しかしながら、同産業は現在、大きな事業構造の変化に直面しつつあります。まず、足元のビジネスにおいて、当該産業にとっての主要発注元である欧米系航空機メーカーが、ベストセラーとなったセミワイドボディ機から続いていた日本企業による機体構造製造の領域で内製化に舵を切り始めていることが挙げられます。米国トランプ政権による自国回帰の気運がこの潮流をさらに後押ししており、また航空機産業の主要市場が中国をはじめとするアジア・太平洋地域にシフトしたことに伴い、最終組み立てを含めて、同地域への機体製造拠点展開の流れがさらに加速することが予測されます。これにより、今後予定されている次世代機の開発・製造において、日本企業が従来の事業規模を確保できるかどうか、不透明な見通しとなっています。

また、約50年ぶりに立ち上がった日本発の完成機事業は、度重なる計画変更に加え、スコープクローズ(大手航空会社とパイロット労働組合との労使協定)におけるリージョナル機に対する規制緩和の遅れ、さらには先発企業の世界的再編とこれに伴う競争環境の激変といった、大きな課題に直面しています。

同産業は、電動化や自律化、コモディティ化(空飛ぶ車)、モノからサービスの潮流など、テクノロジーやビジネスモデルの観点から大きな転換期を迎えています。今後は自動車業界などと同様、さまざまなディスラプターの参入による大変革期を迎えることが予想されます。こうした環境下、日本企業の生き残りと新たな成長には、さまざまな局面で大胆かつ周到な戦略、改革の実行が求められています。

防衛航空機産業の今

日本の防衛航空機産業では、長らく続いてきた防衛省・自衛隊中心の事業が大きな変化に直面しています。米中関係や朝鮮半島情勢など、防衛環境の不確実性が一層高まり、米国政府からは日米安保体制を背景に、高額な防衛装備の直接輸入を迫られています。さらには、サイバーセキュリティや宇宙防衛など、巨額の予算が必要となる新たな防衛分野も出現しています。

日本の防衛航空機産業は、艦艇や特殊車両の防衛産業と同様に、従来の国産開発・量産、定期修理というビジネスモデルは、各種航空機の高性能化による開発費高騰も加わり、政策的・経済的な合理性を失いつつあります。新たな成長には、新事業の創出や国際連携など、冷徹な情報分析に基づく柔軟な発想が不可欠です。

エマージングアビエーションの台頭

テクノロジーの発達に伴い、産業界全体でビッグデータやIoT(Internet of Things)、人工知能(AI)の活用が進んでいます。これにより、航空の世界でもデジタル化や自律化、無人化などの変革が起きており、エンジン使用時間あたりの出力に対する課金といったサービスビジネスも生まれています。

また、欧州から世界へ拡大する地球温暖化防止への取り組みは、航空の世界にも大きな影響を及ぼし、究極の対策としての電動化が予想を超えるスピードで進展しています。More Electric Aircraft(MEA)の流れは加速し、推進システムの電動化も現実になっています。また、ドローンや空飛ぶ車などの航空輸送のコモディティ化は、これまでにない製品と市場の開拓につながっています。従来の航空機産業は、急速に進むボーダーレスな変化を無視できなくなってきており、こうしたエマージングテクノロジーの発展をチャンスと捉える柔軟な発想が必要となってきています。

PwCが提供するサービス

PwCは、航空・防衛産業の支援に特化したチーム、Aerospace & Defenseを有しています。航空産業や防衛産業、政府機関の出身者で構成されており、業界の構造改革から始まって、M&AやPMIの事業拡大、また航空機製造の戦略立案から開発プラットフォーム(PLM/MES/ERP)の構築、MROやサービスビジネスへの進出、オペレーションの最適化やセキュリティ対策などを支援します。航空機製造OEMからサプライヤーに至るまで、多様な支援実績を有するAerospace & Defenseチームが、大きな飛躍のチャンスを迎えている日本の航空機産業のさらなる成長をサポートします。


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主要メンバー

渋澤 将之

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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澤井 康明

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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中村 真徳

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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