{{item.title}}
{{item.text}}
{{item.title}}
{{item.text}}
世界が直面する危機には、共通の際立った特徴があります。これらの危機に対する解決策を見出して実行に移すまでに、私たちに残された時間はあと10年しかないということです。この難題を乗り越えるには、これまでのアプローチは通用しません。20世紀型のアプローチは世界全体の生活水準を確実に向上させた一方で、今私たちが直面する差し迫った危機ももたらしました。より良い未来をつくるためには、マーケットの創造性と力学に基づきながらも、それを新たな文脈でとらえ直し、体系的に異なるアプローチをとる必要があります。
PwCネットワークのストラテジー&リーダーシップ部門グローバルリーダー、ブレア・シェパードによる著書『Ten Years to Midnight――世界に迫り来る4つの危機とその戦略的な解決策』では、危機の根本的な原因について精査し、その危機を回避できる戦略的な解決策を提案しています。
PwCは、今日の世界が直面する重大な課題をADAPTというフレームワークで要約しています。これらの課題は以下の4つの危機をもたらしており、対処しないままでいると、今後10年間で取り返しのつかない損害を引き起こすと考えられます。 危険なほど複雑に絡み合ったこの4つの危機を前に、私たちは未来を再考し、再構築することを迫られています。これらの危機はまた、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって一層加速しています。
私たちが抜本的かつ体系的で、大規模な変化を引き起こすまでに残された猶予は10年です。上述の4つの危機に、20世紀型のアプローチは通用しません。そのアプローチこそが、現在の危機を引き起こした原因だからです。本書では、PwCが考え得る最良の方法に基づく代替案を提供し、今日の世界が直面している現状や課題、そしてチャンスに適応するためのアプローチをどのように改めるべきかを提案しています。私たちは成功の意味を再定義し、新たな方法で未来を目指さなくてはなりません。
今日の世界においてこれほど大規模な変化を起こすには、その任務にふさわしいリーダーシップが求められます。
私たちには新しいモデルが必要です。リーダーたちには一見相反するように見える能力や感性が求められています。新たなリーダーは、テクノロジーを熟知していながらも、人間の仕組みや心理に長けていなければなりません。英雄のように勇敢でありながらも、周囲の声に耳を傾け、必要であれば進路を変更する謙虚さを持っていなければなりません。私たちが変えようとしている物事の根本的な要素について深く注視しながらも、きわめて革新的でなければなりません。
国家や機関、企業を率いるリーダーがまず取り組むべきタスクは、このようなリーダーシップを身につけ、私たちを脅かす危機にこの世界が対応できるようにすることです。
最後に、本書は新型コロナウイルス感染症の発生以前に書かれたものですが、パンデミックにより、これまでに述べた傾向はいずれも加速しています。世界をさらにひどい場所にしないために、私たちが考え直し、行動するための時間はほとんど残されていないことを忘れてはなりません。
しかし、本書の結論は希望に満ちています。著者は人類がこの課題に立ち向かうことができると信じており、世界の現状を把握する枠組みと全ての人に役立つ未来をつくり出すための考え方を、およそ200ページにわたって述べています。本書が伝える最も重要なメッセージは、今すぐに取り組もうということなのです。