次世代監査をめぐるPwCの取り組み 第1回:デジタルテクノロジーと監査の融合がもたらす信頼の未来

2019-09-03

デジタルテクノロジーによって広がる監査の可能性

皆さん、こんにちは。

これから3カ月にわたって、本コラムを通じて「監査はどのように変わっていくのか」について考察していきたいと思います。

第1回目のテーマは、「今、監査がどうなっているのか」です。監査の今をひとことで言えば、「広がっている」という表現に尽きます。今さら言うまでもなく、現在の社会では、過去には考えられないほどの情報が作られ、使われています。そしてそれらの情報をもとにして、社会は構築され、運営されています。しかし、その基盤となる「今、使われている情報は信用できるのか?」という点について、実は誰も答えを持たないまま、不安と疑問を抱きながら情報社会への移行が進んでしまっています。

この社会的な「不安」を解消することこそが、監査の役割です。過去においては、市場に提供される情報のみを対象として「不安」を解消することが監査の役割でしたが、情報が影響を及ぼす範囲が格段に広がった今日、監査が提供する安心=保証の範囲も広げていくことが求められています。

そして、デジタルテクノロジーの活用により、その実現可能性もまた、大きく広がっています。例えば、従来、監査のために利用されてきた膨大なデータの信頼性を検証する手法は、売上データの検証にも使えますが、環境負荷に関するデータの検証にも使えるかもしれません。財務諸表作成者の信頼性を検証する手法は、企業の社会貢献に関する経営者の信頼性の評価にも応用できるかもしれません。従来の監査を通じて蓄積されてきた知識や経験が、デジタルテクノロジーと組み合わされることにより、幅広い分野で使われる情報の信頼性構築に応用できることになります。

デジタルテクノロジーに飲み込まれるのではなく、デジタルテクノロジーを使いこなすことで、社会に安心、信頼を提供する。PwCあらたは、そんな存在でありたいと思います。

執筆者

久保田 正崇

代表, PwC Japanグループ

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