次世代監査をめぐるPwCの取り組み 第4回:機械学習がもたらす「異常検知」と「リアルタイム監査」

2019-09-24

監査における不正の発見に異常検知技術の利用を検討

さまざまな分野でビッグデータの活用が容易になり、機械学習の導入が進んでいます。機械学習とは、コンピューターがデータを反復的に学習し、そこに潜むパターンを自動で見つけ出すというものです。機械学習の中でも最も有望なアプリケーションと言われているのが「異常検知」です。期待される正常なふるまいから外れた挙動を識別する技術で、クレジットカードの不正利用や、工業製品や建物の外観検査などに用いられており、今後、幅広いビジネス分野での応用が望まれています。

監査業務においても、不正の発見に異常検知技術の利用が検討されており、その一つとして仕訳テストへの利用が挙げられます。仕訳テストとは、経営者による内部統制の無効化リスクに対応するため、不適切な仕訳入力や修正が行われた可能性がある仕訳を抽出し、検証する手続きを言います。現状では、監査人の経験をもとに、企業の通常の取引過程から外れた取引や、企業および企業環境に関する監査人の理解や監査中に入手した情報を考慮すると通例でないと判断される取引を定義しています。異常検知技術を利用し、より適切な仕訳を高い精度で抽出できるようになれば、監査人は、識別された取引が不正を示唆するものかどうかを評価することに集中できるようになるでしょう。

さらにデジタル化が進み、仕訳の入力ごとに異常検知が実行されるようになれば、監査人が適時に必要な対応をとることで監査品質を向上させ、将来的には「リアルタイム監査」の実現につながっていくと考えられます。

執筆者

久保田 正崇

代表, PwC Japanグループ

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小岩 貴弘

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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