次世代監査をめぐるPwCの取り組み 第7回:ブロックチェーンのビジネス利用で監査はどう変わるのか

2019-10-15

進化する監査手続と監査ツール開発

ブロックチェーンは、暗号資産(仮想通貨)の取引記録に使用されている技術として知られていますが、他のさまざまな領域への応用が期待されています。経済産業省が2016年4月に公表した「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」によれば、金融系のほか資産管理や認証、商流管理、医療といった幅広い分野への応用が見込まれています。

企業がビジネスにブロックチェーンを利用するようになると、監査はどう変わっていくでしょうか。例えば、企業が金融機関に預金を保有している場合には、その取引履歴や残高に対する監査証拠として、監査人は金融機関に確認状を送付します。一方、企業が暗号資産を保有している場合には、監査人は取引履歴や残高に対する監査証拠として、ブロックチェーンの記録を利用することになると考えられます(※1)。

一例として、暗号資産は「アドレス」と呼ばれる口座番号に記録されますが、企業が暗号資産を記録した特定のアドレスに対する正当な所有者であることを確かめるために、企業がアドレスに対応する暗号鍵を保有していることを確かめる必要があります。この際、秘密鍵と公開鍵のペアを用い、秘密鍵で署名したメッセージを公開鍵(アドレス)で署名検証する、といった監査手続が想定されています(※2)。

ブロックチェーンは情報を管理する基盤技術です。社会のデジタル化にあわせて応用される分野が広がれば、監査手続もそれにあわせた変化が求められます。新しい監査手続とそのためのツールの開発が求められているのです。

(※1)業種別委員会実務指針第61号「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針」第7項

(※2)同 付録4

執筆者

久保田 正崇

代表, PwC Japanグループ

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守田 真澄

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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