
「信頼」を妥協しない、情報管理のパラダイムシフト 第3回 検証可能性により高まる情報の価値
現代の情報のやりとりにおいて消費者・企業側双方が抱える懸念とその解消に必要な情報管理の3要素。第3回では、2つ目の要素である「真実であることの検証可能性」を日本政府が公式に提供する「新型コロナワクチン接種証明書」を例に解説します。
2022-09-20
本連載の第1回「現代の情報管理の問題」では、現代の情報のやりとりにおいて消費者・企業側双方が抱える懸念とその解消に必要な情報管理の要素として、「(1)選択的な情報開示」「(2)真実であることの検証可能性」「(3)同意管理およびその履行のトレース」の3点を示しました。
本稿では、1つ目の要素である「(1)選択的な情報開示」について例を用いて解説します。
ここでは、20歳以上の成人を対象とした架空のC2C取引仲介サイトにおける個人間取引を例に、仲介サイトを利用する出品者Aが、サイトを運営する仲介企業B、仲介企業Bから配送業務について委託を受けた配送企業Cを介して、購入者Dに商品を配送したいという状況について考えます。
このとき、出品者Aの立場に立ち必要最小限の選択的情報開示によって自身の情報の秘匿性を確保しようとした場合、図2のとおり考えることができます。
ここで[α]のように情報の保持者が開示先および開示対象の情報をきめ細かく判断し開示することを「選択的な情報開示」と言います。
また、[β]のように「20歳以上であること」という要求に対して、それ以上の情報(知識)が含まれる文書(運転免許証など)や他の情報(生年月日等)を明かすことなく、要求されている「20歳以上であること」のみを示すことを「選択的な情報開示」のうちの「ゼロ知識証明」と言います。
このときB、CおよびDには過剰な情報開示をせずにDに商品を配送することができます。
以上の「選択的な情報開示」により出品者Aの情報の秘匿性が確保され「本来不必要と思われる情報まで要求される」という情報の出し手側の懸念は解消することができました。
しかし、受け手側ではその情報の真正性を検証することができず(本当に20歳以上なのか、本当に東京都発なのかなど)、「やりとりされる情報が信頼できない」という受け手側の懸念は解消していません。
そこで必要になるのが2つ目の要素である「真実であることの検証可能性」となります。これについては、次回のコラムで事例をもとに解説します。
本稿では、現代の情報管理の問題解決のカギとなる3要素のうちの1つ目「(1)選択的な情報開示」について事例をもとに解説しました。
本連載の次回以降は、残る2点の要素について取り上げ、適合するユースケースや得られるメリット、推進する上での課題について考察します。
現代の情報のやりとりにおいて消費者・企業側双方が抱える懸念とその解消に必要な情報管理の3要素。第3回では、2つ目の要素である「真実であることの検証可能性」を日本政府が公式に提供する「新型コロナワクチン接種証明書」を例に解説します。
現代の情報のやりとりにおいて消費者・企業側双方が抱える懸念とその解消に必要な情報管理の3要素。1つ目の要素である「(1)選択的な情報開示」について例を用いて解説します。
現代の情報のやりとりにおいて消費者・企業側双方が抱える懸念とその解消に必要な情報管理の3要素について解説します。
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