プライバシー法規制のトレンドと企業に求められる対応

米国におけるプライバシー関連法規制の動向と企業に求められる対応(2023年7月末時点)

  • 2023-09-28

米国における法規制動向

米国では2022年以降、プライバシー保護に向けた動きが活発化しています。2023年1月のカリフォルニア州プライバシー権法(以下、CPRA)を皮切りに、各州で同様の法律が施行されており、企業は米国内それぞれの州法への対応に迫られています。また、2022年に草案が公表された連邦データプライバシー保護法案(以下、連邦法案)は引き続き審議中であるものの、州法との兼ね合いなどの論点が存在し、企業にはその動向を継続して注視することが求められています。

米国と他国との論点としては、EUから米国への個人データの越境移転という課題がありましたが、Data Privacy Framework(以下、DPF)に対する十分性が欧州委員会により認定されました。EU圏と米国との間で個人データの越境移転を行っている企業も多いと想定され、米国における取り扱い状況や越境移転状況を確認し、対応を見直すことが望ましい状況となっています。以上のように米国のプライバシー保護規制動向の活発化に伴い、企業としては対応方針の検討が迫られています。本稿では米国州法およびDPFを中心としたプライバシー動向に加え、企業に求められる対応について解説します。

企業に求められる対応

以上のように米国における個人データの取り扱いや越境移転を中心に議論が活発化しており、米国の各州法は企業に規制対応を要請している状況です。特に一部の州法はDPIAの実施を要請しており、企業としては改めて米国における個人データの取り扱いに係るリスクの洗い出し、評価、改善対応することが必要となります。これまで多くの企業は米国州法に対応するにあたりは、CPRAとその前身であるCCPA規制への対応を頭に置いていましたが、各州法に対してはDPIAを中心にCPRA以上の対応が必要となります。州法の整備が進む現段階においては、改めて米国全体を想定した州法への対応方針を検討することが推奨されます。

議論の先行きが不透明な連邦法案への対応や、DPF原則への適合性確認については、米国での展開事業において取り扱う個人データの棚卸を兼ね、データマッピングを実施することが望ましいです。特に米国を含むグローバルでの新たな事業・サービスの展開を計画している企業は、個人データの棚卸や、そのデータの利用目的の整理を事前に実施することで、各国の法規制に対応する上での懸念点を発見し、解消に向けた方針を検討することが推奨されます。

なお、これらの対応は米国州法で要請されるDPIAの実施や、米国法令への対応に備えたガバナンス体制整備にもつながります。上記の各対応を通じての、米国におけるプライバシーリスク、法令違反リスクの低減に向けたアクションが推奨されます。

執筆者

藤田 恭史

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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門脇 一史

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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藤田 和也

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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