東証PBR1倍割れ問題対応の先に求められるもの

資本政策の必要性

  • 2024-07-22

2023年3月に東京証券取引所(東証)が発表した『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』は、「PBR1倍割れ問題」として大きな話題となりました。それから約1年が経ち、多くの上場企業でPBRが改善し、日経平均は2024年2月に最高値を更新しました。いいこと尽くめのように見えますが、果たしてこのことは上場企業が中長期的に望ましい方向に向かっていることを示唆しているのでしょうか。

今回は、「PBR1倍割れ問題」について、その対応の先に求められるものを踏まえながらX-Value & Strategy(XVS)の3人が語り合いました。

(左から)舟引 勇、土田 篤、池本 勝紀

(左から)舟引 勇、土田 篤、池本 勝紀

登場者

土田 篤
PwCコンサルティング合同会社 パートナー

池本 勝紀
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター

舟引 勇
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター

強みと機会に本気で向き合い「未来最適」のポートフォリオを描く

土田:
資本効率だけではなく、企業価値の「絶対値」を考えなければならないということですね。成長戦略を描き、株主に期待を抱かせるためには、どうすればいいでしょうか。

池本:
自社の強みと市場の機会について真剣に考えることです。一般的な「クロスSWOT分析」は、どの企業でも行っているでしょう。

土田:
新たな価値を生み出すこと、それに加えて事業ポートフォリオを見直し、どこにより経営資源を集中的に投下するかの検討も重要ですね。

舟引:
市場の成長度合いが異なる複数の事業を持つクライアントから「成長領域にシフトしていきたい」というご相談を受けることがあります。

日本の企業は伝統的に、既存の事業に近い領域で次世代のビジネスを創出してきました。ところが最近は自社にない強みを取り入れる手法として、M&Aが定着しています。企業が新たな市場を見据えたときに、M&Aによる非連続的成長は重要です。自社の強みをしっかり精査してプランニングすれば、最短の成長戦略を描けます。

池本:
成長投資は未来のために行うものです。ROIC経営にこだわりすぎると、その当たり前のことを見逃してしまうかもしれません。事業によっては、ROICがいったん下がったとしても、投資を行って事業規模を拡大したほうが、将来的に利益を出せるようになります。

土田:
資本効率は事業を評価するうえでの1つの側面に過ぎません。特に成長を期待する事業に資本効率性を求めすぎると、成長を阻害することになりかねません。事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけ、それぞれの事業の将来像を考え、意識すべき指標や目標値を設定する必要がありますね。

池本:
ぜひ3年後、5年後の事業ポートフォリオを作ってみてほしいと思います。想像で構いません。過去でも現在でもなく、未来に最適化して施策を打つことが、企業に成長をもたらすでしょう。

主要メンバー

土田 篤

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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池本 勝紀

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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舟引 勇

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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