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PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)のPublic Services(PS:官公庁・公共サービス部門)は、多様な領域に対応する専門性を有する15のInitiativeチームから構成されています。この連載(全10回)では、テーマごとにさまざまなInitiativeからメンバーが集まり、よりよい社会をつくるために、社会課題解決へのアプローチや、新たな価値創出のアイデアなどについて語り合います。
最終回はPSのパートナー3名が登場。これまでの連載を振り返り、改めてPSのミッションやユニークさについて意見を交わし、今後どのような価値を創造していきたいかを語りました。
(左から)作佐部孝哉、宮城隆之、南出修
宮城 隆之
PwCコンサルティング合同会社 パートナー
官公庁・公共サービス部門リーダー。運輸・物流や人材サービス、不動産など社会インフラ系企業も公益性の高い事業として官民一体のコンサルティングサービスを提供。約30年にわたり、製造、流通、自動車、通信、物流など多岐にわたる民間コンサルティングの経験を有し、2018年より官公庁・公共サービス部門のリーダーを務める。
作佐部 孝哉
PwCコンサルティング合同会社 パートナー
官公庁チームのリーダー。経産省、厚労省、文科省を中心に、政策立案の支援(調査研究、制度設計、政策提言)から政策実現支援(PMO)まで、日本の課題解決に資する案件を数多くリード。政府・中央省庁のアドバイザーとして、300を超えるプロジェクトで統括責任者や有識者委員を務める。出版・講演の実績も多数。
南出 修
PwCコンサルティング合同会社 パートナー
サービスインフラストラクチャチームのリーダー。20年以上にわたり、大手製造業、流通・サービス業を中心に、戦略策定、基幹システム導入、業務改革・改善、J-SOX/IFRS導入、ガバナンス強化など、幅広いテーマのコンサルティング業務に携わる。近年は、公共性の高いサービス(人材、運輸・物流、不動産など)を提供する業界を専門とするサービスインフラストラクチャチームのリーダーとして、国民一人ひとりの生活をより豊かにするために複数業界が連携し、さまざまな社会課題を解決するための触媒になることを目指している。
宮城:
PSには官公庁とサービスインフラストラクチャ(SI: Service Infrastructure)の2つのチームがあり、私はその2つを統括しています。PwCのパーパスである「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」を実現するために、PSは政策の立案から社会実装までを担い、課題解決における「扇の要」となる存在だと考えています。
同時に、日本が抱える重要な課題を解いて、人々のQOL(Quality of life:生活/生命の質)を向上させることをミッションとし、公共セクターに限らず国内外のあらゆるステークホルダーをつなぐことでインパクトの最大化や、経済成長と社会・環境価値の創出を目指す部門です。Public Servicesと言いながらも公共セクターを支援しているというより、公共セクターを巻き込んで新たな価値を創出することを支援しています。
日々、産官学のあらゆるステークホルダーと接していて感じるのは、立場によって社会課題の捉え方が異なるため、共通のゴールを設定する難しさがあるということです。私たちコンサルタントが果たすべき役割は、立場や目的が異なるステークホルダーに対して課題を翻訳して伝え、関係者同士を同じフィールドに集めて行動を促すことだと考えています。
作佐部:
加えて意識しているのは、何を追求する組織であるべきかということです。私がリードする官公庁チームだけにとどまらず、PwCコンサルティングは多数の優秀な人材を社会から預かっていると認識しています。だからこそ、その能力を企業の利益追求だけに使うことなく、複雑かつ解決困難な社会課題に役立てる組織をつくることは、パートナーの重要な責任だと考えています。
南出:
私がリードするSIチームは人材や運輸、物流、不動産などの生活インフラに関わるサービスを主な支援対象としています。コロナ禍で人々の行動制限が起きていた2022年初頭、「移動」の価値を再定義するために設立されました。鉄道や観光など、移動が限られたために大きくダメージを受けた産業があったこと、そして国民に閉塞感が漂い、豊かな生活をするのが難しくなったことがその背景にあります。
そこで、アフターコロナを迎えた際に、コロナ禍以前の社会に戻るのではなく、新たな価値観や産業のあり方を模索し、より豊かな生活を送れる社会づくりを業界横断で実現したいと考えてチームを結成しました。「働く」「暮らす」「余暇を楽しむ」という活動を自分の意思で選択できることは、豊かな生活に欠かせません。その要素の1つが、SIのテーマである「移動」だと捉えています。
宮城:
通常は単年度での成果を求められるコンサルティングファームの中で、中長期で課題を捉え、解決策を見出していくことが特徴です。長い視点でビジョンを掲げ、1つのプロジェクトが終わった後に、それが形を変えて次のプロジェクトにつながることも珍しくありません。
そのため、PSはアカウント(企業/官公庁別のセクター)だけではなく、社会テーマごとにイニシアチブというチームを形成しています。これもPwC コンサルティングの特徴の1つですね。今回の連載も、イニシアチブごとにテーマを設けてコンサルタントの対談を行ってきました。
宮城:
大きく4つあると考えています。物事を解釈してストーリーとして伝える「ストーリーテリング能力」、課題を議論するコミュニティを社内外でつくる「コミュニティ形成能力」、それを事業化できる「アントレプレナーシップ」、そして事業を大きくする「増幅する力」です。
いずれも、これまでコンサルタントの必須能力といわれてきた論理的思考などとは異なる素養であり、「暗黙知」をステークホルダーとともに共有できる「形式知」に変えていくことが求められます。また、産業を横断する難易度の高い事業を開発するには、事業を立ち上げる本人の強い意思、すなわちアントレプレナーシップが必須です。
作佐部:
自ら意思をもち、新しいアジェンダをつくる力は大切ですね。例えば、一昔前までは環境保全などの課題に対する企業の熱量は低かったのですが、いまは社会課題でありビジネスでもある。行動する人を増やすためにストーリーで語り、周りを巻き込んでビジネスを構築する力は、PSのコンサルタントに特に求められます。
南出:
EQ(Emotional Intelligence Quotient)と呼ばれる、他者への共感力や感情の取り扱い能力の必要性も高まっていると思います。宮城さんが挙げたコミュニティ形成などにおいては、時として「論理」と「感情」を使い分けることが求められます。PSが関わるステークホルダーは多岐にわたり、ロジックだけでは通用しない場面も多い。さまざまな相手に共感し、行動を促す能力を発揮することで、領域横断のコラボレーションを実現し、大きなインパクトを生み出せるのだと思います。
PwCコンサルティング合同会社パートナー 南出修
作佐部:
各テーマとも、さまざまな領域の専門をもつコンサルタントが独自の視点で意見し、それらを融合させて新たなアプローチを見出していました。いずれも上からパートナーが指示したものではなく、コンサルタントが自らの課題意識に基づき、内発的動機によって動いていることが感じられましたね。個々の思いが伝わる内容でした。
南出:
私も、コンサルタント一人ひとりが、誰かから与えられた意見ではなく、自分の原体験や考えに基づいた発信をしていると感じました。個人の価値観が多様化し、社会課題も複雑化する中で、多面的に物事を捉えることや、個人が強い想いをもつことは重要だと改めて思います。
宮城:
多様な専門性を持つコンサルタントが集結すると課題を多面的に捉えられますし、さらに別の専門領域のメンバーが解決策を見出す議論ができますね。
そして、誰もが同じプロセスで課題解決に導く時代は終わったことを改めて感じました。PSには、仕事とプライベートを完全に分けず、興味関心がある領域は生活でも実践しているメンバーが多くいます。内発的動機に基づいて仕事をしているからこそ、発信したことが相手に理解され、共感を生み出すことを実感させられた連載でした。
宮城:
1人のコンサルタントだけでは解決できないことが増えている時代ですから、コラボレーションは課題解決の大前提です。コンサルタントが専門領域を超えていかに連携し、課題解決に導くかを瞬時に考え、チームを組成することは欠かせません。
私がコンサルティング業界に身を置いた約30年前は、一企業の課題を1人のコンサルタントが解決する「一対一」の関係でしたが、課題が複雑化し、解決までのスピードも求められるようになりました。
さらに最近では、PwC Japanグループ内部だけでなく、近しい領域を事業としている他社とコラボレーションする事例も見られています。このような会社の枠を超えたコラボレーションが加速すると、日本のドリームチームがつくれますね。
作佐部:
同業他社だけでなく、クライアントとの関係性も変化しています。コンサルティングファームが価値を提供して対価をいただくという一方通行の関係ではなく、クライアントと一緒に価値を生み出したり、クライアントと一緒にその先の別のクライアントへ価値を提供したりするといったケースも増えてきました。
南出:
違う専門性をもつコンサルタントも交えてクライアントと議論すると、新たな発見を多く提供できますし、自分自身も純粋に面白いと感じます。これは、コラボレーションの明確な価値ではないでしょうか。
この文化が醸成されるまでを思い起こすと、印象的だったのは、15年ほど前にPwC Japanグループ内の監査法人の一部門がコンサルティングに出向し、一緒にビジネスを進めたことです。会計士とコンサルタントでは、仕事に対する考え方や能力、専門性も大きく異なります。こうしたメンバーが同じプロジェクトでクライアントの課題に向き合ったチャレンジは、今のカルチャーを生み出す源流になったと思います。かつては、組織を変えることで半ば強制的にコラボレーションを生み出していたのです。
作佐部:
複雑な課題を解決するときだけ必要なコラボレーションをすればよいと、ある意味「手段」と捉えている企業もあると思いますが、普段から専門領域を超えてコミュニケーションをとることで、コラボレーションをカルチャーの次元にまで根付かせることができます。クライアントからの依頼に対して、瞬時に躊躇なく最適なチームやメンバーで対応できる文化こそ、私たちの武器であり、強みだと感じています。
宮城:
私自身は、意見が一致していない人がコラボレーションをする場作りを意識してきたと思います。同じ考えの人たちだけではイノベーションは生まれません。考え方や専門性が異なる人たちの偶発的な出会いをつくることで、違う角度の議論が生まれ、イノベーションにつながっていくのです。
コラボレーション文化は、目の前の短期的な収益だけを考えるならば、遠回りに思えるかもしれません。今後、仮に当社の業績が落ち込むときがあっても、この活動を止めてはいけないと考えます。どのような局面においても、どのように大義をもってコラボレーションを続けるかは今のうちに考えておくべきことですね。
PwCコンサルティング合同会社 パートナー 宮城隆之
作佐部:
私自身は、毎年1つは新しい社会課題にチャレンジすることを自らに課しています。2024年は大橋歩パートナーと一緒にスタートアップ・中小企業支援のチームを立ち上げ、「中小企業×脱炭素」「ベンチャー×宇宙」「中小企業×M&A」など、いずれも領域を超えたコラボレーションによる取り組みを進めました。
2025年は、投資対効果が見出しにくい文化産業やコンテンツ産業に携わりたいと思っています。文化産業1つとっても、文化だけで課題が解決できるわけではありません。観光やスポーツ、テクノロジー、民間のエンターテインメント業界などとの連携が必要です。私たちが領域横断の取り組みをリードし、文化に新しい光を与えていきたいと思います。
宮城:
作佐部さんが挙げたテーマこそ、PSが扱うべきだと考えます。営利企業が扱う社会課題は、どうしても解決の道筋が見えているものに偏りがちであるため、短期的なリターンが得られにくい深刻な課題は取り残されてしまいます。そうした課題にメスを入れていくのが、私たちPSの役割だからです。
南出:
私は、人と人をつなぎ合わせることを積極的にやっていきたいと考えています。これまで仕事で関係をもった方々と築いた信頼貯金は、自分の財産であり、強みだと思っています。こうした信頼関係がある方々をつなげ、偶発的なイノベーションを起こし、新しい社会価値を生み出していきたいと思います。
具体的には、私が長く関わってきた人材サービス分野において、少子高齢化が進む日本の中で貴重なものである人的資本を軸に、産業を超えたつながりを生み出したいと考えています。
宮城:
私の役割は、各コンサルタントが新たなテーマを生み出していく場づくりです。そして、自分が想像する世界観を超えていくために大切にしたいことに、根気強さやネガティブケイパビリティがあります。前者は事業の成否を短期間で簡単に評価してしまわないこと、そして後者は自分が受け入れられない考え方をいったん受け止めることです。
いずれも、その瞬間は違和感を抱く営みですが、各コンサルタントが自分の中にある常識をアップデートしていくためにつくりたいカルチャーですし、この違和感を受け入れることは、今後の時代において必要なリーダーシップだと考えています。
作佐部:
クライアントとともに未来を描き、ナビゲーションしていく役割を担っていきたいと考えています。いまや経営課題は、社会課題とも限りなく重なってきています。特定の業界に閉じて考えることなく、産業横断的に産官学をつなぎ、長期的な視点で課題を考える先導役は、国や官公庁と近い私たちPSが貢献しやすい領域と考えています。より良い社会を次の世代に残していく活動を、誇りをもって推進していきたいですね。
PwCコンサルティング合同会社 パートナー 作佐部孝哉
南出:
自ら最前面に立って、リスクに晒されながらも率先して社会課題を解決し、インパクトを発揮していきたいと思います。リスクを取らずに後方支援だけをするというコンサルティングファームへの悪しき印象を変える意味でも、私たちが思い描く世界を実現するために、クライアントを巻き込んでいくという姿勢が必要です。
宮城:
課題解決に向けてあらゆるステークホルダーと伴走するバックボーンを担うのが私たちの役割です。今後も、金銭的な価値だけでなく社会のインパクトを増幅させることに向き合っていきたいと思います。
インパクトとは、あっと驚かせるものを一瞬で生み出すことではなく、現実は泥臭い活動の積み重ねです。現場の経験がなければイノベーションは起こせませんから、コンサルタント全員が現場の感性を持つべきですし、活動の成果が出るのはかなり先のことになるでしょう。もしかしたら、努力の成果は自分の世代では花開かないかもしれませんが、一歩を踏み出して続けることに意味がある。そうしたタイムラグがある活動に対して向き合い続け、それを評価する会社でありたいと考えています。
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