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コラム「子どもの権利」シリーズ第9回:医療的ケア児
「医療的ケア児」をめぐる現状や、その支援に取り組むために地方公共団体が直面している課題などについて紹介します。
2022-08-24
児童虐待件数は増加の一途をたどり、医療機関からの通告件数も年々増えています(図表1参照)が、その割合は全体のごく一部にすぎません。通告経路別の児童虐待相談対応件数を見ると、医療機関からの通告で児童虐待が発見される事例は全体の1.7%(2020年度)と、かなり低いのが現状です。医療機関における子どもへの医療は、保護者の承諾・受診の意思がなければ提供できず、医療機関だけでは児童虐待の早期発見・早期対応が困難といえるでしょう。
この状況について国としても対策を進めており、「児童虐待防止対策の抜本的強化について」(2019年3月19日児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議決定)において、医師などの医療関係者と児童相談所や市町村・要保護児童対策地域協議会における情報共有や研修などによる連携体制を強化することが示されました。
また、「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」(2019年6月26日法律第46号)の附帯決議では、地域の医師会等と協力して研修等を実施するなど医師等の児童虐待対応の向上に努めること、児童虐待の発見のため必要な知識・技術を十分に有する医師、歯科医師、助産師および看護師の確保、養成に努めることが明記されました。
2010年の改正臓器移植法の施行によって、小児の臓器移植が可能となり、臓器提供病院は、「虐待防止委員会等の虐待を受けた児童への対応のために必要な院内体制の整備」および「児童虐待の対応に関するマニュアル等の整備」をすることが法律で努力義務となりました。これに伴い、医療機関において病院内子ども虐待対応組織(Child Protection Team:CPT)の設置が進んでおり、現在では、臓器提供病院以外の医療機関でもCPTを設置することが多くなっています。CPTでは、小児科医、医療ソーシャルワーカー、救急外来看護師、小児科看護師等が中心メンバーとなり、児童虐待に対して組織的な対応を行っています。
当社が2020年度に実施した「児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷事案への対応に関する調査研究」では、児童虐待が疑われるケースにおいて、医療機関における保護者への問診・カルテ記載時の留意事項をまとめています。また、医療と福祉の連携という観点では、頭部外傷を含む重篤な事案の場合は、医療機関のCPT会議に、通告前の段階から児童相談所職員や市区町村職員を招いて、通告をその場で行っている連携事例も見られました。
さらに、当社が2020年度に実施した「医療機関における被虐待児童の実態に関する調査」によると、CPTの月次定例会議や臨時会議等で対応方針を決めていますが、医療と福祉の連携においては、児童相談所職員に医療の知識が不足していることから、認識のギャップが課題といわれています。今後は、児童相談所職員の医療知識習得に加えて、医療機関においても児童虐待に関する知識を習得していく必要があると考えられます。
CPTの設置状況に比べて、児童虐待に関する医学の知識や技術を十分学び、専門レベルの対応が可能な医師は少ないのが現状です。2020年度から医師の臨床研修の必須項目に「虐待への対応」が加えられたものの、医療従事者の児童虐待対応に関する知識や対応力の向上が望まれています。
当社が2020年度に実施した「医療従事者のための児童虐待初期対応研修の在り方に関する調査研究」では、虐待対応の経験が少ない医療従事者が、日常の診療の中で虐待の可能性に気づき、関連機関に対して適切に行動できるようになることを目的とした研修コンテンツを作成しました。研修コンテンツの対象として、医師、看護師、医療ソーシャルワーカーのほか、新たに歯科医師、歯科衛生士、歯科助手や子どもと接する機会の多い医療従事者を追加しました。2020年度の調査研究の中でモデル研修を行ったところ、この研修コンテンツが日常の診療に生かせそうだと感じた受講者が7割、さらに虐待対応について学んできたいと感じた受講者が9割であり、虐待対応知識の習得につながったと考えられます。
今後、当社が作成した研修コンテンツが、医師会、歯科医師会および関係学会等から周知され、医療従事者に広く利用されることで、虐待対応力の向上につながり、医療従事者が虐待の早期発見・早期対応の入り口になることが期待されます。
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