COVID-19: ホテル業界への影響

2021年9月

ホテル業界が直面する現状と今後取り組むべき課題について

観光・ホテル業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け、大きな困難に直面しています。特に宿泊需要への影響は深刻で、ホテルの稼働率が著しく低下している状況が続いています。

PwCでは四半期単位で直近のホテルの宿泊需要の動向や今後の見通しについて見解をとりまとめたレポートを発行しており、ウェブサイトで最新版を公開しています。

COVID-19の感染が再拡大し4回目の緊急事態宣言が発令された2021年7月までの宿泊需要の動向や需要回復に向けて鍵を握るワクチン接種の情報を整理するとともに、コロナ禍の長期化によるホテル業界の動向と今後の見通しについて考察します。

サマリー

  • 2021年7月よりデルタ株の急拡大を受けて4回目の緊急事態宣言が発令されたが、主に東京オリンピック・パラリンピック関係者による宿泊需要の高まりにより昨年末水準まで回復。一方、8月以降も新規感染者数が2万人を超える日が記録されるなど感染拡大傾向が続いており、当面は本格的な需要の回復は見込みづらい。
  • 国内におけるワクチン接種は急激に進展しているが、デルタ株の蔓延やワクチン先進国におけるブレークスルー感染(ワクチン接種後の感染)も見られていることからコロナ終息に向けた懸念が残る状況。ワクチン接種による感染予防・重症化予防を高めていくことと同時に、治療薬の普及がコロナ終息の鍵になると思料される。
  • 政府や金融機関の支援により、業界での倒産件数は低位で推移しているものの、コロナ問題の長期化により、各社の財務体質は悪化(利益剰余金や自己資本比率の低下)を続けている。借入金は大幅に増加していることから、アフターコロナにおいては、収益力の強化が最重要課題となる見込み。
  • コロナ禍の長期化に伴い、ホテル業界が直面する課題はより深刻さを増しているが、ホテル業界が対応すべき本質的な課題自体は大きく変わっていない。コロナ禍を生き残るだけではなく、アフターコロナにおいて持続的な成長に向けて取り組むためには、経営力、人材力、および自社の事業モデルの再定義が重要になると言える。

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主要メンバー

澤田 竜次

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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