これからのデータ利活用 - DFFTがもたらすデータ流通の可能性と課題

  • 2023-08-28

連載コラム「これからのデータ利活用を考える」では、データ利活用において近年トレンドとなっている「データ流通」をテーマに、その可能性や企業が考慮すべきポイント、取り組むべきことについて解説します。第1回となる今回は、データ流通の概念、そして今データ流通が注目されている理由について説明します。

データ流通を巡る世界の状況

さまざまなステークホルダーを巻き込んだデータ流通の実現を後押しすべく、世界各国においてデータ戦略の枠組みづくりが進んでいます。データ戦略とともに法規制による整備、制限をかける動きも見られますが、歴史的背景もあり、データを巡る整備、制限は各国でバラバラの状況です。

DFFT発信国である日本はコロナ禍の影響もあり、データ流通においては「国・自治体のデジタル化が進んでいないこと」や「データ利活用環境の整備や実際のデータ利活用が十分に進んでいないこと」が課題として明確になっています。そのため国内省庁や関連団体では、ルールやガイドラインの策定や基盤構築などの課題解消に向けた具体的なアクションを進めています。

図表3 各国のデータ流通戦略やスタンス

下記出典をもとにPwC作成
*1:経済産業省 「デジタル時代におけるグローバルサプライチェーン高度化研究会 サプライチェーンデータ共有・連携ワーキンググループ」第1回事務局資料(https://www.meti.go.jp/shingikai/external_economy/global_supply_chain/supply_chain_data/pdf/001_05_00.pdf
*2:内閣官房 包括的データ戦略(2021)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/information/field_ref_resources/576be222-e4f3-494c-bf05-8a79ab17ef4d/210618_01_doc03.pdf

今後はデータ流通が身近になっていく

本稿では、データ流通の概念およびそれが注目されてきた背景について解説しました。これまでのデータ利活用は、既存の事業や業務などを通じて社内に蓄積された「自社データ」を活用することに主眼が置かれていましたが、今後は「DFFT」「Society 5.0」「包括的データ戦略」などの概念、方針がより一層発信され、自社内だけに留まらない「外部データ」を利活用できる機会がますます増えてくると推察されます。

執筆者

辻岡 謙一

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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宿院 享

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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