VUCAの時代にJTが再定義したパーパスとは?「心の豊かさ」に貢献し続ける経営とテクノロジー戦略

2024-09-05

1年先はおろか、半年後、1カ月後に何が起こるのかさえ予想できない「VUCAの時代」。そのような先の見えない時代を漂う企業は、何をよりどころにして未来に進むべきなのか?日本たばこ産業(JT)は、「心の豊かさを、もっと。」という新たなグループパーパスを羅針盤とし、生成AIなどの先端テクノロジーを活用しながら、社会により良い価値を提供し続けようとしている。

「変化は敵ではなく、チャンス」という発想を

下林氏は、「社員一人ひとりが心豊かなFuturistとなり、『心の豊かさを、もっと。』というグループパーパスに沿った未来をそれぞれに創り上げてくれることが理想」だと話す。

このJTの取り組みについて、PwCコンサルティングの三治は、「個の力を高め、ミッションやパーパスの下で個と個がつながり合う『ティール組織』の構築を実践されているように感じます」と語る。

「個のパワーを増強するには、すべての活動をガバナンスやルールで縛り付けるのではなく、新しいテクノロジーを積極的に活用できるように許容範囲を持たせることも重要です。ミッションやパーパスが許容範囲の外枠となり、目指すべき方向を緩やかに指し示すわけです」(三治)

数ある先端テクノロジーの中でも、JTが目下、社内普及に力を入れているのがAIだ。

「まずは、社員がAIになじみ、業務への活用を考えることができる状態になることが重要です。すでに機械学習ツールやRPAは社内で利用可能になっており、23年3月には、生成AIをセキュアな状態で利用できる『JT Group AI Concierge』を社内リリースしました。生成AIを使った業務変革の社内公募も実施し、現在50件ほどの実証実験が行われています」(下林氏)

生成AIの基盤整備や実証実験については、PwCコンサルティングの支援を受けているという。

同社の三善は、「未来がどうなるのかを完全に予測するのは難しいものですが、生成AIは変化の予兆を察知するツールとしても活用できるはずです。JTのように、多くの社員がAIや生成AIを使いこなせるようにすることを目指せば、変化にも対応しやすくなるのではないでしょうか。『不確実性をエンジョイ』することで、『変化は敵ではなく、チャンスなのだ』という発想も生まれるかもしれません」と語る。

また、AIや生成AIに限らず、あらゆる最新テクノロジーのトレンドを常に捉え続け、変化に対応するための武器として使いこなすことも、これからの経営においては不可欠だ。

三治は、「最新テクノロジーへの投資は、継続し続けることが重要です。短期的には成果が表れなくても、続けることで、長期的には必ず業績や企業価値の向上につながります。PwCは、今後10~20年間に社会実装と普及が見込まれ、大きな社会インパクトをもたらす革新的テクノロジーとして、脳科学、量子技術、食品変革、宇宙関連技術、エネルギー変革の5つを選定しています。これらの領域についても、時代を先取りして、継続的な投資を行っていくことを提言したいですね」と語る。

PwCは、企業がこれらの最新テクノロジーを採り入れ、生産性向上のみならず、「新たな価値創出」や「新規事業創出」を実現するためのDX支援も行っている。

パーパスを土台としながら最新テクノロジーを積極的に活用していくことが、「変化に強い企業」になるための条件と言えそうだ。

生成AIに関するPwC Japanグループの提供サービス。「事業化支援」「社内導入支援」「リスク管理支援」の3つのサービスを提供し、クライアントの生成AI利活用を支援する

※本稿は、日経ビジネス電子版に掲載されたPwCのスポンサードコンテンツを一部変更し、転載したものです。

※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時のものです。

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主要メンバー

三善 心平

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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三治 信一朗

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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