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2021-10-11
20年前の2001年。コンサルティングファームに勤めているAさんは、どのような1日を過ごしていたのでしょうか。
2000年は「IT革命」という言葉が流行し、情報通信産業の大きな構造転換が始まった時期でもあります。2000年末に34.0%であったインターネットの世帯普及率が、2001年末には60.5%、その翌年には81.4%まで急増しており、私たちにとってインターネットが身近になった時代とも言えます。
近年ではテクノロジーの進化もあり、テレワークが当たり前になりつつあるコンサルティングファームですが、2001年には現在のテレワークを支えるうえで不可欠な高速かつ安全なネットワークも、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末もありませんでした。入社時に貸与されたデジタルツールは、通話機能のみをもつモバイル端末であるPHSと重厚感のあるノートPCだけでした。
働き方も、オフィスでクライアントや同僚と顔を合わせて働くことが当たり前で、資料は紙で印刷してクライアント先に持参。成果を出すためには昼夜問わず働くことが当然といった雰囲気がありました。
デジタルツールも働き方も全く異なる2001年、当時のコンサルタントにとっての「デジタル」とはどのような存在で、オンとオフにどのような影響を与えていたのか、Aさんの1日を見ながら振り返ってみましょう。
※本稿はインタビューを元にしたフィクションです。
誕生日:1972年10月10日(29歳)
出身校:小学校時代を海外で過ごし、帰国後、都内の大学を卒業
勤務先:外資コンサルティングファーム(1996~)/シニアアソシエイト
大学卒業後、外資コンサルティングファームに入社。5年目。史上最年少パートナーになるのが目標。主に製造業のクライアントを担当しており、出張が多く、週の大半を地方のビジネスホテルで過ごしている。支給されたPHSとノートPCを駆使して24時間365日、寝る間も惜しんでクライアントのことを考えて、成果を上げるためならプライベートがなくなることもいとわない。対面至上主義 であり、足繁くクライアントの元に通うことを最も重要視している。
日夜クライアントのことを考え続け、底知れぬ体力と知力で圧倒的なバリューを生み出す。仕事中心の生活。デジタルはコンサルタントのバリューを支えるツールの1つ。
6時:起床
地方のクライアント先に常駐しているため、ビジネスホテルから1日が始まることが大半です。クライアントの課題に対して、的確な仮説を立てて、納得感のある解決策を提示するには、現場のファクトをどれだけ押さえているかが大事なので、クライアントとの物理的な距離が近いに越したことはありません。朝の日課はビジネスホテルで朝食を取りながら経済紙の朝刊に目を通すこと。クライアントとの共通の話題づくりにもなります。
最近、麻布十番に引っ越したのですが、平日はほとんど自宅にいないので段ボールが全く片付かないことが小さな悩みです。
8時:出社
いつでも仕事ができるようにノートPCは肌身離さず持っています。出社時にカバンが重くなるのが玉にきずですが。資料をローカルに落としておけばいつでも作業できるなんて、いい時代になりましたよね。デスクトップPCしかなかった時代のコンサルタントは、どうやって働いていたのでしょうかね。
9時:始業
朝会ではプロジェクトメンバーが会議室に集まって、表計算ソフトで作成したToDoリストをプロジェクターで投影しながら今日のタスクを確認します。小さい会議室に多くのメンバーが集まるので、少し暑苦しさを感じてしまいます。
10時:資料作成
JM(Job Manager)にレビューしてもらった骨子を元に、週明けのクライアント幹部とのミーティングで使うスライドの準備を進めます。余談ですが、私の立てた仮説がJMに評価され、当該パートを私から説明することになりました。日夜クライアントのことを考え続けている成果ですかね。
12時:休憩
喫煙家のクライアントが多いので、お昼休憩の時間は喫煙所にいることが多いですね。いわゆる“タバコミュニケーション”です。学生時代は吸っていなかったのですが、上司やクライアントの影響で吸い始めました。普段のミーティングではできないフランクな話ができ、新たな案件につながったりもするので、一番大事な時間かもしれないですね。
14時:ミーティング準備
東京にいるプロジェクトメンバーにミーティングで使うドキュメントを送ってもらうのですが、ファイルサイズが大きいため5つのファイルに分割して送るとのことでした。アソシエイトには分割されたファイルを結合した後にドキュメントを印刷してもらいます。ここのクライアントは白黒ツーアップ両面印刷で左上留めがルール。地味な作業ですが、こういう雑務を素早く処理できる力も必要です。ドキュメントの製本の綺麗さもクライアントは見ていますからね。
余談ですが、先日オフィスのプリンターのステープラーが故障していて、500部近い資料を手でホチキス止めするはめになりました。アソシエイトと分担して作業しましたが、腱鞘炎になるわ、指は切れるわで散々でしたよ。
16時:ミーティング
クライアントから月曜始業時が期限の宿題をいただきました。ただ、クライアントの期待値を超えてバリューを出すのが私たちの使命ですので、当然、本日中に回答します。スピード感がクライアントとの信頼関係につながります。
18時:退社
今日は金曜日なので新幹線で東京に戻ります。ただ、今週期限の宿題をいただいているので、移動中に資料を作成します。同じプロジェクトのアソシエイトには隣に座ってもらい、レビューしながら戻ります。移動時間を仕事に充てないなんてもったいないですよ。
あと、これは愚痴になってしまいますが、出張が多いと宿泊費、交通費と経費精算が多くて面倒なこともあり、申請を忘れがちになります。領収書を集めて、申請書類を作成して、総務に提出して、と。バリューを生まない雑務の時間が減る仕組みができて、もっとクライアントと向き合う時間が増えればいいのになと、書類を作成しながらいつも思ってしまいます。
22時:終業
東京に着いたので、オフィスに戻りJMに資料をレビューしてもらいました。重要な資料のレビューは当然対面で行います。無事、承認をもらってクライアントに送付したので今日の仕事はこれで完了です。ついでに押印が必要な書類のハンコをJMにもらいました。東京に帰ったタイミングでしかもらえないですから。
これから同じプロジェクトのアソシエイトを連れて、飲みに行きます。明日は朝から昔のプロジェクトのクライアントとゴルフに行くので、ほどほどにします。
史上最年少でパートナーになるのが目標なので、仕事につながらないことには時間を割かないようにしています。ゴルフが好きなクライアントが多いので週末はゴルフに行くことが多いですね。クライアントの人となりを理解して、信頼感を持ってもらうにはオフでの交流が大事ですから。