
ドローンの運航における3次元空間情報の必要性
本稿では、ドローンの運航において3次元空間情報を共有することの価値や、そのためにはどのような取り組みが必要かについて述べていきます。3次元空間情報インフラによって、3次元空間情報の提供者が容易に参入できるようになれば、結果としてドローンサービサーの情報取得コストを削減する効果が期待できます。
本コラムの前編ではNFTの特性について解説し、活用の動向などについて振り返りました。後編では、NFTへの期待と、「信頼できるデジタル世界」への道筋などについて考察します。
1. NFTの特性
2. NFTの活用動向
後編
3. デジタル世界の課題とNFTへの期待
4. NFTを活用した「信頼できるデジタル世界」の実現に向けたロードマップ
インターネットは、さまざまなデジタルコンテンツへの自由なアクセスを可能にしました。しかしその反面、インターネット上でP2P取引を用いることで、音楽や動画など大量のデジタルコンテンツがインターネット上で著作権所有者らに無断で取引されるという社会問題を引き起こしました。これがきっかけで、DRM(デジタル著作権管理)やコピー防止技術が開発され、プラットフォーマーによる配信サービスでデジタルコンテンツを楽しむ仕組みが整えられました。
しかし、現時点でデジタルコンテンツはそれぞれのプラットフォームで利用できるだけで、プラットフォームを跨いで利用できるケースはほとんどありません。このため、購入したデジタルコンテンツが、プラットフォームのサービス停止により、利用できなくなるという問題がしばしば起きています。また、依然として違法に音楽や動画を配布するプラットフォームが存続していたり、海賊版や模倣版などが横行したりしており、デジタルコンテンツを生み出したクリエイターらに、適切に収益が還元されているとは言い難い状況です。
また音楽や書籍、アートなどの著作権者はこれまではほぼ一次流通の収益しか還元されませんでした。二次流通で作品が売れても、著作権者には1円も入らなかったのです。二次流通市場にも経済活性化など一定の存在意義はあるといえるでしょう。しかし一次流通と同様に多くの人々に価値を提供したにもかかわらず、著作権者に何も還元されないのは「公平でない」という見方もあります。
前編でも述べたように、デジタルデータはコピーが容易であるため、本物か偽物かの判定が難しく、なおかつ価値が徐々に低減し、最終的にゼロになる傾向があるため、著作物が正当な評価を受けることは困難です。また、コンテンツを配信するにあたってはプラットフォーマーに依存するケースが多いため、プラットフォームの管理者が破綻した際にデータが無効になったり、プラットフォームの経営状況に応じて管理者が恣意的にルールを変更したりするケースが問題となっています。
日本のデジタルコンテンツ業界は、前述の通りさまざまな課題を抱えており、日本が誇る上質なコンテンツを十分に海外展開できているとは言い難い状況です。
特定のプラットフォームに依存し、違法複製されやすかったデジタルコンテンツの権利移転をNFTによって追跡・記録すれば、異なるプラットフォーム間の移動や、制作者・販売者の二次流通より先での収益化も可能となります。
あらゆるデジタルコンテンツがNFTと紐づけば、正規コンテンツだけがサイロ型のプラットフォームを跨いで流通するようになることも期待されます。
また、クリエイターがNFTを活用し、ファンコミュニティを形成することで独自の個人経済圏を生み出せるようになれば、クリエイター自身の収入が増え、さらに良質なコンテンツが生み出されるという好循環がもたらされるかもしれません。知的財産(IP)ホルダーの企業も、二次流通以降の売買収益が還元されることでIPによる長期的な収益が見込めます。
プラットフォームを跨いでコンテンツを利用できるようになれば、ユーザーはコンテンツを長期間楽しめます。ユースケースの幅も広がって新たな市場が開拓されるとともに、デジタルコンテンツ市場全体が活性化するでしょう。
テクノロジーの進展により、今後、現実世界とデジタル世界は近づいていくと予想されます。実際にオンラインゲームを中心として、多くの人々と体験を共有できる仮想空間(メタバース空間)の利用が広がってきています。メタバース空間内のデジタルコンテンツとNFTを紐づける事例も登場しており、ユースケースがさらに広がれば、NFTはデジタル世界の「キーテクノロジー」となり得るでしょう。
一方で、NFT関連事業が成長し、広く一般消費者に受け入れられるためには、超えなければならない壁もいくつか存在します(図表7参照)。
図表7 NFTのさらなる拡大に向けた課題
1 | コピープロテクト | 所有証明のコピーはできないが、データ部分のコピーは可能 曲をNFT化して限定販売した場合、購入者は正当な所有証明を得て第三者に権利主張可能だが、その楽曲の音源部分について、購入者以外によるコピーデータ流出を防ぐには、他の技術・仕組みが必要。鑑定書付き限定販売レコードがあっても、その再生音源の流出は防げないのと同じ。コピー不可というのは、あくまで利用価値ではなく収集価値、コレクション性を守るという性質に過ぎない。 |
2 | 利用価値の持続性 |
所有証明だけが残ってデータが使い物にならなくなる可能性がある 鑑定書付きのレコードを持っていても、再生機やレコードの消失リスクは残る。つまり、Blockchain上にNFTが存在し、その所有証明は所有者に帰属するが、本質的な利用価値は消失するリスクがある。トレーディングカードでは、運営(カード発行会社)が倒産してもカードを持ってさえいればルールを知る誰かと遊ぶことも可能だが、NFTゲームはプラットフォームが無いと遊べなくなる。 |
3 | 法律・規制 | 事業者の遵守すべき法規制が曖昧で未整備 現状では、NFTは有価証券や暗号資産とみなされず、取引・取引の媒介サービス・保管サービスの提供などにおいて、金融ライセンスを必要とすることなく事業化されるケースが一般的には多いが、NFT個別の関連規制がまだ存在しない中、NFTの使用用途次第では既存の関連規制(金融規制含む)に該当するリスクがあり、個別に検討が必要。 |
4 | UXの浸透 | ユーザーに多くの責任を委ねるUXの特異性に注意が必要 ユーザは暗号資産取引所で暗号資産(仮想通貨)を購入し、その暗号資産を自身のウォレットへ移した上で、マーケットプレイスへ暗号資産を支払い、入手したNFTもウォレット上で保管する必要がある。アドレスや秘密鍵といった暗号資産やブロックチェーンに関連する知識を要求されることもあり、さらに操作ミスに伴うリスクもユーザが負いやすい。 |
5 | リアルとの紐づけ | 現実世界における資産の所有権の証明とはならない 既存のブロックチェーン技術と同様、あくまでデータレイヤーの所有証明・真正性を担保する技術であり、現実世界の資産の所有権・真正性と紐づけるには、IoTデバイスなど他の技術との連携が必要。 |
これらの課題を克服しつつ、データ秘匿化、スケーラビリティ、相互運用性などのブロックチェーン技術、UXといったテクノロジーがさらなる進化を遂げ、法令の整備、社会受容性の向上などの条件が整えば、既存IPのNFT化やファンによるエコシステムの形成、メタバース空間利用などのユースケースがさらに増え、NFTを活用した「信頼できるデジタル世界」が実現するでしょう。
本稿では、ドローンの運航において3次元空間情報を共有することの価値や、そのためにはどのような取り組みが必要かについて述べていきます。3次元空間情報インフラによって、3次元空間情報の提供者が容易に参入できるようになれば、結果としてドローンサービサーの情報取得コストを削減する効果が期待できます。
3次元空間情報基盤による地理空間情報の連携機会が拡大することで、様々な処理の自動化・作業品質を向上させることが期待されています。
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