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2022-01-25
2021年6月4日に「航空法等の一部を改正する法律」が成立し、飛行リスクの程度に応じた新しい飛行規制が導入されました。レベル4飛行(有人地帯における目視外飛行)が可能となるよう、リスクベースの3段階の飛行規制が創設され、操縦者技能証明制度や機体認証制度などの導入が決まりました。この法改正は国内外におけるさまざまな領域での実証を通じて明らかになった課題およびリスクとその対応策についての知見に基づいており、一律にドローンの活用を規制する黎明期の段階は既に脱し、重視すべきリスクとその対応が明らかにされつつある段階にあると考えられます。
ドローン活用の初期段階ではコスト削減や新規事業創出といったドローンの効果創出に向けた取り組みが注目されがちですが、ドローンの活用が進むにつれて、それに伴うリスクとその対応策の重要性が一層注目を浴びるようになると想定されます。
ドローン活用のリスク対策を検討する際に、多くのリスクシナリオを洗い出し、シナリオごとにリスク対応策を導出するというケースが散見されます。
しかし一口にドローンと言っても機体・デバイスは多岐にわたり、活用に関与する人材が複雑に関わり合うことから、リスクシナリオを洗い出し、その影響を評価するにも限界もあります。従ってシナリオベースではなく、回避すべき損害ベースでリスクを整理し、効率的にリスク対応策を設計・実装することが重要となります。そうすることで回避すべき損害の重要度に応じてリスク対策の優先度を評価することができ、実現性のある総合的なリスク対策が可能となると考えます。
想定される損害ベースでリスク対応策を設計することが極めて重要になるため、リスク対応策は大きくは「対応策の手段」(人手vs技術)とその「位置づけ」(予防vs影響抑制)の2つ軸で分類することができます。
安全性を担保するにあたっては、技術の高度化に基づく予防策が重視されがちです。しかし、飛行性能、耐空性能といった性能向上の取り組みをどこまでも進めていったとしても、ドローンの墜落を100%回避できるわけではありません。それだけに、見落とされがちな「人手×影響抑制」の分類に紐づく、リスク顕在化時における関係者とのコミュニケーションプランの策定と実行が、より重要なリスク対策となると見込まれます。
特に機体の墜落によるけが人の発生、重要建築物への損害発生といったリスクが顕在化した場合において、被害者、自社従業員、株主、関係省庁、マスメディアなどとのコミュニケーションが適時適切な内容で行われないと、当該企業に対する社会からの信用やブランド力が低下するだけでなく、関係者が長い期間をかけて醸成してきたドローンの活用機運が減退し、ドローンの市場規模が一気に停滞・収束してしまう可能性もあります。
ドローンについては、上空を飛行し、カメラをはじめとするさまざまなアタッチメントを使うことで幅広い用途で活用可能であるという特性上、他の先進テクノロジーと比較しても活用リスクが高く見られる傾向があります。ドローン活用に伴うリスクが顕在化した際には、コミュニケーションを含めたリスク対策を計画に沿って迅速に実行に移すことが極めて重要となります。そのためには、ドローンの活用リスクを俯瞰的に捉え、適切な対策を企画し、着実に実行させるリーダーの存在が不可欠です。その役割に責任を持つリスク対策のリーダーとしてDrone Control Designer(DCD)を社内に配置し、明確にその取り組みにコミットさせることがドローンのさらなる活用にあたっての必要条件になると考えられます。