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2022-04-19
メタバース(仮想現実)を使ったソフトスキル研修は受講者を惹きつけ、学習にかかる時間を短縮し、費用対効果を高められることが明らかになってきています。前回紹介した通り、PwCがマネージャーを対象に行った、講義(対面)、eラーニング(オンライン)、メタバース空間を活用する(ここではmラーニングと呼ぶ)の3種類の研修形式の利点を評価する調査では、主に以下の結果が導き出されました。
このようにメタバースを使った研修には、eラーニング形式や講義形式のコースに比べて明らかな利点がいくつかあります。企業は全ての形式について長所と短所を比較・検討した上で結論を出すべきですし、研修テーマや予算、受講者数に応じて複数のタイプを同時に採用する選択肢も十分あり得ます。今回は全3回のまとめとして、メタバースが今後、企業研修でいかに用いられるようになるのかについて、上述の調査結果をもとにした私たちの考えを紹介します。
今のところ、mラーニングが講義形式やeラーニング形式の研修に完全に取って代わることはないと考えられます。各講義形式に利点があり、一つの講義形式のみを採用することは、受講者の利便性に鑑みるとマイナスの影響が出てくると考えられるからです。ただ、ほとんどの企業がここ数年の間に、融合型の研修カリキュラムを構築し、そこにメタバースを組み入れると私たちは考えています。
メタバースの特徴と言えば、没入感でしょう。メタバースヘッドセットを付けてバーチャル空間に入り込むことで、受講者の集中度は他の研修形式と比べて格段に高いものになります。受講者はmラーニング上のカリキュラムである演習を通じて、多様なものの見方を会得しやすくなり、かつ現実世界で自分と異なる見解を持つ人と相対しても、対応しやすくなると考えられます。これにより、他者とのより意義深い関係構築も期待することができるでしょう。
PwCの場合、マネジメントとスタッフ双方を対象とした、プレゼンテーションをはじめとする提案のスキルを磨く、メタバース形式のソフトスキル研修を開発しました。受講者には、仮想世界に存在する企業のCEOにビジネス案件を提案するチャンスが与えられます。提案が平凡な内容だと、バーチャルCEOから帰るように言われます。逆に、スキルを発揮してCEOに「この提案には価値がある」と感じさせられれば、最後に「バーチャル契約」を獲得できるというものです。課題解決に向けたビジネスの専門知識、人間を中心としたユニークで新しいエクスペリエンスのアイデアの創出、品質を落とさずに生産性を高める最適なテクノロジーの活用というPwC独自のアプローチ(BXT)を研修の基礎に組み込むことで、他と差別化された研修を実施・提供していきます。できればチームメンバー全員がこうした研修を受講し、その後のフォローアップディスカッションを通じて、学んだスキルを業務にどう応用するかについて意見を出し合い、集約することで、研修の効果を最大化することができると考えています。
メタバーステクノロジーがシンプルであることも、社内で大規模に導入すべき理由の一つです。今回の調査では、大量のメタバースヘッドセットの提供、設定、管理を極めて少人数のチームでこなすことができました。今回の成功事例から判断すれば、全従業員が勤務初日に、必需品であるPCと併せて個人用ヘッドセットを支給される日も、想像に難くありません。それこそが真に新しい働き方でしょう。
メタバースは、今や未来のテクノロジーではありません。すでに実用化され、多くの企業が導入に向けて試行錯誤を重ねています。メタバースを導入すれば、これまで述べてきたとおり、対面講義形式やeラーニング形式の研修より短時間で従業員に自信を持たせ、かつ楽しみながら学習してもらえる可能性が大いにあります。
ソフトスキル研修におけるメタバースの活用は、PwCに大きなメリットをもたらしつつあります。このテクノロジーが貴社に適しているかどうかを判断するには、実際に体験すること、つまりメタバースを用いてみて企業と従業員の両方にメリットがあるかどうかを確認してみることが重要です。メタバースは現時点では最先端の研修手法と見なされますが、今後は導入・運用コストが下がると考えられます。
多くの企業が活用し、成功事例が積み重なっていけば……。もはや研修活用に留まらず、ビジネス全体に変革をもたらす選択肢として人気が高まっていくことも、十分に考えられるのではないでしょうか。