エンタテイメント&メディア ダイアログ

新たな時代の幕開け

ドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンは、複製技術が進化した20世紀を「映像の時代」と評しました。今、私たちを取り巻くエンタテイメントコンテンツの環境には、20世紀の終盤から始まったデジタルインパクトにより、かつてない規模の大変化が起きています。もし今、私たちが何も行動を起こさなければ、進化論の基本原理である「自然淘汰」に直面してしまうかもしれません。後世の評論家たちは、これからの激動のエンタテイメント&メディア(E&M)業界を何の時代と呼ぶのでしょうか?

そのような厳しい競争環境下において、持続成長可能で健全な進化を目指すために、私たちはどうすればよいのでしょうか?表層的な変化にばかり目を奪われずに、今こそ、エンタテイメントの真髄、コンテンツビジネスに必要な不易流行を見極め、業界として解くべき課題を見定めることが大変重要となっています。

PwCでは全世界を対象に、20年以上前から「Global Entertainment & Media Outlook」と称する調査を実施し、世界各国で起こる消費者、広告主動向や業界構造変化についての有益なインサイトや新たな視点の提示、未来洞察等を続けており、日本においても数多くのE&M業界の企業に対するビジネスコンサルティングサービスを提供してきました。その経験と知見を生かし、本シリーズではE&M業界からさまざまなゲストをお招きし、対話を通じてE&Mの未来に向けたインサイトをお届けしていきます。

進化の多様性

エンタテイメントコンテンツは「時代を映す鏡」とも呼ばれており、作り手は興行面の成功を追い求めるだけでなく、作品面でも人の心を捉え、記憶に残る名作を生み出そうと日夜創意工夫をしています。一方で、消費者の反応をデータでトラッキングし、安易に消費者意識の取り込みを追い求めた結果、コンテンツがコモディティ化してしまったり、それにより見えたもの、見失ってしまったものがあったりするのではないでしょうか?作り手の使命として、時代を切り拓く創発性や新規性も常に求められています。

2025年以降、世界の労働力人口の75%がZ世代、ミレニアル世代となることで、社会の中核を担う彼らの価値観、コンテンツ消費行動などが他の世代へも大きな影響を与えることになります。また、日本の総人口よりも多い会員数を保持するグローバルメガプラットフォーマーがこの業界に与える影響力や、さらなる参入者によるコンテンツを取り巻くエコシステムの多様化が進むでしょう。さらに、作り手、送り手、受け手の境界が薄れ、それぞれの役割も変化し、コンテンツの選択権は今後ますます受け手側へシフトしていくことで、マネタイズ方法の工夫などにも対応が迫られる時代となっています。

共創に向けた対話

このような地殻変動を俯瞰し、3つの視点・視座から、E&M業界のトップランナーの皆さまとともに、輝かしい未来に向かうための本質的な対話を重ね、最適なムーンショットを描く、それこそがエンタテイメント&メディア ダイアログの趣旨です。

希望に満ちたエンタテイメント業界を盛り上げる一助になれば幸いです。

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