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2022-04-06
1.法人営業の現状
1.事業環境・足許の対応状況と課題
2.顧客の動向
3.課題解決のカギ
2.セールストランスフォーメーションの方向性
ヒトとソフトウェアの融合モデル
3.インサイドセールス概要
1.PwCの提唱するインサイドセールス
2.オペレーティングイメージ
3.テクノロジーを活用した営業力強化
4.期待効果
5.インサイドセールスの拡張性
4.検討アプローチ
1.顧客理解の高度化
2.非対面ビジネスモデル戦略の立案
3.顧客アプローチの実装化
5.まとめ
長引く低金利の影響で、国内金融機関の国内資金利益は逓減傾向にあります。加えて、規制緩和による異業種の金融業への参入もあり、サービス提供の競争が激しくなってきていることなどから、法人領域の事業環境は厳しい状況にあります。
このような環境下、銀行は旧来のストック型ビジネスから、ソリューションビジネスを強化したコンサルティング営業に転換を図りながら、顧客のカバレッジやリソースのアロケーションに取り組んでいます。
例えば、主要先・メイン先向け営業に対しては人員を厚めに配置し、コンサルティングに軸足を置いた営業モデルへの転換が進みつつあります。一方で、マス・一般層先向け営業においては、デジタル化の進展に合わせたチャネルシフト型の対応が主体になっています。投下できる人的リソースの制約や収益性などが構造的、かつ銀行共通の課題となっています。
そのため、銀行に対しては「金融仲介機能の発揮」「収益力の強化」「営業の効率化」という社会的役割を果たすことが期待される中、この3点のバランスをどのようにとりながら営業体制を再構築していくのか、その取り組みが試されているとも言えます。
マス・一般層向け法人営業の主な対応例と課題
顧客の動向に目を向けると、資金調達に加え、事業承継、ビジネスマッチング、DX支援などニーズは多様化しています。さらに、コロナ禍において行政による積極的な環境整備もあってデジタル化・DX化の機運が高まっており、顧客のデジタル化による生産性向上意識も高まりつつあります。これは、デジタル化・DX化を受け入れる素地が顧客側にも整いつつあることも示しているとも言え、各行は非対面ビジネスのビジョン・あり方を明確にし、それを実装化することで、他行との差別化を図る絶好のチャンスとして捉えるべきと考えます。
このような環境下で銀行が持続的に成長していくためには、デジタル化の動きやその影響を捉えつつ、事業環境の変化に柔軟に対応すべきです。そのためには銀行が蓄積するデータ・情報・ノウハウといった無形資産を有効活用し、営業モデル・組織設計・人材育成の変革を含めた、従来の延長線上にはないセールストランスフォーメーションを実現することが重要です。
PwCは、従来のチャネルシフト型の組織設計や非対面チャネルの構築にとどまることない、高度なアナリティクスによりデータが持つ価値、そこから得られるインサイトを最大限活用した、対面営業によるアプローチも織り交ぜた新しい営業モデルを提唱しています。このモデルにおいては、マーケティング機能と営業機能が効果的に融合することで生産性の大幅な向上を図ることができます。
このモデルは、以下のとおり6つの重要な要素により構成されており、その特性を融合させることでセールストランスフォーメーションを実現します。
顧客導線や提供コンテンツ、UI/UXを考慮したチャネルの設計により、対面営業と差別化した体験価値を提供し、そこから得られる顧客行動パターン・トリガーをもとに、効果的な顧客アプローチにつなげます。
デジタル・非対面の特徴を活かした1対Nの接点作りを常に意識し、効果的なコミュニケーション方法を組み合わせ、顧客との接触頻度や成約率を向上させるアプローチを設計・実践することで、収益の最大化を図ります。
営業担当者が全てを担う先発完投型から、マーケティング機能と営業活動をデザインする「管制塔」と、効果的な顧客アプローチに特化した「営業担当者」による分業型に転換していくことで生産性向上を目指します。
非対面でのデジタルアプローチによる“面”の広がりと、対面営業の強みを“点”として生かした接点を作り出し、面と点をつないだアプローチの最適化を図りながら顧客体験価値を高めます。
“ビジネス”と“データサイエンス”を掛け合わせたAdvanced Analytics活用し、顧客の特徴や行動パターンなどから得られるインサイトをもとにしたイテレーション(繰り返し)により最適なアプローチを導き出し、営業力の強化につなげます。
チャネルごとに事務が複線化することなく、クラウドバンキングソリューションを活用し、既存事務処理と連携・融合しながらSTP化(事務処理自動化)するなど、非対面でシームレスに手続きが完結する仕組みを提供することで、顧客利便性の向上を実現します。
一般的なインサイドセールスのモデルは営業活動の一部を担うケースが多いですが、それに対してPwCが提唱するセールストランスフォーメーションのモデルは、顧客を起点とした接点やセールスのあり方やアプローチをデータとアナリティクスで支えるTOM(ターゲット・オペレティング・モデル)として包括的に設計しており、戦略的なプロフィット組織として機能することを目指しています。
「ヒトとソフトウェアの融合モデル」を具現化するものとして、PwCでは顧客接点、営業モデル、組織設計、アナリティクス、各プロセスを高度に結合したエンド・ツー・エンドのセールストランスフォーメーションモデルを定義しています。
前章で紹介した6つの構成要素が有機的に連携し、それぞれが相互作用しながら、社会的な役割期待としての「金融仲介機能の発揮」「収益力の強化」「営業の効率化」の3点を両立させる新しい営業モデルのあり方を提言しています。
「マーケティング機能」と「営業機能」が融合したプロフィットセンター型の組織運営を目指しています。
「マーケティング機能」を担う“管制塔”と「営業機能」を担う“非対面営業担当”の具体的な活動内容は以下のとおりです。
顧客への具体的かつ効果的なアクションの設計と実装を担います。
営業力を強化し、持続的にビジネス価値を生み出す仕組みを創造的に設計する上で、AI技術を適切に活用することが求められます。そのためにはデータの活用と戦略的なビジネス視点が重要となります。
<データ活用の視点>
行内に蓄積されている属性・取引データのみならず、デジタル接点で得られる行動データをいかに有効活用できるかがポイントとなります。
顧客との接点・コンテンツ・顧客導線を考慮したチャネルの設計により、そこから得られるデータ同士をつなげて、線・面として顧客を捉えることが重要になります。その上で、顧客の特徴や行動パターンなどの理解度を深め、接点創出の起点となるトリガー精度や解像度を上げることを通じて、適切なアクションの導出につなげることが求められます。
<ビジネスの視点>
AIは必ずしも万能ではありません。そのため、AIを使うことを目的化しないこと、AIにできること・できないことを冷静に見極めることが必要です。目指すビジネス戦略を定義した上で、業務特性を踏まえたビジネスケース・シナリオをベースに、AIを前提としたビジネスのあり方をデザインしてくことが重要となります。
アナリティクスは、過去事象や原因の分析、将来予測分析の段階から、どのようなアクションが最適であるかを知る分析(処方的アナリティクス)が求められる段階にあると言えます。リソースが限られるなど制約がある中で、日々の営業活動に何がどのような影響を及ぼすかを見極め、さまざまな組合せの中から最適なアプローチを導出する環境を整備し、モデリングの高度化・自動化に向けて取り組むことが求められています。
提唱するインサイドセールスのTOM(ターゲット・オペレティング・モデル)、テクノロジーソリューションの機能・業務基盤を有効活用することで、法人以外の領域の業務特性にアジャストし、また幅広い顧客接点をカバーすることで、効率的かつ効果的なセールストランスフォーメーションの実現に貢献できると考えています。
各銀行の非対面ビジネスの戦略的位置付けや、これまでの取り組み状況・ステージに応じて、3つの視点からの検討をご提案、ご支援します。
図6:PwCの支援内容
支援テーマ |
想定される検討状況 |
支援内容 |
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①顧客理解の高度化 |
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②非対面ビジネスモデル戦略の立案 |
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③顧客アプローチの実装化 |
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本稿では、日本の銀行の営業モデルの現状と課題、今後のセールストランスフォーメーションのあり方について考察してきました。これまで長年にわたって最適化を進めてきた営業モデルを変えるには精緻な検討が必要であり、また実行には痛みも伴う可能性もあります。しかし、現在の厳しい経営環境下において競争優位性を獲得し、将来に向けた成長の足掛かりをつかむためには、今、そこにしっかりと取り組むことが肝要であるとPwCは考えています。