世界のIPO動向 2020年

2021-04-20

世界中の IPO による調達金額
世界中の IPO 件数
IPO 調達金額の地域別内訳

2020年世界の市場概況

混乱の2020年を終えて

2020年の幕開けは好調でした。米中の貿易関係改善に対する期待と企業業績の好調さを背景に、世界の各地の市場で史上最高値を更新しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大、各地の都市封鎖(ロックダウン)政策、経済への大きな影響により、ここ数年で最大級の市場暴落がもたらされましたが、その後、世界的な大規模な景気刺激策のおかげで株式市場は驚くほど急速に回復。そして第4四半期には、米国大統領選挙の結果と、COVID-19ワクチン開発に関するニュースをきっかけに、世界の数多くの主要株価指数が史上最高値を更新するまでに至りました。

2020年の世界中での株式発行額が初めて1兆米ドルを突破

このような不安定な市場背景にもかかわらず、2020年の世界の株式発行総額は史上初めて1兆米ドルを超えました。内訳は、米州が5,080億米ドル、アジア・太平洋が3,670億米ドル、欧州・中東・アフリカは1,930億米ドルでした。

米国と中国が市場回復とIPOを牽引

2020年春のIPO期間は、世界的なCOVID-19の感染拡大の影響で短く終わりましたが、株式市場の回復と相場変動の正常化に伴い、2020年後半には米国とアジアを中心にIPO市場は復調しました。特に、2020年のIPO案件の主要な原動力となったのは、テクノロジー企業、eコマース企業、ヘルスケア企業のIPO、および米国での特別目的買収会社(SPAC)利用の増加でした。また、ファンド支援によるIPO件数は、2020年は前年比で2倍以上に増加しました。

2020年世界のIPO統計

2020年に世界全体で1,415件のIPOがあり、総額3,313億米ドルを調達。いずれも2019年から大幅に増加しました(2019年:1,040件、1,992億米ドル)。

  • 全世界のIPO取引のうち、アジア・太平洋が52%、米州が36%を占めました。
  • 米州はアジア・太平洋と比較してIPO件数が少ないにもかかわらず、世界のIPOによる調達資金のうち57%(1,901億米ドル)を占めました。
  • 欧州・中東・アフリカのIPO件数は2019年に比べて30%増加しましたが、調達金額はわずか4億米ドル増加した程度に過ぎませんでした(ここでは、サウジアラムコが2019年第4四半期に実施した256億米ドルのIPOは除いています)。

世界中の公募・売り出しの件数は2019年を大幅に上回り、3,689件の取引により7,343億米ドルが調達されました。

  • 米国の公募・売り出し活動は2020年に著しく増加し、1,484件の公募・売り出しによって3,177億米ドルが調達されました。これは前年の2,163億米ドルと比べて47%の増加となりました。

詳細については、「Global IPO Watch - Q4 2020」(英語原文)をご覧ください。

世界中の IPO 件数

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主要メンバー

顧 威(ウェイ クウ)

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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坂元 新太郎

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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杉田 大輔

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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稲田 丈朗

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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