Industry Solution Garageと既存組織との連携が「望ましい未来」を創り出す

2023-07-26

2023年夏、PwCコンサルティング合同会社（以下、PwCコンサルティング）の大手町オフィスに新しく誕生したソリューション拠点「Industry Solution Garage」（ISG）。ISGはPwCコンサルティングが有する多数のソリューションを管理し、クライアントの課題解決のために最適なソリューションをスピーディーに提供するために設けられました。

本稿では、ISGの誕生によってクライアントに対してどのような価値を提供できるかをテーマに、同拠点の担当役員を務める上席執行役員・矢澤嘉治が各パートナーと議論した内容をご紹介します。モデレーターはISGの戦略管理リーダーを務めるマネージャー・岩本康隆が務めました。

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参加者：

Enterprise Transformation-Industry Solutions上席執行役員兼
Industry Solution Garage担当役員矢澤嘉治

専務執行役パートナー桂憲司

専務執行役パートナー松島栄一

Technology Laboratory上席執行役員パートナー兼
PwC Intelligence担当役員三治信一朗

Experience Consulting上席執行役員パートナー荒井叙哉

Future Design Lab上席執行役員パートナー三山功

モデレーター
Industry Solution Garage戦略管理リーダーマネージャー・岩本康隆

左から岩本康隆、三治信一朗、荒井叙哉、矢澤嘉治、三山功

5つの組織の連携で実現する提供価値について語る三山

5つの組織の連携が創り出す「望ましい未来」

岩本：
ISGを含めた5つの組織のコラボレーションにより新たに提供できる価値として、どのようなものが想定されるでしょうか。

三山：
以前から「産業をプロトタイピングできないか」という議論をよく社内でしていました。クライアントのニーズとして多いのは、異なる産業やエコシステムといった壮大な事柄を自らのビジネスに実装していきたいというものです。産業などの「試作品」を作り、さまざまな検証ができれば実現性を高められます。

5つの組織が、例えば製造業といった同じ対象にフォーカスを当て、未来、テクノロジー、人、現場など、それぞれの切り口でプロトタイピングすれば、それは産業全体のプロトタイプといえるかもしれません。

矢澤：
なるほど。PwCコンサルティングの各組織の特徴を生かせば、1つの産業に対してさまざまな角度から光を当てることができるようになるわけですね。

全社で推進するブループリント（青写真）提供のスピードアップという観点で言えば、ISGはクライアントが抱える現在の課題に対するブループリントを作ることができます。5つの組織が連携すれば、未来を含めて産業全体のブループリントをクライアントに提供できるようになります。

三治：
クライアントは広い視野で自身の置かれた状況や将来を検討することができるようになるため、自身が属する産業の可能性や、別の産業に事業を転換する必要性などにも気付けるかもしれないですね。

未来を見据えるからこそ足元で何が必要なのかが分かるようになり、足元をきちんと見るからこそ未来を見通せるようになる。過去から未来までを行き来すれば、おのずと解像度は上がっていくはずです。

三山：
経営層の方々から「なかなか明るい未来を描けない」という悩みをよく相談される、という話を前編でしましたが、ベンチマークする企業が世界のどこにも見つからなくなったことも理由にあります。「どこを参考にしても日本の望ましい未来につながらない。だから目指すべきものを自分たちで生み出すしかない」という雰囲気をとても感じています。

5つの組織の連携は、「望ましい未来」の創造にも貢献するはずです。

桂：
ISGには各組織の連携をオーケストレーション（指揮）する役割も期待しています。

具体的には、各組織で生み出されたアイデアをソリューションに昇華させ、スピーディーにクライアントに届けてほしいです。また、それによってISGが把握したクライアントの現場ニーズや、海外の反応を各組織に伝えることも大切です。

ISGが社内連携のキーとなることで、こうした「各組織→ISG」「ISG→各組織」というサイクルを回してほしいです。

岩本：
各組織や各リーダーの連携のサイクルが回ると、課題解決力はさらに高まりそうです。

今回の議論の場もそうですが、異なる組織のリーダーたちがフラットに会話を重ね、クライアントに対する新たな価値提供のためにコラボレーションしようという姿勢はPwCらしいカルチャーですし、大きな強みですね。

海外戦略におけるIndustry Solution Garageの役割

岩本：
「海外」の話が少し出ましたが、ISGがPwCコンサルティングの海外戦略において果たす役割について伺いたいと思います。

矢澤：
ISGでは、まずは製造業部門で蓄積してきた多岐にわたるソリューションを管理し、東京・大手町からクライアントへの提供を始めます。ただ、それだけにとどまらず、日本発のソリューションを海外にも広げることも計画しています。

少し具体的に話しますと、今後は東南アジアにもISGの拠点を設ける方針で、現地で事業展開する日本企業を支援したいと考えています。

桂：
東南アジアには多くの日系企業が進出しており、製造業の拠点もたくさんあります。ただ、地元企業と合弁会社を設立したり、地域統括会社や本社との間に複雑な関係性があったりと、ビジネスが動くにあたって企業内ではさまざまな力学が働いています。

そのため、現地法人の情報や課題が関係者間で共有できていないケースも多く見られます。そこでISGが具体的に目に見える形でソリューションを提供できれば、現地法人・本社・地域統括会社が同じものを見られるようになり、情報を揃えることができるはずです。その上で、それぞれの観点から見た課題や判断を共有すれば、各々の認識のギャップを埋めることができるので、大きな価値があると考えています。

矢澤：
具体的に目に見えるソリューションを示すことによって、異なる考え方や見方をしている人たちの方向性を整えるということは他にはなかなかありません。そうした方向性の「たたき台」を提供できるISGの役割は、すごく貴重ですし、重要だと思います。

松島：
日本の製造業のビジネスは、何十年もかけて培った業務プロセスの上に成り立っており、非常に複雑です。例えば現地の従業員を教育するに際して複雑な業務マニュアルを用いるため、スキルの習得になかなかつながらないケースが散見されます。日本のやり方を海外にそのまま適用するのではなく、なるべくシンプルなプロセスにする必要があります。

そこでISGがクライアントとともに大きな絵を描き、その上でプロセスの「引き算」をしながら、よりシンプルな形で現地に定着させていくことができればと思っています。そうすることでスピーディーに複数の拠点に横展開でき、短期間でビジネスを広げることができます。

ISGにはこうした単純化した展開モデルを作ることも期待しています。各国のPwCも日本の先端的なソリューションを理解しやすくなり、相互協力が進むことでクライアントの期待に応えられると考えています。

矢澤：
ISGは国内の事業戦略だけでなく、海外戦略の観点からも重要な意味合いを持ちます。その戦略管理担当を担うのが、本日のモデレーターを務めている岩本さんで、本人の強い希望もあり、東南アジアに赴任してもらう予定です。

海外戦略におけるISGへの期待を語る桂

PwCコンサルティングでの働くことやキャリアの魅力を話す松島

人事戦略の成果も反映されたIndustry Solution Garage

岩本：
ISGは人事の観点からも語れますね。

これまでも私はPwCコンサルティングの海外戦略チームのメンバーに抜擢してもらったことがありますが、さらに大きな機会をいただけて大変うれしく思います。一人ひとりのアスピレーションを受け止め、「出る杭を伸ばそう」とするのがET-ISをはじめとするPwCコンサルティングの良いところです。

私自身そうですが、事業会社からPwCコンサルティングに中途入社し、コンサルティングスキルを身に付けて活躍するメンバーがたくさんいます。製造業の技術畑や生産管理畑出身者が数多く在籍し、メンバーそれぞれが高い専門性やノウハウを持っているため、難度の高い課題にぶつかっても「解決策がないことはない」と言えるような状況を体感しています。

事業会社で活躍しながら中長期的なキャリア形成に悩んでいる方がいれば、PwCコンサルティングは有力な選択肢の1つになるかもしれません。中途入社であっても、成果次第で重要な職責を与え、本人の希望に基づき海外勤務を認めてくれるPwCコンサルティングはお勧めできますね。

矢澤：
PwCコンサルティングでは、2018年ごろから事業会社出身者の積極採用を行い、業界知見や技術スキルに長けた人材をコンサルタントとして育成しています。クライアントから「こんな深い領域まで対応できるのか」と驚かれるようなケースも出てきています。

今ではマネージャーやシニアマネージャーに育っているメンバーもいますが、事業会社出身ならではの知見とコンサルティングスキルが掛け合わされた人材の活躍により、製造業の領域はPwCコンサルティングの強みとなっています。

こうした人事戦略（採用・育成）がISGなどの新たな施策にもつながっているわけです。製造業の技術畑・生産管理畑のメンバーで構成した研究会も立ち上げましたので、ソリューションはもっと充実していくことになります。

松島：
PwCコンサルティングはさまざまな専門性や機能の集合体であり、事業会社の経験やスキルは必ず当社のどこかで活かせます。自分の得意分野を持ってさまざまなメンバーと働きながら、挑戦したいことや新しいゴールを見つけてほしいですね。

事業会社出身の岩本さんがコンサルティングスキルを身に付け、ISGの戦略管理を担い、念願だった海外赴任を実現したのはそうした一例と言えます。

桂：
PwCコンサルティングには、コンサルティングスキルを吸収してもらう機会と、従来の経験・スキルを活かして新しい世界を創っていく機会という、2つの成長機会があり、高いモチベーションを維持しながら「攻めのキャリア形成」ができる会社だと思います。

事業会社出身者たちの「攻めのキャリア形成」が活かされたISGが、クライアントに大きな価値提供をもたらすことを期待しています。

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