
DXに挑む農林中央金庫、その舞台裏 DX推進の勘所は、「ヒト」「組織」のトランスフォーメーション
持続的な成長の基盤を築くDXでは、組織の変革、特に「ヒト」の育成がカギとなります。農林中央金庫とPwCコンサルティングのキーパーソンが背景にある戦略、具体的な取り組みの内容など、DX推進の勘所について語り合いました。
多様なバックグラウンドを持つ「人」で成り立つPwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)には、事業会社からコンサルティング業界に転職してきたメンバーも数多く在籍しています。
そうした中で、製造業出身のメンバーは独自の経験や知見を活かし、現場に刺さるソリューション開発などで強みを発揮しています。
PwCコンサルティングは2023年1月に、製造業部門を中心に社内で蓄積してきたソリューションを提供する「ET-IS」※という新たな組織を立ち上げ、7月にはこれらのソリューションをスピーディーに提供するための拠点「Industry Solution Garage(ISG)」を新設しました。
本稿では、製造業出身のメンバー3人が事業会社からコンサルタントに転身した経緯やPwCコンサルティングを選んだ理由、それぞれが感じたPwCの魅力を対談形式で紹介します。
参加者
※ET-IS(Enterprise Transformation-Industry Solutions):業務の視点から課題を解決するだけでなく、インダストリーの視点から重要課題やテーマを解決することを目的とし、クライアントのトランスフォーメーションを支援する組織。
左から山本貴史、山田功次、岩本康隆
コンサルティング業界への転職理由を語る山田シニアマネージャー
岩本:
皆さんの前職の経験や事業会社からコンサルティング会社に転職された理由を教えてください。
山田:
私は前職で大手自動車メーカーに勤めており、プロセス業務の改革を中心とした業務に従事していました。18年間在籍してある種の「達成感」を得ていたこともあり、培った知見や経験を活かしながら、さらなる専門性を持って働きたいと考え転職を決めました。
コンサルティング業界を選んだのは、自分の知見や経験を高く評価してくれたことに加え、それらを活かすチャンスが多いことに魅力を感じたためです。他の自動車メーカーに転職するという選択肢もありましたが、1つの会社で多くの企業のプロジェクトに関わり、連続的に達成感を得られるコンサルティング会社の方が自分には適していると思いました。
山本:
私は前職の自動車部品メーカーで、生産技術に関する業務に携わり、工場の生産ライン設計や生産設備の設計などを担当していました。
さまざまなことを学ばせてもらい満足していましたが、当時の組織は部署が細分化されていたため、自身の視野が狭くなっていると感じていました。
親会社に出向する機会があったのですが、社内では広く未来を見据えた会話が行われており「このままでは自分だけ取り残されてしまうのではないか」という危機感を抱きました。この経験をきっかけに「もっと外の世界を見て成長したい」と強く思ったことが転職の動機です。
コンサルティング業界を選んだのは、幅広い領域に関わりながら世の中の課題を解決するという大きなテーマに真正面から取り組める点に魅力を感じたからです。
岩本:
私の前職は自動車メーカーで、欧州事業のバックオフィス支援を担当していました。具体的には車の値段決めなどの業務です。
転職を決めたのは、ビジネス環境によるところが大きかったです。当時は大手企業の不正会計が次々と明るみに出ており、大規模なリストラのニュースも世間を騒がせていました。自身も安泰ではなく「突然会社から放り出された場合、自分はどうなるのだろうか」と考え始めました。
前職で得られるスキルはその会社特有のものが多く、汎用性が低いと感じていました。変化の激しい世の中で「今のスキルだけでは生きていけないかもしれない」という不安から、幅広いスキルを身に付け、広く求められる人材となるため、コンサルティング業界に飛び込みました。
岩本:
コンサルティング業界の中でも、PwCコンサルティングを選んだ理由は何でしょうか。
山本:
情報収集をする中で「工場マネジメントの高度化」というPwCコンサルティングのソリューションを目にしました。同様の業務を前職で担っていましたが、自社にとどまらず世の中に対して広くソリューションを提供できる点に強く惹きつけられたことを覚えています。
PwCコンサルティングならば、自分の持つ知見を活かしたソリューションを開発し、世の中の製造業が抱える課題解決をサポートできると感じてワクワクしましたね。
山田:
前職では、生産技術に関する業務部門とシステム部門の両方を経験しました。転職活動時に話を伺ったPwCコンサルティングのコンサルタントは、私の前職の業務について深く理解しており「PwCコンサルティングでの業務はシステム部門で担当した仕事と大きくは変わらない」と丁寧に説明してくれました。
転職先に悩む中、この説明で得られた「安心感」はPwCを選ぶ1つの大きな要素となりました。
また、PwCコンサルティングの面接官からは面倒見の良さそうな雰囲気を感じ、最終面接でパートナーから「出る杭は伸ばす」と言われたことも大きな後押しとなりました。
岩本:
製造現場で培った知見や経験は、入社後どのように活きていますか。
山本:
ある時、パートナーから「OT(工場)セキュリティ」のプロジェクトに誘われました。私は、セキュリティについての知見が少なく、IT分野に強いわけでもなかったのでしり込みしていたのですが、パートナーから「業界の知識や工場が何を求めているかを知っていることの方が大事だ」「セキュリティの専門家は逆に工場のことは分からない」と助言をもらったことで、安心して参画することができました。
結果として大きな成果を出すことができ、印象深いプロジェクトとなりました。個人が持つスキルを理解し、うまく組み合わせる上司たちの「マネジメント力」がなければ成り立たなかったと思っています。
岩本:
今となっては「OTセキュリティといえば山本」というイメージが社内で定着しています。
山本:
工場の現場とセキュリティについて、両方の見識が深い人は世の中を見ても多くはなく、すごく尖った武器を持たせてもらえたと思っています。
山田:
私が入社した2017年当時に所属していた部門には、知見や経験を持つメンバーが多く集まっていましたが、それらを体系立てて整理できていませんでした。
数年という時間をかけて、メンバーが持つ知見を整理し「暗黙知(個人の経験や勘に基づく知識)」を「形式知(文章や図解で表現された客観的な知識)」に変え、さまざまな業界にサービス提供できるような体制づくりを進めてきました。
自身が知見を持たない領域であっても広く深くレベルアップできるという点で非常に効果が出ていますし、結果的にクライアントに提供するサービスの質も向上しました。1つの領域に閉じず、クライアントにさまざまなコンサルティングサービスを提供できるようになったのです。
皆の知見をソリューションとして整えることで、チームや会社全体の武器になっていると感じています。
PwCコンサルティングは、ソリューション開発に対して積極的に投資しています。だからこそ、他社との差別化にもつながっている「PLM(製品ライフサイクルマネジメント)」のソリューションを作り上げることができたと思っています。
岩本:
PwCコンサルティングには、自身がやってみたいことにチャレンジさせてもらえる雰囲気があります。事業会社に比べると個人が持つ裁量は大きく、権限移譲される範囲も広いです。仕事の品質については厳しく管理されていますが、社員が働きやすい環境で業務に取り組める点もPwCコンサルティングの大きな特徴です。
山本:
新しい何かを始めることを「過去の否定」ではなく「チャレンジ」として捉え、応援してくれる自由闊達な雰囲気がすごくありがたいです。
山田:
ET-ISでは、まさに「出る杭は伸ばす」というカルチャーが根付いているように感じます。事業会社でやりたいことにチャレンジできず悩んでいる方々にはぜひ来てほしいです。
山本:
事業会社からコンサルティング会社に転職する場合、コンサルティングのスキルに不安を感じる方が多いと思います。その点、PwCコンサルティングには周りがちゃんとサポートしてくれる環境や研修制度など、一人前のコンサルタントに育ててくれる土壌が整っていますので、安心して飛び込んできてもらいたいです。
岩本:
PwCコンサルティングでは、組織横断で専門人材やノウハウを結集するCoE(センター・オブ・エクセレンス)化が進んでいる点も重要ですね。社内に蓄積した知見をLearning & Development(L&D:人材開発)という形で教えて共有し、個々のスキルを高めていくことが会社全体の成長につながっています。
転職先にPwCコンサルティングを選んだ理由を話す山本マネージャー
ISGについて語る岩本マネージャー
ISGの内観
岩本:
7月には、PwCコンサルティングが蓄積したソリューションをスピーディーに提供する拠点「Industry Solution Garage(ISG)」を私たちの手で立ち上げました。皆さんはどんな思いを持ってISGに取り組みましたか。また、ISGが社内にもたらすメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
山田:
私が担当するPLMの領域では、通常、クライアントに提案する際に実際のソリューションをお見せすることが難しいという事情があります。やりたいことをクライアントと一緒に考えて、要件を決めて、ツール選定し、そこで初めて目に見える形となります。
ISGがあることで、クライアントにすぐにソリューションをお見せることができるので、導入イメージを持ってもらいやすくなります。
また、ET-ISの「R&D/PLM CoE」のチームメンバーがデモンストレーションできるようになることで、職員の見識を深める場としても活用できます。
中には新卒入社の職員や前職でPLMのユーザーではなかったなど、実際にソリューションに触れたことがないメンバーもいるので、教育の場としても活用できるのではないかと考えています。
システムインテグレーターやシステムベンダーはシステムそのものについてはとても詳しいです。ただ、構想フェーズや実業務の経験がないため「現場で本当に効果が出るか」については分からないことも多いです。
PwCコンサルティングでは現場側とシステム側、両方にとって理想的なPLMを作り込んでいるので、どちら側からの悩みにも明確に応えられる状況になっています。
岩本:
現場を深く理解していることはコンサルティングサービスを提供するうえで、大きな強みになっていますし、ISGは製造業出身者を多く抱えるPwCコンサルティングだからこそ実現できた取り組みだと思っています。
ISGでの知見の共有や研修によって、コンサルタントの提案力がさらに向上することも期待しています。
山本:
OTセキュリティのソリューションをクライアントへ提案する際には、「でも現場のことを分かっていないでしょ」と言われてしまうこともあるかもしれません。
PwCコンサルティングでは工場についてもセキュリティについても深い知見のあるコンサルタントが多いからこそ、地に足のついた提案ができるということを、ISGを通じて知ってもらいたいです。
セキュリティのリスクについて、実際に目で見て起こりうる被害を体験し、危険性を自分事として認識してもらう機会になればと考えています。
岩本:
PwCコンサルティングでこれから取り組みたいことや、キャリアの展望について教えてください。
山田:
自分自身の知見をきちんと整理し、それを使って若手職員を育成し、チームとしてますます頑張っていきたいですね。
メンバー全員で売り上げを伸ばし、新しい知見が加わることでチーム全体がさらにブラッシュアップされていく。そんなチームをCoEとしてPLMの軸に作り上げていこうと思っています。
山本:
私は、製造業を中心にクライアントが本当に苦労している課題を拾い、解決を支援できるコンサルタントであり続けたいと思っています。
上面だけでなく、クライアントに寄り添い、奥深くまで理解していくというと、割と泥臭いイメージかもしれません。軸足はあくまで現場に置き、現場の人にどう喜んでもらうかを突き詰めていきたいです。
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