PwCコンサルティング合同会社代表執行役CEOの大竹 伸明が、世界を舞台に活躍してきたプロゴルファーの上田 桃子選手をお招きし、「プロフェッショナリズム/グローバル」「ゴルフのツアープロとして大切にしてきたこと」「業界のトップランナーとして思うこと」をテーマに語り合いました。
対談の動画はこちらからご覧いただけます。
(左から)大竹 伸明、上田 桃子選手
大竹 本日はプロゴルファーの上田 桃子選手をお迎えし、対談の機会を設けさせていただきました。
PwCコンサルティングは、コンサルティング業界で75年、プロフェッショナルサービスをグローバルに提供しておりまして、世界を舞台にプロフェッショナルとしてキャリアを重ねられてきた上田選手とは共通したものを感じます。ぜひ私たちの学びになるようなヒントをいただければと思い、対談をお願いした次第です。上田選手、よろしくお願いします。
上田 お招きいただきありがとうございます。よろしくお願いします。
大竹 1つ目のテーマは「プロフェッショナリズム/グローバル」です。上田選手のご経歴を振り返ると、2005年にプロテストに一発合格。2年後の2007年に初勝利を含む年間5勝を挙げ、史上最年少の賞金女王に輝かれました。その後、全米ツアーに挑戦され、2014年からは主戦場を再び日本に移されて、2019年には生涯獲得賞金10億円を突破されています。まさにレジェンダリーなご活躍ですね。
今年でプロ生活20年目を迎えられたとのことですが、プロフェッショナリズムについてどのように捉えられていますか。
上田 私にとって、プロフェッショナリズムとは“責任”と“自覚”です。この考えに至ったのは、米国で海外の選手たちと交流を持ったことがきっかけです。
渡米前は自分の中心は“ゴルフ”で、ゴルフがうまくなることだけを考えていました。しかし海外の選手の多くはまず中心に“人生”があって、その中で自分の人格を磨くという考え方だったのです。ゴルフは「自分の人格や経験を生かすカテゴリの1つ」という位置付けなんですね。
もちろんプロ選手として成績も大事なのですが、それだけではプロフェッショナルではないということを海外で教わりました。それ以来、自分が人としてどういう自覚を持ち、責任の伴う行動をするかを意識するようになりました。
大竹 日本を出たことでグローバルな視点での気付きを得たわけですね。責任と自覚という上田選手の考えには深く共感します。なぜなら、多くの企業経営者が抱いている感覚に近いものを感じるからです。
近年は企業も単に業績が良ければいいわけではなく、コンプライアンスやサステナビリティといった責任を果たしていく自覚が問われています。私たちも良いサービスが提供できるからプロフェッショナルなのではなく、まずは各自が人格を磨くなかでスキルを高め、真のプロフェッショナリズムを追求していかなければいけないと思います。
PwCコンサルティング合同会社代表執行役CEO 大竹 伸明
プロゴルファー 上田 桃子選手
大竹 2つ目の「ゴルフのツアープロとして大切にしてきたこと」について伺いながら、コンサルティングに生かせるヒントを探っていきます。上田選手と言えば、精密なアイアンショットに定評があります。やはりご自身でも、アイアンショットにこだわりや自信はお持ちですか。
上田 私のアイアンショットの原点は、打点に対するこだわりです。私は好きなクラブで良い音を出して打つことが快感で、そのために「どんな角度でどんな打ち方をすればいいのか」を突き詰めてきました。アイアンショットがストロングポイントになったのは、ショットする快感を求めた結果なんです。
大竹 「自分のこだわりや強みを徹底的に磨く」のは、コンサルティングのキャリア形成でも重視される点です。ただ、ゴルフもコンサルティングも得意分野だけでは勝てませんよね。技術的にはもちろん、ゲームメイクやメンタルなども含め、自分の幅を広げていくということについてはどうお考えですか。
上田 ゴルフに限らず、自分の直感でいろんなことに関心を持つことを意識しています。ゴルフに直結はしなくても、他のスポーツから学ぶこともありますし、本を読んだり、ときにはプライベートで友人と話したりすることでもいろんなヒントが得られます。ゴルフとは違った側面から自分を成長させることは可能だと思っていますし、「自分だけの引き出しが増えていくことで、自分自身が唯一無二の存在になれる」と考えています。
大竹 経営者でも直感を重視する人は少なくありませんし、後から振り返ると選んできた道にそれぞれ意味があったという話もよく聞きます。プロゴルファーも言わば自分を経営しているようなものなので、経営者の考えと近い部分は多いのですね。
大竹 3つ目のテーマは「業界のトップランナーとして思うこと」です。これまでゴルフ界の先頭を走ってこられましたが、上田選手のトップランナーというイメージは、やはり世界最高峰の米国女子ツアーへの参戦から来ていると思います。
今、野球の世界では大谷翔平選手が歴史を塗り替えるような結果を出していますが、野茂英雄選手をはじめ、過去に海外に挑戦した人がいたから、点と点がつながって道が開けたのは間違いありません。上田選手もゴルフ界の発展に貢献してきたというような自負はおありでしょうか。
上田 米国での6年間は、言葉や文化の違いもあって、ゴルフだけを見ればうまくいかない面も多く、また当時の若さでは十分な適応能力も備わっておらず、ゴルフ界全体を見る余裕はありませんでした。ただ、人生観も含めて、確実に今の自分の力にはなっていると思います。後輩たちから相談を受ける機会は多いので、経験を伝えていくことで貢献できることもあるのではないかと考えています。
大竹 米国ではうまくいかなかったとのお話がありましたが、失敗があったから成長があったのだと思います。海外では失敗を「良い学びがあった」と捉えることが多いと聞きます。挑戦には失敗はつきものですが、失敗と成功の間に挑戦があるからこそ、人間は成長できるということだそうです。
上田 今までそういう発想はありませんでしたが、お話を伺うと米国挑戦も自分の成長の糧になっていたんだな、と改めて思います。失敗することも大切なのですね。
大竹 本日はとてもいいお話が聞けたと思います。上田 桃子選手、どうもありがとうございました。
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