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2022-04-26
中国における経済・社会情勢や規制強化に対して不安を抱く企業、中国の国内市場における販売事業の採算性が悪化した企業など、中国事業の縮小や撤退を検討する日本企業が増えてきています。今回は、事業の縮小と撤退における税務上の留意点をいくつかご紹介します。
質問:中期的(今後3年程度)に縮小・移転・撤退と考える事業展開先の国・地域を選んでください。
質問:前問で当該国・地域を選んだ理由を教えてください。
(複数回答)
PwC Japanグループ, 2021年8月実施「日本企業のグローバル戦略動向調査」より
日系企業が中国での事業を部分的に縮小する場合には、中国および日本の税務の観点から、以下の項目に注意する必要があります。
中国事業から撤退する1つの手段として、会社の清算があります。
中国における会社清算手続きのうち税務登記抹消手続きはもっとも時間を要するとされています。所轄税務局へ登記抹消を申請すると、税務局による審査、場合によっては税務調査が始まることがあります。税務局にとって税金を徴収できる最後の機会であるため、過去3または5事業年度を対象として机上による審査または税務調査(以下、税務調査等)が実施されます。これらの税務調査等は、一般的に数カ月から数年かかります。長期化する理由として、初めての税務調査のため対応が適切にできなかったり、複数の税目が同時期に調査されるため質問の量が多くなったりといったことが考えられます。また、過去の事情等を知る従業員がすでに退職しているため、資料の提出や回答に時間を要するといった理由も見受けられます。
税務登記抹消手続きに要する期間を短縮することができれば、清算結了までの全体の期間も短縮することができるといえます。そのため、解散前に、清算企業の税務リスクを把握し、事前に対応策を検討・実施しておくことが重要です。なお、税務調査等において重点的に確認される点としては、一般的に以下のような項目が挙げられます。
税務調査等以外に、清算に関連して企業が留意すべき事項としては、債務超過の問題が挙げられます。一般清算によって清算を実行するためには、解散時または清算期間中に債務超過とならないように管理しなければなりません。具体的には、清算期間中の資金繰りを試算し、解散から清算結了までの貸借対照表を想定し、いかなる時点でも債務超過とならないことを確認する必要があります。この資金繰りを検討する際には、先述の清算期間中の税務調査において更正を受ける場合の納税予想額や、清算が長期化することによって生じる事務所家賃や業務委託費などの清算コスト等も考慮する必要があります。仮に債務超過に陥ると予測される場合には、これを事前に解消するための増資または債務免除を検討します。
このように会社の解散前に事前に十分に検討することで、清算期間中のトラブルを減らし、より短い期間で清算を完了させることができます。期間が短縮されることで、無駄な事務費用の負担も回避できます。