サステナブルな企業成長の実現に向けてグローバルサプライチェーン全体を見据えたESGリスク対応

  • 2024-11-22

はじめに

サプライチェーンのグローバル化の中で、ビジネスの複雑性が高まり、環境・社会・ガバナンスに関連して生じる企業の「ESGリスク」への対応がますます重要になってきています。最近では、財務情報だけでなく、サステナビリティを中心とした非財務情報にも注目が集まり、企業が意識すべきリスクは多様化しています。

世界的に見ても、ESG分野の規制強化の動きは強まっており、欧州を中心に法規制の整備が進展しています。企業はより多くの情報開示を求められ、それに対応する必要に迫られることになります。

図表1:サステナビリティに関する規制強化の潮流

図表1 サステナビリティに関する規制強化の潮流

こうした動きに合わせて、企業がESGリスクに対応できているかどうかは、投資家による投資判断において重要な判断基準となっています。日本におけるサステナブル投資の残高は、この10年ほどで大きく上昇傾向であることが以下のグラフからも確認できます。

図表2:日本のサステナブル投資の残高

図表2 日本のサステナブル投資の残高

出所:日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)

投資家は、外部の評価機関などから投資に対する判断材料を得ます。例えば、人権尊重に関する企業評価であればCHRB(Corporate Human Rights Benchmark)、ESG全般の企業評価であればDJSI(Dow Jones Sustainability Indices)などが挙げられます。企業は、こうした外部機関への対応も求められています。

現代の企業には、投資家のみならず、さまざまなステークホルダーから社会課題解決への貢献が期待されています。企業のサステナブル(持続可能)な発展や成長を実現するためには、こうしたESGリスクへの対応は、もはや回避できない現実的な課題となっています。

おわりに

ESGリスクには、長期的な視点で対応していくことが重要です。投資家だけでなく、さまざまなステークホルダーがサステナビリティなどの非財務情報に対する関心を高めています。

国際的な法規制化も進んでおり、事業活動を実行・拡大し、さらに企業価値を向上させるためにも、法規制に準じてESGリスクに対応することが不可欠です。

しかし、ESGリスクは対象範囲が広く、内容も非常に複雑であるため、企業単独での対応には限界があると言えます。例えば、サプライチェーン全体での現状把握や課題抽出には、大きな困難を伴うことが容易に想像できます。こうした課題を克服するために、外部の専門家やリソースを活用することは非常に有益な選択肢となります。

PwCコンサルティング合同会社では、開示された情報やヒアリングを基に現状分析を行い、サステナビリティの課題別に業界の先進企業との比較を実施、企業の成熟度を評価するESGリスクに関する簡易診断サービスを提供しています。この診断により、自社におけるESGリスクの優先度を迅速に診断した上で、企業のさらなる成長に向けた具体的な改善案を提案していきます。

ESGリスクへの取り組みは欧州を中心に進展しており、日本企業においてもその重要性はますます高まっています。しかしながら、ESGリスク対応の重要性を理解する一方で、理想的な態勢を構築することは非常に難易度の高い課題だと感じている企業も多いのではないでしょうか。まずは、一歩ずつできるところから始めることが大切です。

{{filterContent.facetedTitle}}

{{contentList.dataService.numberHits}} {{contentList.dataService.numberHits == 1 ? 'result' : 'results'}}
{{contentList.loadingText}}

執筆者

北崎 陽三

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

Email

本ページに関するお問い合わせ