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2021-03-24
Salesforceは世界トップクラスのシェアを誇るの営業支援(SFA)・顧客管理(CRM)ツールとして、またビジネスアプリケーションのクラウドプラットフォームとして広く使われるようになりました。しかし導入の失敗事例が少なくないのも事実です。
本記事ではSalesforce導入における代表的な失敗事例を元にその原因を分析し、それぞれに対してPwCの経験に基づく処方箋となる考え方をご紹介します。
失敗の事例は主に以下のパターンに分類できます。
Salesforceが適さないビジネス領域に無理やり導入
Salesforceの特性を理解せずに現場の要望を受諾
社内の各部門が個別にSalesforceを導入
これらの失敗はシステム導入時に原因があるため、導入ベンダーの技術的な問題と思われがちです。しかし、企画時点における適用範囲、開発の方針、企業全体の導入計画・体制など、導入企業(委託元)側の責任範囲に大きなリスクを抱えているケースも多いのが実態です。
Salesforceの導入にあたって、失敗を回避する「処方箋」となる考え方は以下の通りです。
Salesforceをどの範囲に適用すべきかを識者を交えて企画段階から確認し、適用範囲外のシステムとの連携も考慮して一連の業務プロセスの実現性を検討します。Salesforceの特長に照らし合わせると、導入に適しているのは以下の様な業務・要件と考えられます。
Salesforceは自社の成功体験および世界中の利用企業の意見に基づき、「成功の秘訣」を製品に日々反映し、改良し続けています。Salesforceが前提とする業務モデルを理解し、それを自社に適応させることで、世界中の「成功の秘訣」を享受しながらその業務の最先端の技術を自動的に取り入れることができます。
Salesforceはビジネスの変化に素早く対応できるよう、業務ユーザが必要とするある程度の機能を業務ユーザ自身の手によって素早く実装できる仕組みを提供しています。Salesforce製品が提供する業務機能をそのまま使える、もしくは複雑さや見栄えよりも変化への対応の素早さを優先する業務・要件において、大きな変化をもたらすことが可能です。
Salesforceの目指す姿に「カスタマーカンパニー」(ソーシャル・モバイル時代に即した顧客志向を実現することで成長力を高める企業)があり、情報を社内外の関係者と安全かつ積極的に共有できる機能が実装されています。細かくさまざまな角度からアクセス権限を制御することは可能ですが、特に社内のユーザには「一人一人にアクセス権を定義する」のではなく、「一部のユーザ・条件においてアクセス権限を制限する」との考え方に基づく方がスムーズに適用できるため、他の業務要件の実装により多くの工数を割くことができます。
一方で、Salesforceに適さないシステム・要件も存在します。その場合は、企画段階でSalesforceの適用範囲から除外し、既存システムや別の技術で処理し、システム連携で業務を実現させるよう検討すべきです。
ERP (販売/在庫/生産管理)や勘定系システムのように即時のリカバリなど厳密な運用が要求される要件、毎回100ミリ秒以下での応答速度が必須の受発注システムのようにインフラレベルのチューニングを要する要件、毎日0-4時の時間枠での完了が求められるような厳格な時間枠を要求するバッチ処理などがあげられます。
表計算ソフトによるマクロ処理や画像処理のような特定のツールまたは言語での実行を必要とする要件、既存のアプリケーションやライブラリをそのまま動かすシステム、車両の位置情報管理(100byte x 1,000万件/日)のように小サイズ大件数の管理が必要なIoTデータ要件などがあげられます。
既存システムと同じ仕様にしなければならないという制約があり、Salesforceスタイルが全面的に適用できない場合、ファイル共有や年に数度のアンケートシステムなど利用範囲・利用機会が著しく少ないと想定される場合などがあげられます。
顧客接点機能(CRM、商談・受注管理)にSalesforceを適用し、システム連携することで無理なく機能配置を計画し、全体業務の最適化を実現する例を示します。
Salesforceは類型化可能な業務領域(SFA、CRMなど)における知見を世界中から集約し、具現化したシステムです。よってSalesforceの標準に業務を合わせることが、グローバルベストプラクティスを実践することと同義になります。カスタム開発を前提とせず、標準機能を活用できる要件・仕様に近づける「調整」を利用部門と繰り返しましょう。カスタム開発する場合は、プロトタイピングを活用して標準/カスタム実装の利用イメージとリスクを具体化しながら検討を進めることをお勧めします。
「標準機能から外れる要件」の検討においてカスタム開発を選択する場合、以下のリスクを念頭に置く必要があります。
Salesforceは進化し続ける、統合されたプラットフォームを世界中に安定して提供する代わりに、さまざまな制限を設けています。要件によってはその制限に抵触するリスクが生じる、それを回避するために多大な工数がかかる、もしくはSalesforce外の技術・サービスを導入する必要が出てきます。そのリスクと要件の重要性を適切に比較するために、Salesforce技術者にいくつかの選択肢を求める事が重要です。
カスタム開発のコストを抑えられたとしても、カスタム開発には開発者によるコーディングが必要です。一度コーディングを用いたカスタム開発を行うと、その部分に対して以下のリスク・コストが発生することに留意する必要があります。
カスタム開発部分のテスト工数と将来におけるトラブルについてのリスクが高くなる
カスタム開発とはSalesforceが多大な工数をかけて提供している機能を自分たちで構築・テストすることに他ならないため、諸々のリスクが高まります。
運用・メンテナンスのために開発者を含めた体制を維持する必要がある
カスタム開発部分のトラブル対応、機能改修にはSalesforceの制限や他実装への影響を考慮できる高度な開発技術が必要なため、何かあった時にすぐに対応できる体制を維持しなければなりません。
複雑なカスタム開発部分のSalesforceの定期アップデート時の動作確認
Salesforceは年3回のアップデートで進化し続けますが、それがカスタム開発部分に与える影響に気を配る必要があります。
Salesforceは常に進化し続け、その時代が必要とする最先端の技術を反映していきます。しかし、一度カスタム開発してしまうとその部分の保守改修は開発者に委ねられるため、リリースが自動的に反映されない可能性が高くなります。カスタム開発を決断する際は、その時の要件の重要性やコストだけでなく、将来Salesforceに期待する進化や機能対応も考慮に入れる必要があります。
標準機能を有効に活用するためにはプロトタイピングで具体的な利用イメージを早い段階で共有することが重要です。
Salesforceではデータの概要が決まった段階で入力・表示・一覧の標準画面が利用できるようになるため、要件定義や設計の段階から実物を見て、標準機能の利用イメージや技術的リスクの少ない実装方法を検討できます。
Salesforceの利点を最大限に享受するためには、組織全体で正しく利用し続けるためのガバナンスとその体制が必要です。CoE(Center of Excellence)は部門横断で必要な情報共有・環境管理・課題解決・計画検討を統合的に行う事で組織全体のガバナンスを実現するチームです。CoEを立ち上げることで以下のような判断・ノウハウ・スキルを集約することが可能になります。また、ビジネスの進化を追求する「利用部門」とガバナンスを守る「IT部門」の両翼を持つ組織に育てることも重要です。
常に進化し続けるSalesforceを最大限に活用するためには、一度作って終わりではなく、継続的な定着化活動と、そこで得られるフィードバックを元にした継続的な改善が重要になります。
開発リソースを社外発注する企業は多いですが、企画段階で正しく検討を行う事、その開発を当初の目的に沿って正しく進めるためには専門的なスキルが求められます。それらのスキルを持つ人材を将来的に社内で育成することも含め、企画とプロジェクト運営、つまり導入する企業側の視点でも専門家のリソースを確保しておく必要があります。
PwCコンサルティングではSalesforce認定コンサルタントが、PwCグローバルネットワークの豊富なSalesforce導入実績から得られた知見を活用することで、Salesforceの導入から継続的な活用に至るまで、クライアントの要望に応じてさまざまなサービスを提供します。