スタートアップ&スケールアップ コラム

第7回:成長段階での人材戦略を成功させるための3つの検討ポイント

  • 2023-11-30

はじめに

スタートアップ成功の最も重要なバロメーターの1つは人材です。人材はキャッシュフローと同じくらい重要であるということもできます。結局のところ、人材とは、企業により多くの資金をもたらし、その成長を手助けしてくれるチームなのです。創業時には、あなたのチームはあなた自身と手伝ってくれる家族だけ、あるいはあなたがよく知っている少数の人たちだけだったかもしれません。しかし、ビジネスが成長するにつれて、専門的なスキルが必要だと気づいたり、会社のことをすべて把握するには1日では時間が足りないと感じ始めたりするのではないでしょうか。そうなると、より多くの、しかも適切な人材が必要になってきます。そして、会社が急速に成長している場合、そのニーズをすぐに満たさなければならないというプレッシャーは、多くの経営者にとって大きな頭痛の種になるでしょう。本稿では、財務部門を例として、成長段階で適切なソリューションへと導くための3つの検討ポイントを紹介します。

1. 正社員か契約社員か?

最初の検討ポイントは、リソースやスキルの短期的な向上が必要なのか、それとも長期的なものに投資したい段階にあるのかによって決まります。そのためには、費用対効果の分析を行う必要があります。正社員を採用することを検討している場合は、雇用にかかる総コスト(年金費用やスタッフの採用、教育に関連するコストなど)を必ず考慮しましょう。また、新入社員の採用と教育にかける時間も考慮して、マネジメントと新入社員の両方が、ビジネスの成長を軌道に乗せるために必要なことを共有する時間を、十分に確保できるようにしましょう。費用対効果の判断にはキャッシュフロー予測も重要であるため、給与やトレーニング、専門能力開発などの関連コストの影響を検討できるよう、適切なデータを用意する必要があります。

一方、契約社員を採用することはコスト高かもしれませんが、より柔軟な対応が可能となります。繁忙期(財務部門の場合、年末または予算策定の時期など)を乗り切るために特別なサポートが必要な場合は、契約社員が最適な解決策となる可能性があります。契約社員を採用するもう1つの目的は、期間限定で専門スキル(たとえば、戦略や事業計画をサポートする経験豊富な財務ディレクターなど)を確保できることです。月に1日、そのようなスキルを持った専門家に相談したほうが、正社員を雇うよりも費用対効果が高いかもしれません。

2. 直接雇用か派遣か?

契約社員を探すことにしたとします。次の検討ポイントは、契約社員を直接雇用にするか、人材派遣会社等を通じた派遣とするかです。最初は自社でスタッフを直接採用するほうが安いように思えるかもしれませんが、人材派遣会社等を利用することのメリットは、訓練を受けた高スキルの人材をすぐに活用できることです。また、広告や人材採用にかかる時間とコストも節約できます。派遣会社等を利用することは、第三者のスキルを採用や優秀な人材の獲得に活用する機会にもなります。

一方、直接雇用では、労働者が第三者ではなく、会社に対して直接責任を負うことになるため、契約条件や品質をより適切に管理できるでしょう。特定の仕事を繰り返し行うために契約社員が必要になる場合には、直接雇用にしたほうが長期的な関係が築けてよいかもしれません。

3. 出社かリモートワークか?

昨今のグローバル化した社会では、最新の通信テクノロジーを活用すれば地理的に他の場所にいる人材にもアクセスできるようになります。つまり、企業は自社の所在地では獲得できないような人材にアクセスしたり、タイムゾーンの違いを利用してより広い範囲を人材採用の対象エリアにしたりすることができるのです。コストの観点から見ると、リモートワークの人材を採用すれば、オフィススペースを節減できるだけでなく、現地の給与水準に基づくことでコストを節約できる可能性もあります。

これらの利点が自社にとって有益だと思われる場合は、リモートワークに関するいくつかの課題について考慮しましょう。従業員がリモートで作業する場合、一貫した業務品質を確保するには、適切なシステムとプロセスが必要です。地理的に異なる場所に従業員がいると、言語、文化、タイムゾーン、場合によっては法的な障壁が生じる場合もあるため、必要に応じて専門家にアドバイスを求めましょう。リモートワークではチームワークを構築する機会が少なくなりますが、この問題にはテクノロジーが役立ちます。たとえば、電話会議やビデオ通話を通じてチームワークを構築する方法を検討しましょう。最後に、リモートワークでチームの利点を最大化するには、期待される行動に対する明確なフレームワークを確立することが重要です。

※本稿は、PwC英国が発表したコラムの翻訳です。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は英語版に依拠してください。

主要メンバー

本多 守

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

清水 直樹

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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