
「スマートシティで描く都市の未来」コラム 第89回:ユーザーの課題・ニーズ起点のスマートシティサービスの考え方
スマートシティサービスは国内で多くのプロジェクトが進められており「スマートシティ官民連携プラットフォーム」でも2024年6月時点で286件の掲載が確認できます。多くの実証実験が実施されてきたその次のステップとして、実装化が大きな課題となっています。本コラムでは実装化を進める上で、キーとなりうる考え方を紹介します。
内閣府は2023年8月、「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」(以下「SCRA」)の第2版※1を公開しました。第1版が公開された2020年3月から約3年が経過しましたが、その間のスマートシティの取り組みとしては、デジタル田園都市国家構想の推進と地域での実装、関連する各種法規制やガイドラインの整備、中核を担うデータ連携技術に関する調査・研究の進展などが挙げられ、第2版はこれらを踏まえた内容となっています。
本稿では、SCRA第2版の中で取り上げられている都市OSの内容を中心に、どのような点が拡充されたかについて解説します。
都市OSについては、SCRA第1版で掲げられた「①相互利用」「②データ流通」「③拡張容易」という都市OSの3つの特徴を維持する一方で、昨今多くの地域でスマートシティの計画や実装が進み、その実績や事例が増えたことで、大きく2点が更新されています。
実装パターンについては、「地域内分野間データ連携(パーソナルデータを含まない)」「地域内分野間データ連携(パーソナルデータを含む)」「地域間分野間データ連携」の3つのパターンが提示され、それぞれのユースケースが例示されています。また図表1のとおり、「③拡張容易」という特徴をより意識した「地域間分野間データ連携」のパターンでの成長ステップが示されています。これは、これまで自治体関係者を中心に「何から始めたらよいのか」「どこをゴールにすえるべきなのか」という悩みが多かったため、政府として目指す「地域間分野間データ連携」に向けたステップを例示することで、自治体関係者が実装を推進するための方向性を明らかにする目的があるのではないかと考えます。
図表1:地域の実情に合わせた、都市OSの実装パターンの例示
出典:SCRA第2版 ホワイトペーパー P148 図7.1-11
都市OSの機能についても再整理が行われ、基本機能群と共通機能群など7つの機能群から構成されています(図表2)。SCRA第1版の機能は原則維持されつつ、一部機能はより具体化されています。また、2023年3月に実施された改訂ポイントに関する説明会では、高齢者向け生活支援サービスをユースケースとして、具体的にどの機能が実装されるかといったことも例示されています。
多くの機能の中で、各地域が実装したいサービスに対してどの機能が必要かという点については、今後も地域での実装事例が増えてくる中でより整理が進むと思われます。
図表2:図表:都市OS機能要件(全機能)
出典:SCRA第2版 ホワイトペーパー 付-1 図
SCRAが改訂され、これまで地域が感じていた課題を取り込んだことで、よりこれを活用した実装を検討する自治体が増えてくると考えます。一方リファレンスだけでなく、これを使いこなす人や、読み解く人が必要となることは言うまでもありません。スマートシティは多様な参加者を前提とした取り組みであり、これら全ての人が参照できるよう、簡易的なガイドの提供や、より焦点を絞った詳細な資料などの提供が今後も求められます。
スマートシティサービスは国内で多くのプロジェクトが進められており「スマートシティ官民連携プラットフォーム」でも2024年6月時点で286件の掲載が確認できます。多くの実証実験が実施されてきたその次のステップとして、実装化が大きな課題となっています。本コラムでは実装化を進める上で、キーとなりうる考え方を紹介します。
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