「スマートシティで描く都市の未来」コラム

持続可能な観光体験を実現するスマートシティ

  • 2023-12-21

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中、人々は多くの制約が課された日々を過ごしましたが、ウィズコロナと呼ばれる現状においては旅行や観光への渇望が高まり、観光需要が急増するなど、オーバーツーリズムという課題が顕在化しています。スマートシティの目指す姿は、技術やデータを活用することで地域を効果的に管理するアプローチにより、都市機能を最適化し、持続可能性や生活の質を向上させるものです。持続可能な観光体験を実現するスマートシティの要素としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 効率的な交通管理システム
    公共交通機関を最適化し、都市の移動を効率的かつスムーズにする交通システムを実現することで、混雑の緩和や最適な交通・移動手段およびルートの提案精度が向上するなど、交通の効率性が高まります。同時に、排ガスの削減や渋滞の軽減が期待され、地元住民や観光客の利便性向上につながる観光が可能となります。
  • 効率的な移動
    観光客は、観光向けのアプリケーションなどを通じて、混雑具合、最適な観光ルート、イベントなどの情報をリアルタイムで入手し、観光地へのアクセスや観光スポット間の移動をスムーズに行えます。これにより、観光客は観光時間の最適化が可能となり、限られた時間を最大限に楽しむことができます。
  • デジタル体験の向上
    拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を活用した観光ガイドやインタラクティブな視覚体験など、物理空間だけではなく、デジタル空間を含めた「場」で観光体験の提供が可能となります。そして、観光地の魅力を高めるとともに、観光地にいない方を含む多くの方に地域の魅力に触れられる機会を提供できるようになります。
  • 地域と観光客による共創
    スマートシティはSociety 5.0の実現の場であることからも、地域住民と観光客を含む「人」の参加を促し、社会にポジティブな影響を与えるような仕組みを構築するものです。地域が観光産業を活性化するためのサービスや情報をリアルタイムに提供し、観光客はそれらの情報・状況をタイムリーに把握することにより、観光体験の質を向上させることが可能となります。

スマートシティが支える「魅力的な地域」が提供する新しい観光の在り方

スマートシティの原則であるテクノロジーやデータ利活用を伴う新しい観光は、その地域でサービスを提供する企業や店舗、そして地域が保有する伝統・文化、自然そして人などの観光資源を、「物理的な観光地」のみならず「デジタル空間」においても展開することができます。これは地域の観光資源に触れる関係人口を加速度的に増やすとともに収益性を高めるものであり、地域経済の活性化や持続可能な観光を実現し、「魅力的な地域」を作り上げるものです。

図 スマートシティが支える新しい観光の在り方

総じて、スマートシティの技術を駆使することは、人口減少が影響する中でも、地域資源の最大活用による地域経済の多様化を可能とするものです。これらの技術が観光需要の変化に応じた観光マネジメントやマーケティングの迅速な対応に応えるものであり、地域の持続的発展を推進することを期待します。

執筆者

奥野 和弘

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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石本 雄一

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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源田 真由美

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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